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俳句「小春」

一盌の中にありたる小春かな

 昨日、三年ぶりにお茶会に足を運んだ。日曜日に外出するのも三年ぶりだ。父が死んでから、平日は姉に来てもらって仕事に行き、祝日と日曜日は自分一人で母を看る。だが、昨日は縁ある人の茶会だったので、どうしても顔を出したくて、姉に頼んで家に来てもらった。
 城の庭園の中の茶室で薄茶をいただいている間、日常のことはすべてわすれ、ただただ茶や道具や花や炭や菓子にこころを向けている。茶道の魅力は、この忘我の感覚だと思う。昨日は冬とは思えぬ穏やかな日和だったが、それにも増して一服の茶がこころを寛がせてくれた。「ああ、休日を過ごした……」久しぶりにそんなふうに思えた一日だった。

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