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名のある座敷童子

私の母方の祖父の家には、
血縁のみ見えるらしい童がいるそうです。

祖父の家に住み。
大抵は仏間にいるらしく。

お客さんが来たら隠れたり、子供が来たら遊びに出て来たりするそうです。

いるらしいというのは、私には見えないので家のどこにいるのか分からないのです。

祖父の家に行くと、祖母や母が

「今日、貞ちゃんいないね〜?」
「さっき2階でおせんべ見てたよ。」

とその童の目撃情報を共有しています。

私はずっと、子供の頃から大人たちに揶揄われているのかと思っていましたが
大人になってもこのやり取りは変わらなかったので…

これは本当に他の家族には見えるのかもしれない。
と思い尋ねたら、私が見えないことに驚かれました。

「子供の頃、貞ちゃんとよく遊んでたでしょ〜?」と叔母に言われましたが
なんとなく覚えてるような、覚えていないような…

確かに、玄関のタイルを着物姿の同世代の子供と数えて遊んだりしたような記憶があるのですがそれが貞なのか今となってはわかりません。

家族には座敷童子という認識は無く、家に住んでいる無邪気な童。

として程よい距離感のようで

祖母に関しては、着物や私の為に購入したおもちゃなど、仏間に半日ほど広げ貞が遊べるようにしているそうです。

母に貞の正体について尋ねると、
祖父の姉か妹で子供の頃戦時中に亡くなりいつの日か童の姿で現れるようになったとか。

なぜ、私に見えないのかは謎ですが
時折視線を感じたり、不意に何か音がした時は近くにいる気がしてきました。

もしかしたら、まだ親たちが私を揶揄っている可能性もあります。

いつか見える日が来るのでしょうか。

「座敷童子の夢」個人蔵
謎の童、貞からインスピレーションを受けて
作成した作品です

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