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第4話「落胆」( ^ω^)ブーンがスーパーサブとして流れを変えるようです

登場人物

( ^ω^)左京 文一朗(さきょう ぶんいちろう)
LMF 1年 右利き

(´・ω・`)新田 ショボン 武(にった ‐ たける)
GK 2年 右利き

(= Δ=)近藤 吾郎(こんどう ごろう)
LSB 2年 右利き

('Д")白木 康太(しろき こうた)
CB 2年 右利き

( ><)天野 鷹匠(あまの たかじょう)
CB 1年 右利き

( ゚∀゚) 長岡 隆英(ながおか たかふさ)
RSB 2年 右利き

('j v i')中浜 民祐(なかはま たみすけ)
DMF 2年 右利き

('_L')水戸 蓮斗(みと れんと)
DMF(CMF) 2年 右利き

(’A`)霧島 毒男(きりしま どくお)
LMF(LSB) 1年 左利き

∫ ∫一Å一)東 修平(あずま しゅうへい)
OMF 2年 右利き

(・∀・)盛山 義孝(もりやま よしたか)
RMF 2年 右利き

(=゚ω゚)ノ伊織 洋(いおり よう)
CF 2年 右利き

(个△个)牛間 柊人(うしま しゅうと)
CB 1年 右利き

(‐λ‐)西尾 琉叶(にしお るか)
CB 1年 右利き

( ФωФ)招木 昌幸(まねき まさゆき)
DMF 1年 右利き

(0 L0)草野 茂道(くさの しげみち)
CF 2年 右利き

(^д^)庄野 正利(しょうの まさとし)
ST 2年 右利き

ξ゚⊿゚)ξ 高宮 凛花(たかみや りんか)
マネージャー(GK) 2年 左利き

____ブーン宅____
一昨日は3年生の引退試合、昨日は1年生のスタメン審査というハードスケジュールだったため
今日と明日は休暇のため部活がOFFだ
今日はドクオと遊んでいる、がとてもそんな気分では無かった 今日は憂鬱な土曜日だ

自分はスタメンになれなかった
その代わりに友人のドクオがLMFというポジションでスタメン入りした
ドクオが選ばれるなら自分だって選ばれても良いはずだ
確かに先生に言われた通り、自分には90分間ペースを落とさず走り続けるだけの体力は無いのかもしれない それでも自分のサッカーの能力はドクオに負けてるとは思えなかった

(;´ω`)「スタミナかぁ…そうだよなぁ」

寝っ転がりながら独り言を呟く

(’A`)「まーだ悩んでんのか そんなにスタミナ付けたかったら今から走るか?」

(;´ω`)「いや足痛いからやめとくお」

(’A`)「まったく、なんでお前はあんなに足速いのに持久力は中の下レベルなんだ」

(;´ω`)「長距離嫌い、走るなら思いっきり走りたいお…」

ブーンの答えは言い訳に近かった

(’A`)「あのなぁ、サッカーは1試合90分なわけよ、90分間フルスピードで走り続けるなんてプロでも出来んわ」

(’A`)「前にも言ったと思うけどな、ボールを持つだけがサッカーじゃないんだよ」

( ;^ω^)「たしかバスで言われたような…結局それってどういう意味なんだお?」

(’A`)「サッカーって競技はやっぱりボールを持ってるやつが注目されるよな?」

( ^ω^)「そりゃそうだお 試合のハイライトとかはだいたいボールを持ってる人がゴールを決めた時の
映像を使うお」

(’A`)「そう、ボールがあってこそのサッカーだ
だからそこばっかりに注目してしまうのも無理はない」

(’A`)「だが忘れちゃならない、サッカーってのはな!ボールを持てない時間の方が長いんだよ!」

(  ゚ω ゚)∑ハッ

(’A`)「90分をフィールドに居る22人で割ると
単純計算で選手1人がボールに触れる時間は…」

4.09090909090909…分

(’A`)「つまり残りの86分間、選手達はボールを持たず、チャンスを待ってひたすら走り続けるしかないのさ!」

(ill ゚ω ゚)∑ガーン

認めたくはないがドクオの言う通りだった 考えてみれば、もし1試合を走り続けられないような選手をスタメンに使えば、終盤にスタミナ切れとなったその選手はいわばチームの穴となる
自分は今までどれだけドリブルが上手くなるかって事だけ考えて練習していた
迂闊だった、ドリブルを維持できる体力が無ければ意味がないのだ

