いつか「あの夏の流星群」という叙情的な響きと共に私が語るのはJAF車両の輝き

「流星群が来るってよ」
という情報をXで得たのは今日の昼すぎだったか。

昨夜しこたま飲んだせいで脱水状態の頭でぼんやり眺めていたタイムラインにそんなポストがあったような気がする。
こういうのはだいたい、タイミングを逸しがち。
でもでも今晩だっていうじゃない。

東京にいる頃、流星群のニュースを見るたび「ふらっと見に行ってみたい」とか思いつつ、結局行動に移せずに歯がゆい思いをしていたのだけれど。
今は車があって、暗がりだらけで、すぐそこに山もあるという流星群を見るにはうってつけの環境になった。

それなのに、結局まだ一度も流れ星狩りをしていないのである。
行くしかない。
そんなことを思いながら、祝日マジックでぼんやり過ごして夜になった。

外食してお腹を満たして時計を見ると22時過ぎだったように思う。
なんでも23時に極大だとか、月がちょうど沈むだとかで、移動考えるとなんだかんだいい時間になっている。

いつもの秘密基地が鉄板なのだけれど、先日行ったばかりだしなと思う。
前に一度たどり着けなかった展望台があるのだけれど、そっちのほうが近いし、試しに行ってみることにした。
微妙だったら場所を変えればいい、と。

この先に心霊スポットがあると言われても疑わないような山道を進んでいく。ヘアピンカーブの連続、手入れがされてなくて伸び放題の草や今にも道路に倒れてきそうな竹。
ぐんぐん進んでいくと。突如景色が開けて、峠の展望台についた。

家族連れの先客がいて、そのファミリーカーの横につける。
降りて夜景の眺めていたら「こんばんは」とパパさんに声をかけられた。
こういうときに躊躇なく挨拶できる人、だいたいいい人。

夜景見たり空見たりしながら、しばらくすると家族連れは帰宅の準備をし始める。
「たくさん見えるといいですね」と言って帰っていくパパさん。
完全にいい人。

入れ替わりに治安の悪い音をさせた車が登ってきた。
やんちゃなカップルが降りてきた。
彼のほうのタバコの吸い方が中学生みたいだった。やんちゃ。
語彙力もシンプルでかわいかった。

もうしばらくすると女子3人組もやってきた。
シートを敷いて寝転がっている。やる気満々。
そしてかしましい会話に花を咲かせていた。
狙ってもないメンズの格付けを行っていた。高尚な遊びらしい。

その後も、カップル。男子4人組などがやってきて、盛況の峠。
流れ星もそれなりに流れつつ、ちょっと居心地が悪くなったので撤退。

なるべく静かに流れ星が見たかったので。
ここには自分はふさわしくないなと思った次第。

帰り道で事件は起こります。
まあ、狭い道なのです。
運悪く対向車が来た場合は広い場所ですれ違わないといけない。
それこそ登るときに対向車と鉢合って、暗い山道をバックしながら場所を確保するっていうことをしていたり。
ただ今回はちょうど端に寄ればなんとかなりそうだったので、目一杯寄ったんです。
もうそれぐらいでいいよね、というところで、もうちょっとと欲を出してアクセルを踏んだのがよくなかった。

明らかに鳴っちゃいけない音がして、ガクン、と頭の位置が下る。
あ、これやりましたわ。そう、脱輪です。

対向車がいなくなったあと、外に出て確認したけれど草がぼーぼーでまったく見えない。
ただ、どうやってもタイヤが空回りして動かないので、完全に側溝に落ちたんだろうなと思うわけです。

星がきれい。

不思議なものでまったく慌てることもなく、あーあーこれあれだわ、JAFのだわ、入ってみてよかったーみたいな気持ちです。
人生初脱輪からの初JAF。この時間に来てくれるのかということだけが心配だったけれど、とりあえずアプリで呼んでみます。

行けました。
テッペン回ってても来てくれるんだ、神……と思いながら何もできることはないから車に入り。仕方ないから空を眺めます。真っ暗なので、星がきれい。

そこから何度か電話が来るわけですが、私ったら分かりづらいことを言ってしまい、業者の方が山の反対側に上ってしまうという自体が発生。
夏で深夜で山道ですよ。現場と思う場所に行ったら車はない。電話したらそっちじゃないと言われる……
下手したら怪談です。申し訳ない気持ちでいっぱい。

三度目の電話でしっかり場所が伝わり、そこから小一時間。
下の方から明らかに明るい何かが!!
JAF車両の到着でございます。

四角くてかっこいい! そしてLEDライトがびっかびか!山道でも安心の明るさ!
とても優しいおじさまで、こっちが悪いのに遅れたことを謝られ。テキパキと現場確認して、車が連結され。
「車に乗ってもらって、左にハンドル切って、止まったところで固定しててください。で、ニュートラルに入れて、サイド下げて」と言われたとおりにして、ハンドル握って固まるわたし。

そこからぐん、ぐん、ぐんと小刻みに引っ張られ、明らかに頭の位置がぐんっ!ってあがり……
無事に車両は側溝から救い出されたのでした。

液漏れ等もなく、走れるでしょうということで一件落着。
請求ただでびっくりするわたし。
(なんでですか!?とか聞いちゃった。会員ですから~って言われたけど詳しいことまだわかってない、さすがに常にただなわけない)

とにかく、事なきを得て家に帰るのでした。

でね。
事前に調べていたんだけど、23時が極大と言いつつまだ低くて、明け方3時ぐらいのほうがより見える(何が低いのかは感覚で掴んだのでちゃんとはわかってない)、っていう情報があったんですよ。

なので、ちょっと休んでもうワントライしようかな~なんて思っていたのが、結構いい時間に。このまま行くかと、とある神社の駐車場へ。

周りが暗いし駐車場があるからいいかなと思ってたんだけど、行ってみるとオレンジの街灯が煌々と輝いていて却下。
もう一つの神社にも行ってみるんだけどそこも同じく。
さらに別の神社へ。
表はまたまた同じくオレンジ街灯なんだけど、裏手の方にいい感じの車止めがあって、周りは田んぼだけという好立地。

そこでアウトドアチェア出してしばらく空を眺めていたんだけど。
かなり雲がかかってしまってて。これはのぞみ薄だなぁという感じ。

……もう一回、峠行くか、とふと思う。
高い場所のほうが空が広いし、風もなんかありそうだからワンチャン。と思いまして。

先ほど脱輪した山道をもう一回登るわたくし。
アホだなぁと思いながら、こういう謎の行動力が発揮されているときは調子がよい証拠なので良しとする。

さすがに3時近くの峠には誰もいませんでした。独り占め。

アウトドアチェアを再び出して陣取るも、やっぱり雲は多め。
晴れ間はあるけど、みたいな状況。

でもまあ、せっかくだしとしばらく居座る。
風吹いて雲消えろ~、なんて言ってたら本当に結構は晴れ間が広がった瞬間も合ったりして、この前の魔法使いの話を思い出したりした。

結局、二回目は3個流れ星が見れて。
一回目と合わせると10個以上は見れたんじゃないでしょうか。

流れ星の数は思ったほどではなかったけれど、楽しい夜でした。
新しい場所ができたこと、新しい経験が2つ追加されたこと。
夜の神社は暗くねぇ、とわかったこと。
一人でじっくり時間が持てたこと。

願い事は流れ星じゃなくて夜空にしました。
ルールなんてねぇよ、いつでもしたいときに世界に向かってすればいいんだ。

夜空を眺めてひとりごといってるこわい女だったけど、わたしは世界と会話してる気分だったよ。

また話そうね、世界。

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