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【激安レンズはここまで来た】すべてが高水準でまとまった TTArtisan 35mm f1.4 APS-C レビュー【8000円切り!】

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0.「35mm f1.4が8000円切り!?」

そんな驚きで始まったTTArtisan 35mm f1.4との出会い。
どんどんと新しく、性能も高く、そして安いものが出てきている中華レンズですが、1万円切りのレンズがさいきんアツイらしいのです。

ってことで、レビュー行く前にちょっと各中華メーカーのレンズの復習にいきましょうか。ぼんやり説明しますが、まだるっこしかったら上の目次欄から飛ばしてください。

1.中華で1万円前後の標準レンズ/おさらいと解説


まずはNeewerさん。

Neewerは元々レンズ以外のカメラ小物をめちゃくちゃ出しているメーカーで、ストロボとか、背景紙とか、そんなものを激安で出している場所。ここがちょっとだけレンズもだしました、みたいな感じのノリで10000円切りでf1.2のレンズを出してきました。とんでもない大胆不敵さにはびっくりで、写りもポートレートとしては良いとも聞くんですが、しかしこのシリーズ、下の2機種には致命的な弱点があるとのこと。

なんと、無限遠が出ないんです。えっ?

個体差もあるらしいんですが、無限遠が出ないということは風景写真がとれないってことなんですよね。そんなレンズを数千円出して買うのはさすがになぁ、と個人的には思ったりします。一番上の売れ筋の35mm f1.7では見ない弱点らしいんですが、絞り羽根が曲がった状態で届いたフォロワーさんもいるらしいので、品質管理もやや心配かも。その分安いんだけど、個人的にはなしかなぁ、なんて思ってます。餅は餅屋に。小物は良いの多いんですけどね。


中華の新星Pergear。

気付けば出ていた中華の新星Pergear。富士フィルムに対して熱烈なアプローチを掛けることで、ほんのちょっぴり高い純正レンズを押しのける勢いが出ているとかいないとか。こっちも絞り羽根曲がってるってレビューは見ましたが、全体的にはそんなに悪い評判聞かないです。ただまあ出たばかりのメーカーなので、これからに期待って感じですね。


この中では比較的老舗、国内代理店もある7Artisans(七工匠)

こちらは意外と前からある中華メーカーさん。ヨドバシで買えたり、Leica M用に明るいレンズとかも作ってるので、こちらは結構有名かもしれません。ビルドクオリティはそれもあって、Neewerよりはマシの様子。ただ、上のf1.2レンズはどうやらゴーストが気になるらしく、ちょっとオールド感強めらしいんですよね。実用するには気になるところもあるとか。

と、まぁこんな感じでどこも一長一短ありつつ、まぁお勧めするならPergearなのかな……と思っていたところに、今年の10月に小さいながらも事件が起きました。そう、我らが(?)TTartisan(銘匠光学)の参戦です。
しかも、Neewerと7Artisansが似ているとか、Pergearと安Cマウントレンズが似ているとか、そういう裏事情が中華には多いんですが、TTArtisanは廉価盤としてもOEM攻勢ではありませんでした。ここから本題に入ります。


2.Leica向けレンズメーカーが廉価帯になぐりこみ!

さぁいよいよ今日の本題、TTArtisan(銘匠光学)の登場です。こちらのメーカーは今までは基本的にフルサイズ向けの中華としては高級路線が多く、特にLeica向けのマニュアルレンズを多く販売してきたことで知られています。

なので、中華レンズメーカーの中では比較的信用できるメーカーだったんですが、そこが急にマイクロフォーサーズ/APS-C用(軽量ミラーレス用)のレンズを独自設計で出したわけです。つまり、今までのレンズに比べると、何倍か期待できるレンズが登場したことにより、界隈が勝手に盛り上がります。しかもf1.4なのに値段は8000円前後。これは買うしかない、と人柱になったわけです。