(;´ω`)「スタミナってそんなに大切だったのかお…」

(’A`)「そうだ だが悩んでても解決しねぇ、寝っ転がってないで一緒にゲームでもやろうぜ せっかくの休みなんだから」

( ^ω^)「それもそうだお」

起き上がりドクオの左に座った

( ^ω^)「それなんのゲームだお?」

(’A`)「グランド・セフト・オートV」

画面にはドクオが操作しているキャラクターが
歩道を車で爆走し何人も轢き殺している姿があった

( ;^ω^)「殺人ゲーム?」

(’A`)「そうだよ、コイツで俺と、ひと暴れしようゼ☆」

車のキーを投げるように、ドクオがこちらにヒョイと自転車の鍵を投げる

( *^ω^)「よーしレッツ暴走!」

コントローラーを握り、ゲーム内で車に乗り込んだ
ドクオに続いて町を暴走する
このゲームでは簡単に犯罪行為を行える

( ;^ω^)「なんか感覚がバグるお こんなゲームが流行ったら殺人が増えそうだお…」

(’A`)「殺人ゲームしてる奴が殺人鬼になるとでも?」

( ^ω^)「そこまでは言ってないけど、性格が殺伐としてしまうんじゃ」

ドクオがポーズボタンを押し、顔をこちらに向けた

(’A`)「だったら恋愛ゲームばっかりやってた俺は
今頃モテる性格してるはずだぜ」

女子から距離を置かれているドクオの台詞からは妙な説得力があった そもそもゲームとは、現実で出来ない事をするためのものだ ゲームでやっている事を現実でもできるとは限らない

(’A`)「それに、その理論が通用するなら
庄野先輩は今頃レギュラー入ってるしな」

( ^ω^).。oO(m(^д^)9「お前ら弱すぎ〜俺に
イーフトで勝てる奴いんの??」

( *^ω^)「たしかにwwwwwwwww」

庄野先輩はサッカーゲームの中ではとても強い
でも、あれだけ戦術が頭に入っていても実戦では
ほとんど使えた事がない スピードも無い、フィジカルも無い、多分スタミナもブーンより無い
ゲームと現実の世界は別物 現実には万能な回復アイテムも最強の必殺技も存在しないのだ

____中浜宅____
スマホをスタンドに固定し、ツイキャス配信を始める 配信開始と共にフォロワーさんが続々と入室する

('j v i')「みなさま こんちゃみ〜 チャミ☆スケです」

「こんちゃみ〜」「チャミ君かっこいい〜」

('j v i')「今日はみなさまにご報告というかお知らせがあります」

「なーにー?」「楽しみ」「引退?」「やめないで‼︎」

(;'j v i')「やめないよ!」

('j v i')「ご報告、わたくし チャミ☆スケはなんと、、、」

「お?」「なんだ」「彼女ができた?」

(*j v i')「サッカー部のスタメンに選ばれました〜」

「おお!」「おめでとう」「8888」

(*j v i')「そして今回チームメイトをゲストに呼んでます」

(* ゚∀゚)「こんちゃみ〜www」

(;'j v i')「おい」

「スペシャルゲスト!?」「草」「こんちゃみw」「チャミよりイケボじゃん」

('j v i')「えー芸名なんですけど、なんて呼べば良い?」

( ゚∀゚)「TKで」

(*j v i')「じゃあTKともう一人」

∫ ∫一Å一)「どうもよろしくお願いします 芸名はトンでお願いします」

('j v i')「はい、トンはOMF(トップ下)で、TKはRSB(右サイドバック)でメンバー入りしました」

「2人もおめでとう〜」

('j v i')「もともとウチのチームは半並先輩っていう絶対的なエースが左ボランチに居て、右ボランチを俺ともう一人が争ってたんですけども、
半並先輩が卒業したことで今では二人ともレギュラーです」

