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郷土料理は、変わらずに、変わる。

日頃「ごはん」に関わる仕事をしていると、郷土料理を取材する機会に恵まれます。

食の多様化や少子化・核家族など家庭環境の変化が進むなかで、郷土料理の文化をどのように守っていくのかというのは全国共通の課題です。この「守っていくか」の解釈がポイントで、「郷土料理が根付いているなぁ」と感じる地域を訪れると、意外なことに「守っている」という意識が薄いように見えるのが面白いところ。

米どころの新潟にはお米にまつわる郷土料理がいろいろとありまして、ウェブメディア「新潟のつかいかた」の企画で取材にいってきました。

今回紹介したのは、妙高の「笹箕寿司(ささみずし)」、長岡の「醤油赤飯」、南魚沼の「きりざい」です。

妙高の「笹箕寿司(ささみずし)」は、くるりと丸めた笹の葉に酢飯を詰め、そこに地元・妙高の食材でつくったぜんまいの炒め煮やくるみの甘煮、鮭のそぼろなどを乗せたお寿司です。いろどりも鮮やかなで最高。

長岡の「醤油赤飯」は、粒の大きな金時豆を使った茶色の赤飯。醤油や酒、みりんを混ぜ合わせた調味液で味付けしているので、単純にしょっぱいだけではなくて、ほんのり甘みを感じたり。この「甘じょっぱさ」が最高。

南魚沼の「きりざい」は、納豆に細かく刻んだ野菜や漬け物を混ぜ合わせた料理。「きり」は切ること、「ざい」は野菜のことを指します。野沢菜やたくあんの歯ごたえが心地よく、ごはん一気にかき込んでしまえるので最高。

3つの郷土料理に共通していたのは、大きな枠からはみ出さない範囲で少しずつ変化しているということ。現代の食生活に合わせて新たな食材を取り入れてみたり、作り方を簡略化してみたりするなどして、もっとおいしく簡単につくるための工夫や試行錯誤をされている点です。

郷土料理に決まりきったレシピがあることは稀で、各家庭や地域によって微妙に味付けや食材が異なっていることが多いです。地域で暮らす人たちが日々料理を作っていくなかで、自然と枝分かれしていったのでしょう。つまり、郷土料理には、最初から変化することが内包されているわけです。

今回の取材を通して、郷土料理が世代を超えてこれからも受け継がれていくためには、もっと自由であってもいいんじゃないかと思った次第です。

あと、甘じょっぱい茶色の醤油赤飯の味わいを一度知ったら、元には戻れないことも追記しておきます。江口だんご本店さんの「おうちで作る醤油赤飯手作りキット」は、あの醤油赤飯が炊飯器や電子レンジで簡単につくれるのでおすすめです。長岡市民のワイ歓喜!


読んでくださってありがとうございます。 おいしいごはん生活を探求すべく、あたらしい食材やお酒を試したいと思います。