M-1グランプリ2022 敗者復活戦の感想

今年は敗者復活戦の出番順抽選会（YouTubeでの配信）から見ていたので、箇条書きで感想を書き残しておく。

・出番順抽選会はどの組も楽しそうでよかった。いろいろあったが大鶴肥満が半袖だったのが今でも印象深い。
・シンクロニシティは、トップ出番、おとなしめの芸風、一般的な知名度なしという不利な条件にもかかわらず、しっかりウケていて驚いた。まあまあ噛んでもウケていたので、やっぱりあのネタも二人のキャラも面白いのだと思う。活動継続を悩んでいるらしいが、来年もさらに良いネタを見せてくれたら嬉しい。
・ママタルトは序盤からお客さんにハマっていない感があった。思った以上に会場がシンクロニシティの空気になっていて、ママタルトの独特ない言い回しが逆効果になっていたのかも。彼らも来年あたり決勝に行きそうなコンビとして注目されている感があるが、実際デブキャラで決勝に行くのはなかなか大変だと思うので頑張ってほしい（昔のタイムマシーン3号の例があるとはいえ）。
・オズワルドのネタは夢という難しい話をしている割に、あまり不気味さが掘り下げられなくて微妙だなあと思っていた。敗者復活戦というシチュエーションを取り入れたアレンジもあって、お客さんを巻き込みつつ勝ち上がってやろう感はすごかったが。
・令和ロマンは、オズワルドに微妙に期待をそらされた感の後で、きっちりと爆発を起こしていた。彼らは準決勝でもやや重めの会場の空気の中で初めて爆笑をとり、場を温めたにも関わらず落ちてしまっていたので、個人的に報われてほしいなと思っていたこともあり、実際にウケたうえで国民投票の採点でもオズワルドを上回ったときにはやったぜ！と声を漏らしてしまった。これで彼らの認知度も上がっただろうが、それでも決勝に行くにはまだ何となく彼らは自分たちならではの芸風を確立できていない感もある。結局のところ大喜利系のコント漫才だからだろうか。彼らのキャリアでそんなことを期待するのもどうなのかと思うが、期待は間違いなく高まっているので今後が楽しみだ。
・ビスケットブラザーズのネタは、発想も面白いし、彼らの言い方の面白さも乗せられるし、変なフレーズも盛り込めるもので関心したが、やっぱりキャラを楽しむには設定が複雑すぎて、爆笑するほどのめり込めないなと思った。
・ななまがりのネタは、かなりハードルの高い大喜利にもかかわらず、圧倒的な大喜利力で笑えるパワーを感じた。ただそれだけのパワーを以てしても、やはり単調さは拭えないと思う。「こんなの初めて」というワードが繰り返されるのも面白いのだが、結局同じパターンの繰り返しだなという印象は避けられないように思った。
・ダンビラムーチョは準決勝でも歌うネタをやっていて、そちらはどこで笑ったらいいのか掴みにくい（オリジナルソングにギャグを交えてくるのだが、その後も歌い続けるからゆっくり笑えない）のが厳しいと感じたが、敗者復活戦のネタはめちゃくちゃ面白かったし、一番笑った。のびのび歌うネタなので、野外ステージでも聞き取りやすいというのもあるが、構成にも無駄がなく、他の曲を歌ったり解説タイムを挟んだりしなくてもやりたいことがわかるし、二人のコミュニケーションの面白さも織り込まれていて、決して単調にはならない。そして何より、ずっとバカバカしいことをやっている面白さがあり、それが二人が一緒にサビを歌い出すところで最高潮に達し、小道具の登場で爆発するところがたまらない。M-1的には反則技かもしれないが、敗者復活戦を見て良かったと思えた傑作。
・ハイツ友の会は、最初枚方の知らない催しの話をしているな～と思っていたが、その後のツッコミのセリフが全部ハマってまんまと笑わされてしまった。そうなると、東京の舞台で只管ひらかた大菊人形の話をするトガり方も好ましく思えてくる。この大会でだいぶ二人のファンに傾いてしまった。
・ケビンスとヤーレンズも、形式としては大喜利系コント漫才ではあるのだが、繰り出してくるボケ・ツッコミの角度がどれも鋭く、どちらもかなり面白かった。特にヤーレンズは準決勝でやっていた別のネタも最高だったので、今年の結果をぜひ来年の決勝進出につなげてほしい。どうでも良いのだが、ヤーレンズのネタの券売機のくだりで出井が「お金を入れるところがない」と言うところや、決勝戦の男性ブランコのネタで浦井が自分へのダメージを表現しつつ倒れるところのように、コント漫才なのにツッコミが自分でコントを進めるシーンには不自然さを感じてしまうのだが、これってやっぱりこの二組はやっていることの面白さを優先して目をつぶってもOKと判断したということなのだろうか。
・ミキはネタがあんまり賞レース向きではないなと思った。芸能人の名前がいっぱい出るから営業とかでは盛り上がるのかな。
・かもめんたるは準決勝で披露していた、う大が知り合いのオッサンと会う時の話が全部不倫の話のように聞こえるというネタがめちゃくちゃ面白く、決勝に残っても良いくらいだと思ったのだが、敗者復活戦では違うネタをやったのが残念だった。この槙尾を罵りつつ無視して狂った話を続けるパターンは、３分くらいの尺なら楽しめるのだが、やっぱりワンパターンさが拭えないし、人によってはちょっと引いてしまうと思う。でもこれが彼らのやりたいネタだったのなら仕方ないか……。
・マユリカは去年の敗者復活戦の時点ではキャラが新鮮で面白かったし、そのあたりから人気に火が付いたと思うのだが、キャラが浸透してしまうとネタ自体にもうひとひねり欲しいなと感じた。
 
投票は以下の通り。出番順抽選会の司会をしていた石田さんも、本戦で加わった陣内さん・小沢さんも、全出場者への愛が感じられてよかった。