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「絞り」「シャッター速度」「感度」の単位

絞り」と「シャッター速度」と「感度」。
「この3つ」が、写真の明るさを決める。
そして、同じ明るさでも、その3つの組み合わせは多数存在し、組み合わせ方によって写真の出来が変わる。
というところまで、前回書いた。

ところで、「この3つ」とか「その3つ」とか言うのが何だか野暮ったく感じてきたので、「露出御三家」と、とりあえず呼ぶことにする。
なお、私は野口五郎なんて知らないし、舟木一夫なんてもっと知らない。

さて、露出御三家の組み合わせの話をする前に、今回はそれぞれの単位というか数字について書いておこう。
「えー、おれ単位トラウマ。」(いやその単位じゃなくて。。)
「わたし数字苦手。」
何を言うか。
お料理だって、「お塩2グラム」とか「水500cc」とか、かならず数字と単位を使うだろう?(注:「少々」とか「ひとつまみ」とかいった定量的ではない計り方は私は認めない。by スポックKinkin)
数字や単位は大事!
あきらめて読むのだ。

「絞り」の単位(f値)
f8」とか、「f11」とか、「f+数字」で表す。
(読み方は、そのまま「えふはち」とか「えふじゅういち」とか読んで大丈夫。余談だが、昔同じ調子で「ゴルゴじゅうさん」と読んで大恥をかいたことがある。)
数字が小さいほど穴が小さく光の量が少なく、すなわち暗く)なる。
今回のトップ写真はフィルムカメラOM-2N(20歳から使っている愛機。未だ故障知らずの凄い奴)だが、写真の下の方(レンズの最先端部)に見えるリングが、絞りの調節リングである。
ここに書いてあるのがf値。(えふち)
普通「f」の文字は省略して、数字だけがリングに書いてある。
このリングをカタカタ回すに連れ、絞りが動く。
つまり、(前回書いたように)レンズの中にある「007の虹彩絞り」が、ぐぐぐっと閉まっったり開いたりして、光の通る穴が小さくなったり大きくなったりするのである。
(注:実物は少し違う動きをするが、その話はまた別の機会に)
ところで、このf値の数字の並びをよーく見てほしい。
単純に、1,2,3,4。。。ではなく、
3.5  5.6   8   11   16   22  となっている。
(一見不規則だが、実は「等比級数」と言って、隣の数字を約1.4倍した規則正しいものになっている。ただし左端の3.5は除く。)
レンズによってはもっと広い範囲で、例えば、
1.4  2  2.8  4  5.6  8  11  16   22 と、広範囲に動かせるものもある。
この数字の深い意味については、今ここでは書かない。
ただ覚えておいて欲しいのは、この数字の羅列のひとつ隣に行くと、光の量が半分、または倍になるということだ。
たとえば、
f4からf5.6に動かせば、光の量が半分に、
逆にf4からf2.8に動かせば、光の量がになる。
隣の数字に1段動かす場合を、そのまま「1段」または「1段階」と呼ぶ。
よく、「絞りを1段開く」とか「1段絞る」という言い方をする。
まとめると、
f値の数字が大きいほど、絞りは絞られ、穴は小さくなり、光の量は減る
f値の数字が小さいほど、絞りは開かれ、穴は大きくなり、光の量は増える
f値が1段階変化すると、光の量が半分、または2倍に変化する。

「シャッター速度」「シャッタースピード」の単位
1/500秒」とか、「1/1000秒」とかで表す。
そのまま「ごひゃくぶんのいちびょう」「せんぶんのいちびょう」と読む。
写真の、「OLYMPUS」のロゴのすぐ下に見えるのがシャッター調節ダイアル。リングに、写真向かって左から
1000, 500, 250, 125, 60, 30, 15, 8, 4, 2, 1, B 
と書いてあるのが見えるだろうか?
このように、通常わざわざ「1/1000秒」と分数で書かず、省略して分母だけで書いてある。だから正しく書き直すなら、
1/1000, 1/500, 1/250, 1/125。。。となる。
お察しの通り、隣の数字に1段動くと、光がフィルムやセンサーに当たる時間的なトータル量半分、または2倍になる。
例えば、
1/500から1/1000に変えると、光の時間的トータル量が半分に、
逆に1/500から1/250に変えると、光の時間的トータル量が2倍になる。
これは感覚的につかみやすいであろう。
2時間日に当たるより、1時間日に当たる方が、日焼け量が半分で済む。
同じように、
1/500秒(0.002秒)日に当たるより、1/1000秒(0.001秒)当たる方が日焼け量が半分で済む。うんうん。解りやすい。(かな?)
そう、そして隣の数字に1段動かす場合、「1段」または「1段階」と言う。
たとえば、「シャッター速度を1段階落とす。」とか「1段階上げる。」という言い方をする。