※半並先輩からは名前を出す許可は取ってます

∫ ∫一Å一)「いやぁ絶対的でしたねぇ 半並先輩」

( ゚∀゚)「だな、俺らにしか分からんだろうけど」

('j v i')「チームの主力の選手が抜けてしまったのでこれからまた新しいサッカーを作り上げていかなきゃですね」

「半並先輩はどんな選手だったんですか?」

('j v i')「どんな選手、うーんと万能型でサッカーIQ
が高い人だったかな」

( ゚∀゚)「パスでゲームを組み立てながら
積極的にゴールを狙ってるボランチ」

∫ ∫一Å一)「先輩は攻守共にできるから敵チームに削られがちだったね」

(# ゚∀゚)「アァ 特にあの引退試合は酷かった!
徹底的に半並先輩ばっかり囲みやがって!」

('j v i')「まぁ、あの高校はそもそもラフプレーの多いチームだったからね 相手の主力を潰して点を取らせないとかいう激キモ戦法」

※配信上で高校名を言うのはマズいということで、
ここでは隠していますが、【あの高校】は【乾國高校】のことであり、【引退試合】は半並先輩率いる毘府高校が乾國高校に 1-3 で敗北した試合の事です

('j v i')「意図的に怪我させる事に対しての抵抗感とかがほとんど感じられなかった」

「酷いチームだな」「監督の指示?」「カード出されたら不利にならん?」

∫ ∫一Å一)「あの引退試合では後半戦にレッドカードが2枚出てましたね イエローも4枚ほど出してたかな?」

「出過ぎだろw」「やっぱり不利になってるだろ!」

('j v i')「なんかイエロー貰った選手を次々と交代させてたね、その交代によって2枚目のイエロー出すのを防いでたから
一発レッドで退場になった向こうの2人より、負傷したこっちの選手の方が多かったな」

( ゚∀゚)「その負傷者の1人が俺ね」

∫ ∫一Å一)「あれ痛そうだったよね 相手FWのスパイクがふくらはぎにグィ〜っと」

(; ゚∀゚il)「やめろ 思い出しちまう」

「グロい…」お茶×10

('j v i')「どのタイミングで投げとんねん」

「両チームのフォーメーションは?」

('j v i')「ウチのチームが4-2-3-1で、
向こうの高校が5-3-1-1だったね、レッドカードの影響で2人減って途中から4-3-1になってたけどね」

∫ ∫一Å一)「あのチームDF何人居るんだろ」

( ゚∀゚)「交代でCB(センターバック)2人とSB(サイドバック)1人出てきたから8人以上居たわな」

('j v i')「守備固めて逆転させないサッカーしてたね、ファウルもほとんど前陣まで出てやってたから良い位置でのセットプレーはほぼなかった」

( ゚∀゚)「あれだけ守備力あるならファウルしなくても止められただろ」

∫ ∫一Å一)「ほんとにそう」

('j v i')「まぁ戦術だと思ってやってるのかもしれませんけど、相手を怪我させて勝つってのは考えものだよね」

「スポーツは相手の嫌がるプレーをするのが大事だもんね」

(;'j v i')「それとこれは別物だと思うよ」

('j v i')「そんなこんなでもう18:00になりました そろそろお時間が来たようです
今日は敵の高校の悪口だけで配信が盛り上がってしまいましたね」

「草」

('j v i')「それでは時間の配信でお会いしましょうお疲れ様でしt_」

(* ゚∀゚)「おつチャミ〜☆」

∫ ∫*一Å一)「おつチャミ〜 また呼んでね」

(;'j v i')「お前らノリノリじゃねーか」

配信終了 同接58人

____明日木商店街____
ミセ*゚ー゚)「水戸君!あれ食べてみたい!」

('_L')「チーズハットグか 美味そうだね」

ミセ*゚ー゚)「食べよ食べよ〜!」

美芹が俺の手を引っ張り駆けていく

('_L')「元気だな 美芹は」

今日は彼女の美芹と買い物を楽しんでいる
なかなか2人とも休みという日は無いため、やっとこうやって一緒に居られる時間が取れて嬉しかった その気持ちは美芹も同じようで今日はいつも以上にはしゃいでいる
楽しい時間はあっという間に過ぎていった

ミセ*゚ー゚)「ハッドグおいひぃ〜」

(*'_L')「ちょwチーズ伸びすぎでしょw」

ミセ*゚ー゚)「あ、水戸君久しぶりに笑ったね」

('_L')「え、そういえば俺って最近あんまり笑ってないかもな」

ミセ*゚ー゚)「うん、一年の頃はもっと笑顔だったと思う よ 最近楽しい事とか無かった?」

('_L')「うーん 正式にレギュラーになれた事かな」

ミセ 一 )「いっつもサッカーの事ばっかり…そんなにサッカーが好きなんだね」

(;'_L')???

