BEER STORY ヒューガルデンホワイト


「マスターはどのビールが一番好きですか?」

ビールバーをやってて一番よく聞かれる質問。


飲む状況とか、時間帯とか、合わせて食べるものとかによる……んですが

それはいったん置いといて…


僕は、ほぼほぼ「ヒューガルデンホワイト」と答えます。

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フランスに行ったとき、

おしゃれなオープンカフェで飲んだ

ヒューガルデンホワイトがあまりに美味しくて。


このビールに衝撃を受けてビールの世界にどっぷりはまってしまいました。

そのインパクトがあるので今でも一番好きなビールはヒューガルデン。


日本でもビール好きには有名なベルギービールの代表格です。

(僕はたまたまフランスで飲んだけど原産国はベルギーでした)


このビールは「ホワイトビール」と呼ばれる種類のビールで

小麦を原料にした軽い飲み口のビールに

オレンジピールやコリアンダーを加えて

驚くほどフルーティーで爽やかな味わいに仕上がっています。

(ビールが苦手な方にも是非一度飲んでみて欲しい…)


そんなヒューガルデンホワイト

実は消滅の危機を乗り越えて

現在にも残る歴史あるビールなんです。



このビールの起源は1400年頃。(日本は鎌倉時代ぐらい)

ベルギー・ブリュッセルの東にあるヒューガルデン村で

ホワイトビールが盛んに造られるようになります。


1番盛んな時期は人口2000人ぐらいの村に35のビール工場があったらしい…笑


それが1900年代に入り

世界的に人気となった「ピルスナービール」との競争や

世界大戦の影響により

ヒューガルデン村のホワイトビール造りは衰退。



1957年には全てのホワイトビール醸造所が閉鎖されてしまいました。


ここでベルギーの「ホワイトビール」は一度消滅してしまいます。



それを復活させたのが「ピエール・セリス」という人物。

(ピエールありがとう!)


1966年にホワイトビールを復活させ、

そのビールを村の名前にちなんで

「ヒューガルデンホワイト」と名付けました。


フルーティーで爽やかな飲み口が若者の間で人気に。


工場設備も増やし、順調に進んでいく…


と思いきや!


ここでまた危機が訪れます。


見事復活を遂げた醸造所が火事によって消失。


ピエール・セリスの資金力では復旧することができず、

醸造所を手放してしまいます。

(マジかよピエール…)


結果、大手ビール会社によって引き取られたヒューガルデンホワイトは

ピエール・セリスの手を離れ…

大手ビール会社の力によって見事再生。


大手の資金力と生産力で大量に生産され、

世界中へと広がっていくことになりました。

(結果的に大手が引き取ってくれたから世界に広がったんやけど、何か複雑…)



大量生産されるようになったヒューガルデンを

ピエール・セリスは「本来の味ではなくなったと」と評していますが…

実際のところはもう確かめようがありません。


ちなみにピエール自身はアメリカに渡り、

ビールへの情熱は衰えず、ビール造りを再開。


そこで生まれたビールはピエール・セリスの名にちなんで

「セリス・ホワイト」という名で現在も造られています。

(こっちも飲んでみたすぎるから、調べてみると入荷可能だったので数量限定で仕入れてみます。)



ベルギービールの歴史は本当に深い。

このストーリーを知って

また一味違うヒューガルデンを楽しんでいただけると嬉しいです。

ピエールに感謝!









サポートいただいた資金は当店のオリジナルビール作成資金(2020年8月頃の予定)に使わせていただきます。