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教育現場の実態について

 新型コロナウィルス感染拡大も緩やかではあるが、減少傾向に向かいつつある今日この頃。
 まだまだ油断はできない中、卒業シーズンも終わりを告げ、各所では新たな節目を迎えようとしている。

 ー新年度ー

 新学期を迎える者や、晴れて入学を迎える人達は子供たちだけではない。
時を同じくして新学期や入学を迎える大人たちもいる。
 そう、教職員。先生達も新たな節目を迎える――。

 数々の苦難を乗り越えて、採用試験を合格した教職員の方々。
念願の教員についになれるわけだ。
多くの夢や希望を抱きながら辿り着いた今、さぞ胸が躍ったことだろう。ここから新たな生活が始まるのだ。

 華々しく見える教師という職業。

しかし現実はそれとはとても言い難い世界であった。


ー劣悪な労働環境ー

  現在の教育現場では、様々な問題が起こっている。その一つが全国的な教員不足だ。
 令和4年1月に文科省が発表した調査結果では2000人以上もの教員が不足していることが分かった。内訳などはここでは割愛するので、詳しく知りたい方は右のリンクを参照していただきたい。 (文科省調査結果

 筆者がこれを綴っている頃には、学校や教育委員会が教員確保に奔走していることだろう。もちろん新年度の新任採用の方達もいるので前年度程かは筆者にはわかりかねるが、現在も不足していることは想像に難くない。その理由を少し説明しておこうと思う。

 2022年4月1日「わいせつ教員対策新法」なるものが施行される。それも教員不足を助長するのではないかと思っているからである。
(筆者はこの法案に心から賛同しており、新法に対して批判的な立ち位置ではないことを理解願いたい)
 平成20年度以降、わいせつ行為で懲戒処分を受けた教員の数は、把握している数だけでも年間150~250人と上昇傾向で推移している。近年は少し減少とのことだが、それでも令和元年では228人、訓告も含めると273人もいる。うち免職者が153人と7割近くもの数になるのは正直驚きだ。(引用元。文科省調査結果
 SNSなどの急激な広がりも影響し、やり取りがしやすくなったのも一つの要因なのだろう。

 以前までは、懲戒免職を受けた者たちも3年間が過ぎると復職できていたが、新法によって復職はかなり厳しいものとなる方向。
 もちろん懲戒処分を受けた数の教員が減るわけでないが、少なくても免職者については、第三者委員会の満場一致で認められなければ復職はできないので、なかなか厳しいものになることがわかる。免職者は減少に貢献することは間違いないだろう。

 問題はそれだけではない。

 昨今の教育現場は本当に疲弊している。

 やはり一番の問題は教員不足だと思うが、ここも無視するべきではないとおもう。賃金だ。
 私立校では時間外もちゃんと支払われ、部活動も業務時間と扱われているところもあるとのこと。
 当然、私立に関しては労働基準法が適用されるので、給与の扱いにもよるが、残業代や休日出勤分の賃金も請求できることになる。
 一方、公立校の教員はというと、給特法などで何時間残業しようが残業代が月給の4%しか支給されず、休日にある部活動の出勤も無給で経費も自腹など、国がゆるさないと謳っているまさにブラック企業な学校が、各地に存在している。

 直接いくつかの教育委員会や省庁に確認を取ったところ
「全体を把握しきれてるわけではないが、教員の不足や残業代が出ていないなどで多くの教員にご不便おかけしていることは把握はしております。しかし、現状を考えると申し訳なくは思いますが仕方がないかなと」
こういった回答がきたわけだ。
中には「こちらの地域ではそのような声も伺ってないうえ、実態としてもすべては把握しきれてるとは言えませんが、ないとの報告を受けております」などとこたえるところもある。
 公務員だからとか国に尽くせだの、法令や規定に従わないといけないんだからとかいう方もいるだろうが、そんな安直な考えはやめるべきだ。
今から記す内容を踏まえ、法や規定などから読み解くと一つの解釈にたどり着く。
それによると自分で自分の首を絞めかねないことであると、筆者は思うからだ。

 ―無給の強制労働—

 先述したように、現在の教員不足は思っているよりも深刻だ。

 学級を受け持つ担任や、各学科も受け持つ講師が欠員のまま、始業式を迎えるわけにはいかないと、非正規雇用の教員などにも声をかけ募ったりで、とりあえず回している状態が今の置かれた状況かと思われる。
 しかし、実際はそれだけで解決はしない。

 とりあえずの教員は確保できたが、あくまで全員出勤する前提で、ぎりぎり回るくらいの危ない現場が多いことと思われる。
 一人でも休んでしまうと他で補わなければいけない。周りに迷惑が掛かってしまう、悩んで休むこともしずらい環境での業務——。
 一体どれだけのストレスになる事だろう。
 さらに昨今では新型コロナウィルスの感染拡大の影響なども考えると、欠員の数も増えたり、消毒作業など。状況は極めて困難に陥ることと思う。
 そういった穴埋めはどうやるのか。
 教員たちの長時間残業。

 一見ここだけをみれば
 「どこの会社もある」
 「子供の為だし仕方ない」
 などの意見もあることと思う。しかし、問題はここではない。
これらの作業がすべて無給だということだ。
 そこで、国が定めている法律を見てみよう。

