イグBFC2感想【グループL】

イグBFCというイベントは自分にとってとても楽しいものでした。ここには、計88通りの狂い小説の可能性が眠っています。

草の根イグの一環として、狂いの可能性を探っていくために感想を書いていきたいと思います。もし何か問題がありましたら、灰沢までお問い合わせください。よろしくお願いします。

杞憂日、三分ドッキング

非公開になってました。申し訳ないですが内容を覚えてないです。ごめんなさい……

ロマンス羅生門

真剣にふざけている作品でした。タイトルが「羅生門」なら、ああ芥川龍之介はこういう作品を書くんだねということになっていたかもしれません。ロマンス羅生門というタイトルによって、この作品がふざけていることは辛うじて示されています。硬派な筆致は、(パロディでありながら)作品そのものとしては自立を図ろうとしているようにすら見えます。一周回って純文学という作者の宣言通りの効果が挙げられているように感じました。自分だったらロマンスの神様を流してたな……と思うのですが、あくまで羅生門の文体に寄せて書き切り、余計なノイズは一切入れないところに心意気のようなものすら感じることができました。真剣さがおふざけにつながる瞬間を垣間見ることができてよかったです。

爆裂☆ゴッド・ボディ

シンプルにボケてきた、と感じました。ストレートなボケすぎて他の人が全然触れていない領域でした。地の文はシンプルに状況説明と小さなジャブのようなギャグに絞られていて、すらすら読めました。文がシンプルな分、ギャグをよりわかりやすく、強く見せることに成功していると感じました。ツイッターやネットでバズりそうなギャグでした。それは非常によいことで、誰もが普遍的に笑うことができるギャグだ、ということだからです。人を選ばず、幅広い人に刺さるよう全体が構成されているように感じました。そうしたシンプルさは自分も見習いたいところだな、と強く感じました。分かりやすくボケる書き方を学ぶことができ、よかったです。

誹諧的短篇〈散髪〉

レトリックがふんだんに用いられていて、こういう文を書きたいものだなあと思いました。文章を書く経験値の高さを(僭越ですが)感じることができました。一文一文で世界の飛躍を感じさせるような印象を受けました。前の文のイメージを受け、それをもとに次の文が展開される。ロジックと云うより、感覚的なつながりです。ひとの二十歳はライオンの季節~くらいたいときにくらう性欲のアミューズまでの文章の連なり方が白眉でした。前と後ろが、ホルンによって挟まれていることも様式美を感じます。レトリックの連なりを効果的に活用すると、一文と一文の間に跳躍が生まれ、ロジックでのつながりではない、ことばそのものによる新たなつながりというものが生まれているようにすら感じました。感傷性を持ちながら軽妙に流れていく文が心地よく、とてもよかったです。



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