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双眼鏡の選び方

最近、双眼鏡が異常に流行っているようです。
みんな一斉にバードウォッチングでも始めたのかと思ったら、そうではなくてコンサートやライブ用に流行っているらしい。

どんな双眼鏡を買えば良いのか、人に聞かれることも多くなってきたので、簡単にまとめてみました。
ご参考まで!

各スペックの意味

1.倍率

おそらく、何も知らない人が双眼鏡や望遠鏡を買う時、真っ先に気にするのが「倍率」だと思います。
「倍率」は一番アピールしやすいし、解りやすい指標なので。
結論から言えば、倍率は低い方が良いです。
6倍。高くても8倍。
10倍以上は、やめた方が良いです。
理由のひとつは、手振れするからです。
手持ちで10倍以上は、まず使いものになりません。
もしどうしても10倍以上が欲しければ、三脚に固定して使うのを前提にするか、後述の防振(手振れ補正付)双眼鏡を選んでください。
理由のふたつめは、倍率が高くなると暗くて見えにくくなるから。

2.口径

口径と言うのは、先っちょについているレンズの大きさです。
大きいほど、明るく見えます。
ただし、これは倍率と関係があります。
倍率が低いと、口径が小さくても明るく見えます。
倍率が高いと、同じ明るさで見るには、大口径が必要です。
口径が大きいと言うことは、レンズが大きくなるので当然大きく、重くなります。

3.見かけ視界

双眼鏡を覗くと、丸い円の中に映像が見えますが、その円の大きさを示すと思ってください。
見かけ視界が小さいと、鍵穴から覗いた景色のように一部分しか見えない感じですが、見かけ視界が大きいと、大きく広く景色が見えます。
倍率が同じでも、見かけ視界が広いと、狙っている部分の周囲も良く見えるので、ストレスがありません。
他に、実視界という数値もありますが、感覚的に解り易いのは見かけ視界です。なお、カタログに実視界しか書いて無くても、見かけ視界は実視界から簡単に計算できます。

4.アイレリーフ

双眼鏡は、通常接眼部に眼をぴったり付けて覗きます。
接眼部から目を離していくと、あるポイントで像の全体が見えなくなります。
どのぐらいまで目を離しても大丈夫か?を示すのがアイレリーフです。
眼鏡をかけたまま双眼鏡を覗く人にとっては、重要な数値です。
眼鏡をかけると、必然的に接眼部から眼を離すことになるので、アイレリーフがある程度長いものを選ばないと上手く見えません。
一方、裸眼の人はあまり気にする必要は無いです。
私は裸眼ですが、むしろアイレリーフの長すぎる機種では別の問題が生じる場合があります。

5.防水

双眼鏡によっては防水機能がついています。
水中で使えるわけではありませんが、降雨時や手が濡れている時でも安心して使えます。

6.ダハプリズムかポロプリズムか

双眼鏡の中には必ず、プリズムが内蔵されているのですが、その方式の違いです。
詳しい話は省略しますが、同じ価格であればシンプルなポロプリズムの方がダハプリズムより性能が良いです。
どちらを採用しているかは、カタログを見れば書いてありますが、簡単な見分け方があります。
ダハプリズム採用機は、先っちょのレンズ(対物レンズ)と眼に当てる方のレンズ(接眼レンズ)が、同軸上、つまり一直線上にあります。
双眼鏡が筒を2本束ねただけのような、シンプルな形をしています。
一方ポロプリズム採用機は、対物レンズと接眼レンズが必ずズレて無骨な外観になっています。外観は複雑ですが中のプリズムは実はこちらの方がシンプルです。
ポロプリズムは昔からある方式です。ダハプリズムはポロプリズムと同じ性能を出そうとすると、かなりお金をかけていろいろ細工しないといけません。
ちょうど、基本性能が高かったβマックスと、基本性能が低くそれでもなんとかあの手この手で無理をしてβマックスと同じ性能を出そうと頑張ったVHSみたいなものです。(一部の方にはとても解り易いたとえだと思います。)

