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#8 4歳からメガネをかけていた頃の話

私は生まれつき遠視で乱視だったので4歳の頃から矯正のメガネを掛けはじめた。なので普通のメガネではない。とにかくレンズが分厚い。牛乳瓶の底みたいな分厚さだった。

子供がメガネをかけ始めるタイミングは早くても小学3年生くらいだと聞くが、私のように就学前からメガネをかけている子は珍しかったようで

「なんでメガネかけてるの?」と聞かれることが多かった。
目が悪いから としかいいようがなかった。

学年が上がってくると、疑問がイジりや悪口に変わっていった。
メガネをかけてるだけで嫌がらせをされたり、壊してくる輩もいた。
「メガネザル」なんて何回言われたことか。

そして私の特徴はメガネだけに留まらない。
丸顔だったのであだ名はたこ焼き。
野球をしていたので髪型はスポーツ刈りという名の坊主頭で
野球するときもメガネを掛けていたので顔はメガネのところ以外日焼けで真っ黒だった。

確かにクラスメイトにこんな奴がいたらいじりたくなる気持ちは分からなくもない。
坊主でメガネで丸顔で、顔は日に焼けて目の周りだけメガネで白くなっているのだから。
しかし当時の自分はそんな呑気なことを考えている余裕などなかった。必死だった。

学校の授業は担任が主に行うが、臨時で外部から教えてくれる先生もたまにいる。

そのような人たちは当然、児童の顔と名前が一致していないので、授業で手を挙げた時
「じゃあ……三つ編みの女の子!」
とか
「ポケモンの服着てる子!」
とか、服や髪型で呼んだりする。

一方私が手を挙げると
「メガネかけてる子」と呼ぶ。

でもその言い方がなんだか腑に落ちなかった。

たしかにメガネはかけてるけども、好きでかけてるわけではなかったのでどうせなら
「メガネが似合ってる子!」
とか言ってくれたら嬉しかったな……
メガネをかけている事で他人に認められているというちょっとした自己肯定感みたいなものを当時の私は求めていたのかもしれない。

私がかけていた矯正用のメガネは運がいいと視力が戻るらしい。

かけ始めて10年が経った。
気がつけば14歳になっていた。
そのころ、ちょうど思春期の真っ只中で
「自分が女子にモテないのはメガネをかけていたからだ!こんなの取ってやる!」と思い(それから8年間、彼女ができなかったしモテてもいなかったのだが)
試しに外してみた。

看板の文字が読める。新聞も読める
人の顔も鮮明に見える!
視力が戻っていた。
24歳になった今も視力は1.51.2
今になって強く実感できるが、親にはとても感謝している。

メガネを掛けているだけでいじられるのは
きっとメガネが似合ってなかったからだと今になって思う。
メガネが似合う人に、おいメガネ!なんて言わないと思う。

当時の私以外にも、小さい頃から乱視でメガネをかけていて、からかわれたりしている子がいるとTwitterで見たことがある。

心が痛くなった。
私自身、嫌々かけていたことは事実でも
他人にかわいそうだねとか教育が悪いと言われるのはいかがなものか。

そういった子供たちにたいしたことは言えないが、メガネやコンタクトをかけずに過ごせる時がいつか来るよ!ということは経験上言える。
小さい頃からメガネを掛けているだけで勉強ができなくなる訳では無いし、運動神経が悪くなる訳でもない。


この年齢になって私は最近、伊達メガネにハマっている。

傷つけられた過去を思い出にできた時、初めて大人になったのかな と思う。