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俳句「花を休む」

チューリップ今年は花を休もうよ

 花を咲かせることは、植物にとって、大変なエネルギーをつかうことなのだろう。一度、花が咲いたあとの水仙の葉が見苦しくて、枯れる前に刈り取ってしまったら、翌年はまったく花が咲かなかった。光合成によって球根に栄養を蓄えることが出来なかったのだと思う。人は変わるが、梅の花は昔と同じく香っている(※)と紀貫之は詠んだが、花を咲かせるための梅の営みは、けっして香りのように優雅なものではあるまい。

 チューリップの球根も花を咲かせると小さくなって、翌年は花の咲かないものもある。それでも捨てがたくて、わが家には葉のみのチューリップがいくつもある。今年は花を休んで、ゆっくり栄養を蓄えておくれ。

※ 人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける(古今和歌集)

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