「感度」の単位
ISO100とか、ISO800とか、「ISO+数字」で表す。
「いそひゃく」とか「いそはっぴゃく」とそのまま読んでいい。
もちろん、「アイエスオー」でもいい。
間違えても「うそはっぴゃく」と言わないように。
写真で見ると。。と言いたいところだが、写真のカメラ、OM-2Nには「感度調整ダイアル」は無い。※
フィルムカメラだからだ。
前回書いたように、フィルムカメラの時代は「感度を調節する」という概念は、あまり無かった。なぜなら、感度はフィルムに固有のものであり、そのフィルムをカメラに入れた時点で感度は固定されていたからだ。
(増感という荒技はあったが、マニアックな話になるのでパス。)
フィルム全盛期、富士のカラーフィルムでは、ISO100しか無かったように思う。その富士が1970年代後半になって世界で初めてISO400のカラーフィルムを出して、ユル・ブリンナーのCMが大ヒット、「おおすごい!ついにカラーで400が出たか!」と大いに驚いたものである。
思い出話はさておき。。デジカメ時代になってから、(前回書いたように)感度の調節がいとも簡単にできるようになった。
単位は、絞りやシャッター速度と同じく、フィルム時代のものがそのままデジカメに受け継がれ、ISOとなった。
ISOを絞りやシャッター速度と同じように「段階」の数字で並べると、
25, 50, 100, 200, 400, 800, 1600, 3200, 6400。。
となる。
数字が大きければ大きいほど、感度が高くなる。「1段階」変えれば、「感度」が半分、または2倍になるのは「絞り」や「シャッター速度」と同じ。
(ただし、変化するのはあくまでも「感度」であって、絞りやシャッターのように「光の量」そのものではない。)
たとえば、
感度をISO100からISO200に「1段階」上げると、写真の仕上がりが1段階分明るくなる。(センサーが2倍敏感になると考えれば良い)
詳しいことは、また次回以降に書くのでお楽しみに。

※補足
フィルムカメラに「感度調整ダイアル」は無い。
と書いたが、実は似たようなものがついている。
「感度設定ダイアル」である。
この写真のカメラ、OM-2Nには人間を助けるための機能、すなわち露出計と自動露出機能が備わっている。これもまた後日書くので気長に待っていて欲しいのだが、露出計とは今から写すもの(被写体)の明るさを計って、
「今これぐらいの明るさだから、これぐらいの絞りシャッター速度にすると良いですよ。」
と教えてくれるものである。
その露出計君が正しく働くためには、御三家の残りのひとつ、すなわちフィルム感度も知っておかねばならない。
もしたとえば、実際に入っているフィルムがISO400の高感度フィルムなのに、露出計君が「標準のISO100だろう」と思い込んで計算したら、明るさが2段階ずれた絞りやシャッター速度が提案されてしまい、それに素直に従うと、真っ白けの写真ができあがってしまう。
露出計は、被写体の明るさを正確に見る「眼」は持っていても、今カメラに入っているフィルムのISOが100なのか400なのか、までは解らない。
(モルカーじゃないんだから。。)
だから、フィルムを入れた人間が、カメラ(の露出計)に「いまISO400のフィルムが入っているんだよ。」と教えてあげないといけない。
そのためにあるのが「感度設定ダイアル」である。
デジタルカメラについている、「感度調節機能」とは全く意味合いが違うので、混同しないように。
(フィルムカメラに例えばISO100のフィルムを入れた状態で「感度設定ダイアル」をいくらぐるぐる回しても、感度は変わらない。感度はフィルムに固有のものだから、この場合だとISO100から動くことはない。)

で、その「感度設定ダイアル」、いったいどこについているのかと言うと、写真上部、ちょっと左寄り、カメラ本体上部に黒いダイアルがついていて、そこにASAと書いた小さな窓がある。目を凝らしてみると、400という数字が見えるだろう。
これが感度設定ダイアルで、「今、中にISO400のフィルムが入っているんだよ。」と人間(私)がカメラ(の露出計)教えた状態である。


なんか、気になる??

「どうしてISOを合わせるところなのにASAなんて書いてあるのよ?」

実はね、昔はフィルム感度の単位がふたつ、あったのですよ。
ちょうど、マイルとキロメートル、℉と℃みたいに。
アメリカ系のASAと、ドイツ系のDIN。
当然、同じ感度でも数字が全く違ってました。
ASA100に相当するのがDIN21
ASA400に相当するのがDIN27
って感じで。
だから、昔のフィルムの箱には必ず、感度が二つの単位で併記してありました。
ややこしいので、途中で国際規格に統一され、ISOとなったわけ。でも。。
「統一された」と言っても、実は
「ISO100/21°」と書くだけ。
なんや!そのままひっつけただけやん!!
冗談みたいな「国際規格」ですね。
ですが、次第に"/"より後ろの「元DIN規格」の感度表示は省略されるようになり、たとえば「ISO100/21°」なら、「ISO100」と呼ばれるようになりました。(少なくとも日本やアメリカではそうです)
というわけで、古いカメラにはASAの表記がありますが、ISO=ASAと考えて実質上問題ありません。
(だったらわざわざ変える意味、あったんだろうか??)

そういえば、ユル・ブリンナーの「フジカラー400」のCM。
テレビで、手を叩きながら、英語で
「フジカラー フォーハンドレッド。ふにゃららふにゃらら。。。」
と喋っていましたが、(↑聴き取れなかったのなら書くな。)
下に字幕が出てて、
「この動きが写せるかね? ASA400なら写せる!」
と書いてありましたっけね。

数字の羅列ばかりであまり面白くなかったかな?
特に絞りの数字の並びなんて、一見不規則でとっつきにくいでしょう。
でも大丈夫。実際にカメラをいじりはじめたら、嫌でも頭に入ります。
おつかれさま!
次回からはいよいよ、「露出御三家」の使いこなし方へ!

今回は何だか思い出話が多かったような。おまけに支離滅裂。。


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