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46音で何をつくる?(楽曲制作の裏話:いろはうた)

■はじめに

『いろはうた』という楽曲を作りました。歌唱 結月ゆかり。
ボカコレ2024冬に参加した楽曲です。

ここでは、制作の裏話をしようかと思います。

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■楽曲制作

●ギミック考案
楽曲制作は、まずギミック考案から始まりました。候補は挙げられるだけ挙げました。こんな感じです(一部抜粋)。

このアイデアたちの中から、下記の条件に合うギミックを選びました。
・50音表を用いる
・動画映えする
・楽曲のクオリティが下がらない
・実現可能性がある

一部、回文など上記にマッチしていないギミックもありますがだいたいこの条件に当てはまると思います。

●リファレンス選定
基盤になっているのはwowaka『アンノウン・マザーグース』です。選定理由は色々ありますが、何より好きなので。

動画リファレンスも明確にあります。霧四面体『虚像の過多の上に夏』。

見ていただければ余裕で分かると思うのですが、下記を参考にさせていただきました。
・UTAU/SV重音テトで歌唱 ▶︎ 結月ゆかり複数バージョンで歌唱
・フォント
・曲中でクレジットや使用プラグインが出る

(霧四面体さんにはご快諾頂いた上で投稿しました)

●作詞/作曲
そしてここから、 ギミックに沿った歌詞とメロディを作る→消す→作る→消す→作る→消す→病む→初めに戻る。 の繰り返しが始まります。一番時間がかかった工程です。

イントロ部分から順番に作り始めたわけではなく「今日この部分いけそう!」という直感を信じ、バラバラに制作します。初めにできた箇所はパングラム(50音を被りナシで使う部分)です。

本編の1:36~1:45

基本的には50音表に書き込みながら制作していました。こんな感じ。

本編の0:27~0:35頃

ときにはエクセルを用いたり。

本編の2:16~2:33頃

ときにはサイトに頼ったり。

本編の0:36~0:44
回文メーカー https://kaibunmaker.com/

制作時間は4小節につき数時間です。4小節のうち一部でも歌詞を変えようとすると、前後の歌詞(ギミック)が崩れてしまいます。そのため、一部気に入らなかったら全部気に入る歌詞が書けるまで最初からやり直します。

「動画になったときに面白いか」を常に考えながら歌詞を考える経験は初めてでした。基本的には50音表と国語辞典とサイトを行ったり来たりしながら制作しましたが、私の普段の歌詞となるべく乖離がないように制作したつもりです。

●編曲/調声/ミックス
作詞作曲が終わると編曲と調声を同時進行で行います。今回の歌唱は結月ゆかり純、穏、凛、麗、雫、凪に、ex voiceが少々。結月ゆかりのトラック数が楽器を上回りました。

DAWの中身

ギミック系楽曲とはいえ、結月ゆかりの声が主役なので、調声→声に合わせて編曲→調声→声に合わせて編曲 と、行ったり来たりしていました。ミックスにはそれほど時間がかかっていないのですが、思い返せば編曲の段階で大体音色が固まっていたのが大きいかもしれないです。

●動画制作
最後は動画制作です。今回は動画ありきの楽曲なので自分で制作しました。

結論、動画はパワープレイで完成させています。まずはPhotoshopで大量にレイヤーを作ります。

「あ」「い」「う」など、全部別レイヤーです

レイヤーを1枚ずつ書き出し、動画編集ソフトにぶちこみます。

まるで違法建築のようなレイヤーの積み重ね

あとはレイヤーを重ね、1コマずつ動かすだけです。

完成!!!


●その他
動画説明欄にもパングラムを入れようと思い、下記を作りました。

「日止む真夏の夜空へ 音色差すと
 秋 紅葉散りて 消せ得ぬ穏和
 ボカコレ冬に 春めく歌を」

 ひやむまなつのよそらへ ねいろさすと
 あき もみしちりて けせえぬおんわ
 ほかこれふゆに はるめくうたを

ただ文字数の関係でクレジットが入らなくなったので記載できませんでしたた。あと多分ダサいです。供養しておきます。

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■楽曲のテーマ

今回『いろはうた』は、私と結月ゆかりの出会いをテーマにしています。テーマにしている、というかテーマを決めずに歌詞を書き始めたらそうなっていました。多分、今回じゃなくてもいつか結月ゆかりとの出会いを曲にしたかったんだろうな〜と思います。

歌詞の解説は私の中にしまっておくのがいいかな〜と思い、制作の話だけに留めておきます。

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■おわりに

今回ルーキーランキング16位というありがたい結果をいただきました。聴いていただいた皆様、関わってくださった皆様のお陰です。ありがとうございました。

正直こんなに聴いていただけるとは思っていませんでした。制作は大変だったけど楽しかったです。

この出力が次回以降のボカコレでできるか分かりません。今回は運も良かったと思います。これからも制作を楽しみつつ、鑑賞を楽しみつつ、こっそりと結月ゆかりがルーキーランキング1位になるのを期待しています。

終わり。


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