ミセ#゚ー゚)「私とサッカーどっちが大事なの?」

(;'_L')??!!

いきなり機嫌を損ねる美芹に困惑する

(;'_L')「えぇ…っと 俺はいつも言ってるように、
俺が決勝の舞台で活躍する所を美芹に見せるのが夢なんだ だから俺にとってはサッカーも美芹も欠かせない存在だし、選べない」

俺が戦って戦って
勝ち進んだ景色を美芹に見せられれば、俺も美芹も
幸せだと思って時間も体力も削り練習を重ねた
その間美芹を寂しい思いにさせてしまったのかもしれない

ミセ*゚ー゚)「真面目過ぎるよ水戸君、「そんな事言わせちゃってごめんね ギュッ」みたいな事やってくれれば良いのに」

(;'_L')「やだよ恥ずかしい」

どうやら美芹は、俺にもっと構って欲しいらしい

('_L')「俺は才能の無い人間だから、それを叶えるために、今たくさん頑張らないといけないんだ
この夢を叶えられたらもっと美芹と一緒に居られるようになるさ」

ミセ*゚ー゚)「水戸君は私なんかよりずっと才能あると思うけどな〜 私は何やっても続かないし 吹奏楽も全然上達しないし…」

いかん 俺のネガティブな所が出てしまった
明るい話題を振ろう

('_L')「美芹にも叶えたい夢って何か無いかな?」

ミセ*゚ー゚)「う〜ん 私は水戸君とずっと一緒に居る事が夢かな?」

(//'_L')「嬉しいね」

ミセ*゚ー゚)「私にとっては水戸君が全てなの!もし水戸君がもっと私と会う時間が欲しかったら喜んで部活もやめるからね!!」

(;'_L')「いや絶対そんな事言わねーし」

ミセ*゚ー゚)「やっぱり水戸君は部活が大事?私より」

(;'_L')「どっちも大事だってば」

このド定番の「私と仕事」系の質問にすっかり怖気付いてしまった
質問されるなら「ご飯にする?お風呂にする?」のような幸せなニ択を聞かれてみたいものだ

(;'_L')「そもそも美芹とサッカーを同じ次元で考えること自体おかしいって」

ミセ*゚ー゚)「そうだけど…」

('_L')「まさか美芹 サッカーに嫉妬してるのか?」

美芹はただ黙ってこちらを見つめている

('_L')「そうか…」

('_L')「最近の俺はサッカー中心で物事を考えてたから 美芹の事を その… ないがしろにしてしまった
かもしれない  ごめんね…」

ミセ*゚ー゚)「水戸君…」

('_L')「でも俺は自分の気持ちに嘘をつきたくない
だからサッカーだけは甘い気持ちでやりたくない
美芹が応援してくれたらそれに全力で応えたいと思ってる」

ミセ*゚ー゚)「うん 分かった でも無理はしないでね?」

美芹の方に手を置いた 泣く子を諭すような口調で
美芹に語りかける

('_L')「無理はするさ 勝負の世界だもの」

美芹はまた俯き、前髪が顔にかかった

ミセ ― )「本当は心から応援できたら良いんだけど
水戸君に身体壊して欲しくなくって…」

('_L')「いやいや、美芹が心から応援してくれたらからここまで来れたんだよ 嬉しい事もつらい事も美芹がいつも一緒だった たしかにサッカーは怪我も多くて怖いけどさ、ほら、俺こんなに鍛えてるし」

ミセ*゚ー゚)「たしかにガッシリしてるけど、それでも
怪我はするんだからね!」

('_L')「分かってるさ でも俺は常に気を抜かない」

そう絶対に気を抜かない 才能が無かった俺はそうやって常に周りとは差をつけてきた そして今や毘府高校サッカー部の部長を務めている 努力次第でまだまだ行けると思っている

('_L')「じゃあ、もう行くね これからも一緒に頑張ろうね」

自転車に鍵を刺し 美芹に手を振ってからペダルを漕ぎだした 帰ったらすぐ昼食を摂り 午後は自主練に出かける 止まっている暇など無いのだ

走り行く水戸を美芹は1人で眺めていた

ミセ ― )(いつまで頑張れば良いの?)

徐々に大きくなっていく美芹の思いは
まだ水戸には届くことはない

第4話 終わり

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