    —平成六年法律第三十三号—
一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律

第五条 職員の勤務時間は、休憩時間を除き、一週間当たり三十八時間四十五分とする。
2 国家公務員法第八十一条の四第一項又は第八十一条の五第一項の規定により採用された職員で同項に規定する短時間勤務の官職を占めるもの(以下「再任用短時間勤務職員」という。)の勤務時間は、前項の規定にかかわらず、休憩時間を除き、一週間当たり十五時間三十分から三十一時間までの範囲内で、各省各庁の長が定める。

 このように、1日7時間45分しか働かせてはならないと定めている。
 ではなぜ、各地にて長時間の残業を嘆いている教員が多発しているのか。

 全国各地の学校すべてとは言わないが、こういった声が多く上がっていることは紛れもない事実である。
 文科省が教育現場の良いところを、多くの人に知ってもらおうと始めた

「教師のバトンプロジェクト」—教師のバトン— 引用元Twitter

 職員になる人々が少なくなってる中、魅力を伝えたら教員補充も夢じゃないと発信したのが裏目にでて、ブラック状態の現状がかえって浮き彫りとなってしまった何とも滑稽なプロジェクト。
 ここ近年、文科省が行ったプロジェクトで一番教員の方々の役に立てたのではないかと筆者は思ってしまったが。
 ともあれ教員の方々の声が拡散される場を提供してくれた文科省には感謝しつつ、話を戻していこう。

 自分なりにいろいろ調べてみたが、やはりよく聞くのは見えない圧力。
 先述のとおり、教員の方々は定時で帰ることは可能なのだが、どうにもそれができない環境が構築されてるらしい。
 もちろん教員の残業は原則禁止と法で定められているので、教員の自主性ということにされているが。(学校行事や職員会議、非常災害、生徒の指導に際し緊急に必要な場合など限られた場合のみとされている)

 たとえば、定時に帰った次の日から、なぜか冷たく対応されたとか。
 周りと違うことをすれば、いじめにあったり。
 体調悪いから休むと伝えれば嫌味を言われたりと。

 なんともおかしな話だ。
 学校や委員会に改善してほしい旨を伝えた方は、聞き入れてもらえなかったとか、もみ消されたとか、他の教員はやっていると同調圧力をかけてくる。
 中には学校長や管理職に相談したら
 「君一人の為に、周りが迷惑する」
 「今後居ずらくなるぞ」
などと圧力をかけられ、やらざるおえない状況に陥ったりと。指導者とは思えないような対応をする方もいるとか。

これをもって一体どこが「教員の自主性」といえるのだろうか。

 このような教育現場の現状を伺ったうえで、筆者はこう思ってしまった。
 これはもっと危惧するような話ではないかと。

       —内乱罪—
 内乱罪(ないらんざい)は、国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をする犯罪である(刑法77条)。内乱予備罪・内乱陰謀罪(刑法78条)や内乱等幇助罪(刑法79条)とともに、刑法第2編第2章に内乱に関する罪として規定されている。

 話が飛躍しすぎではと見えるかもしれないが、よく考えてもらいたい。

 現在の日本国においては、先述のとおり秩序を保つ為に法や条例、規定などが制定されている。
 もちろん法や条例等を破ったものは何かしらのデメリットを付加される。

 そんな中、国の法や条例を無視し、学校長や管理職、委員会なども教員に「子供の為」や先にも述べたような圧力など、立場という権力を振りかざし、無理な残業をさせていることは事実。
 また国は近年の問題にも多く上がっている過労死のライン、健康状態に異常をきたすラインなども定めている。

 一ヶ月80時間(月に20日出勤とすると、1日4時間以上の残業、12時間労働)
  2~6ヶ月間の時間外労働が平均月80時間、または、時間外労働が月100時間を超えていると「過労死ライン」と評価されることがある。

 一般的には6カ月を平均して45時間を超える時間外労働が行われた場合、健康障害と業務との関連性は高まっていき、これを超えて期間外労働時間が長くなるにつれて、因果関係はより強まっていくとされている。

 しかし、現実はどうだろう。各所からの声を聴く限りでは守られてないと感じてしまう。

 年間1万2千件前後の分限処分のうち、精神疾患を患った方たちが、半数近くの5000人前後をずっとキープしている。
 この数は、もちろん文科省も委員会も調査して把握している内容である。
 少なくともここ数年間は維持したままなので、把握しておきながら改善してこなかったのが現状だ。
 昨今では働き方改革と聞こえのいいことは発信しているが、現状の問題についてはあまり発信してこなかったと記憶している。

 もちろんここで記載していることが内乱罪に値するかは筆者では判断しかねるが、法令をみるかぎりではそう感じたこともまた事実。
 一方、司法もそう判断するかというとその限りではないが。
 詳しくはこちらを参照(引用元 Wikipedia

 国の秩序を乱し、法を破り、国権を排して職場での関係性、権力を行使しているということは間違いないだろう。
 そんな方々が何を教えていくのだろうか。
 「国にはルールがあります、ちゃんと守りましょう」なのか。
 「国にはルールがあります、守る必要はないです」になるのか。
 今の現状ではどちらともいえないのではないか。
 当然前者だというのであれば、それを自らが示さなければならないし、早急に改善するべきだと皆が感じていることだ。

 すべての教員に当てはめているわけではないが、現状業務を担っておられる多くの教員の方たちは悲痛の声を挙げている。
 今回の文科省のプロジェクトが功をなしたか、教員の方たちの声は間違いなく届く位置まできただろう。
一刻も早く改善するべきだと思うし、あってはならない事実であることを強く訴え、筆を置かせていただこうと思う。

 今まで通り見て見ぬふりを決め込むのか、何かしらの対策を講じるのか、今後も注目していきたい。




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