7.防振機能

数は少ないですが、手振れ補正付の双眼鏡があります。
キャノン、ニコン、ビクセン、サイトロンが出しています。
バッテリーを内蔵していて、手振れを補正してくれます。
これであれば、10倍以上の高倍率双眼鏡を選んでも大丈夫です。
各機種で使用するバッテリーの種類が異なります。
単4電池、内蔵リチウムイオンバッテリー、などなど。
個人的には内蔵リチウムイオンバッテリーより、汎用単4電池で動くものをオススメします。電池がなくなっても出先ですぐに調達できますし、エネループも使える。末永く使えます。


双眼鏡選びで一番大切なこと


1.それは、必ず、実機を覗いてみること!

お住いの場所によっては難しいかもしれませんが、できればお店に行って実機を覗いてみてください。
スペックは同じでも、メーカー、機種によって見え方は雲泥の差です!

2.実機を覗く際、しっかり調整してから比べること!

実機を覗く際に、必ず、必ず、まずは調整してから比較してください!!
双眼鏡は覗く人に合わせてしっかり調整をしないと、本来の性能を全く発揮できません。
よくあるのですが、家電量販店などに置いてあるサンプルは調整が無茶苦茶になっています。
前にいじった人が自分用に調整してそのまま置いていったか、あるいはそれすらも解らずに、適当に回せるところを回して無茶苦茶にして放置したか。
たまたま、本来性能が低いはずの双眼鏡がしっかり調整できていて、本来高性能のはずの双眼鏡の調整が無茶苦茶になっていたら、そしてそれをそのまま覗き比べたら、本来性能が低い方の双眼鏡の方が良く見えて、そちらを選んでしまいます。
これ、結構あるんです。
だから、絶対、調整してから比べてください。
フェアに勝負をさせてやってください!


3.では何を調整しなければならないのか?

・まずはアイカップ
最近の双眼鏡は眼を当てる部分(接眼部)に、ゴム製の筒が付いていることが多いです。それが出し入れできるようになっています。
眼鏡をかけたまま覗く人は、そのアイカップを一番奥まで引っ込めてください。裸眼の人は、とりあえず一番手前まで引っ張り出してください。
これをしないと、うまく見えません。

・眼の間隔
人の眼の間隔は千差万別ですよね。
自分の眼の間隔に、双眼鏡の接眼レンズの間隔をしっかり合わせます。
大抵の双眼鏡は左側と右側の間が折れるようになっていて、この折り具合で間隔を合わせるようになっています。
左目側で見える円と、右目側で見える円が、欠けることなく、完全にひとつの円になるまで調整してください。

・視度調節
これを知らない人が、意外と多いです。
買ってからも、ずっと調節せずに使っている人さえいます。

人の眼は、左と右で視力が違います。
そしてそれは人によってもちろん異なります。
これを合わせないと、たとえ20万の高級双眼鏡でもうまく見えません。
やり方は、
まず右目を閉じ、左目だけで何かを覗いて中央にあるフォーカスリングを回してフォーカスを合わせます。必ず、左目だけでやります。
これで、フォーカスが合ったら、
今度は左目を閉じ、右目だけでさっき覗いたのと同じものを覗きます。
そして今度は中央のフォーカスリングは動かさずに、右目の接眼部にある小さな視度調節リングだけを回して、フォーカスを合わせます。
(一部、外国製の双眼鏡では右目の接眼部ではなく別の場所についているものもあります)
これで、調整完了です。
一旦視度調整が終わったら、この視度調節リングは(あなたがこの双眼鏡を使い続ける限り、そして視力が変わらない限り)触ることはありません。

ここまで調節してから、性能比較してみてください。
そして、お気に入りの双眼鏡を選んでくださいね♪



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