「きれいのくに」の元ネタ?

「きれいのくに」というドラマがNHKで放映されているらしい。
我が家にはテレビ放送受信装置が無い。
随分と前に絶った。
(理由はまたそのうちに。)
それでも、いつも、何らかの形でテレビの情報は入ってくる。
それほど、世の中は情報で溢れているのだ。

「きれいのくに」
観てないのでよく知らないが、いろんな話が交錯しているドラマで、美容整形が当たり前になった世界が舞台らしい。(後に禁止になった世界も描いているようだが。)
当然、流行りの顔になりたがるから、男はみんな稲垣吾郎の顔に、女はみんな加藤ローサの顔になった世界。
らしい。

これを聴いてすぐに思い浮かんだのが、何十年も前に学習雑誌に連載していた漫画だ。

確か、「ドン博士」というタイトルだったと思う。
ドン博士は、いわゆるマッドサイエンティスト。
いろんな発明をする。
悪いことを考えるときは頭の横から角が出る。
助手はケンケンのような犬で、人間の言葉をしゃべる。
絵はコミカルだが、毎回痛烈な社会批判が込められているSFで結構好きだった。

街を行き交う人々を見ながら、ドン博士がつぶやく。
「化粧をし、綺麗な洋服を着て、厚底の靴を履き、整形で鼻を高くし、頭はカツラ。。(←70年代の漫画ですからね~)人間の美に対する欲求は際限が無い。」
ケンケン(もどき)に言う。
「そこでワシは、素晴らしいモノを発明した。」
「まずこの薬を呑む」
錠剤を一粒、博士自身が呑む。

「しばらくすると、このように顔がぐにゃぐにゃに溶けてくる。」
「うひゃ~!」(←驚くケンケン(もどき))

「このタイミングで、こいつを使うと。。」
バチン!
大きな、「型」で自分の頭全体を一気に挟む博士。。

「よぉっ! 二枚目!」(←70年代の漫画ですからね)
ケンケン(もどき)も驚くほど、先ほどまでの博士の顔とは似ても似つかぬ、イケメン博士の誕生だ。

「わははは! 鯛焼きと同じ原理だ。科学万能の時代、これぐらい朝飯前さ! だが。。」

もう一度薬を呑む博士。
バチン!

「あれ?元の顔に戻しちゃったの?もったいない。」
残念がるケンケン(もどき)に、
「妙な顔だが、ワシは自分のこの顔が、だ~いすき!」
と博士。

さて、博士の発明した、この「美容整形キット」は売れに売れる。

街に出て観察する博士とケンケン(もどき)。

「みんな綺麗になったけど。。。なんだか同じ顔をしているね。」

犯罪を犯した後にすぐ顔を変えて、文字通り素知らぬ顔で警官の横をすり抜ける犯人。
「指名手配のポスターなんて役に立たない。。」

女性たちの声が聞こえる。
「あら、あそこの人、まだ70年型の顔してるわよ。」
「古いわね~。」
逃げるように走り去る「70年型」女性。

71年型、72年型。。流行のサイクルは段々早くなる。
キットを次々と買い替える女性たち。
大儲けする博士。
そしてある日。

「きゃ~っ!!」

鏡を見て驚愕する女性。

博士のラボ。
「科学技術には必ず限界があるのだよ。何度も繰り返して使っていると。。」
「元の顔に戻るのかな?」とケンケン(もどき)

「とんでもない。」と博士。

「みんな、のっぺらぼーさ。」
渋谷の交差点みたいなところを歩く大量の「のっぺらぼー」をバックに、角を出す博士。

ちなみに私は、この漫画で初めて、「流行」という言葉を覚えました。
と同時に、どうしてもその言葉の持つ真の意味と価値がわかりませんでした。
実は今もよくわかりません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?