3.外観レビュー、意外としっかりしてるなコイツ

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外観を見ていきましょう。到着して内装を開けたらこんな感じ。結構な高級感をもったレンズがそこに鎮座しています。安いCマウントのように紙の箱に転がっているような感じではありません。

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専用箱に専用の説明書。これだけでも「商品」感は爆上がりです。これが8000円前後で買えるのかぁ……というのがまず初めの驚き。
ちなみに、梱包も買ったショップはわりとしっかりしていました。それでも箱が少しだけ角がつぶれているのはご愛敬。

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中には10枚の絞り羽根が備わっています。比較的綺麗に見えますね。特にこのあたりの問題はなさそうでした。

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カメラに装着した感じ。スムーズに着脱可能。また、絞りリングについてはすこし癖があり、見てもらうとわかるのですが、f1.4~4までは1/2段の調節があるのですが、f4以降は1段ずつになります。個人的にはこの割り切りは小さなレンズなので使いやすさ的には良かったなぁと思ってます。どうせ使わないしね。

また、ピントリングは滑らかに回るのですが、少し注意が必要です

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上の図を見て頂くとわかるのですが、上部のでっぱりを境に絞りとピントが分かれており、この二つが密接しています。それにより、絞りの調整をする際、少し気を遣わないとピントリングもついでに回してしまい、「あれ、ピントを合わせたはずなのになんかあってないな……?」がありがちです。これで私は写真を10枚は無駄にしました(真顔)。

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また、レンズキャップは39mmのねじ込み式です。ちょっと昔のレンズっぽくていいですよね。ただ、レンズについた指紋がすこしふき取りにくかったので、レンズフィルターを個人的には推奨します。

外観としてはこんな感じ。あ、安心してください。無限遠はちゃんと無限遠で出ます!安物中華レンズでは出ないのもある中で、こいつはもう気持ちよく無限遠がでます。よくもまぁ8000円でこんなものを作れるな……と感心しきりなんですが、果たして写りはどうでしょうか。既に2000字を軽く超えてますが、実写レビュー、行きます!


4.実写レビュー。優等生なTTArtisan 35mm f1.4。

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作例は全て撮って出し、NEX-3,NEX-5Tでの撮影です。
まずは口径食から確認しましょう。開放でこんな感じ。思ったより中央近辺は円を維持しており、個人的には十分かなぁといった印象。それに、安物レンズにアリがちな、盛大なフレアは割と抑制されていますよ。

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絞り開放かつ最短撮影距離付近で。フェンスを撮りましたが、左側にそれなりに周辺光量落ちが見えますでしょうか。ただまぁ、個人的にはこれくらいなら味といいたいなぁと思います。それに二線ボケもそんなに汚くないし。

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開放でのご飯。白いお皿を撮影したからか、これはかなり画面全体がふわっとしてますね。ピントの薄さも相まって、ちょっとここまで絞りを開けるとどうなのかなぁと思いますが、画は破綻してませんね。

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f2.8くらいだったかな。ローキーでの作例を。まぁ、これだけで何とも言えませんが、特に気になる癖も無いかなぁ。

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盛大な逆光でのフレアとゴーストを狙ったカット……だったんですが、まさかの想像以上に耐えてしまいました。とはいえ、右下にゴーストの輪が見えてますね。二線ボケは少し気になるかもしれませんが、個人的にはこの価格では十分に合格点を上げたいなと思います。

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f5.6での夕日。この辺りはもう完全に優等生です。普通に写り、普通にトーンが良い。当たり前が出るって素敵です。しかもこんなに小さいのに……

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同じくf5.6。まぁそんなに歪んでませんよね。ってことで風景にも使えるかなぁとか。

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f2で撮影。やはりボケ味は優秀かなぁと思います。そこまで癖がないレンズですよね。

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同じくf2で。飯テロとしてはこれくらいがいいです、個人的には。

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f1.4でのカット。35mm f1.4だから出る立体感がこのコンパクトさでも出せるのは良いですよね。少し周辺に流れがありますが、まぁこれは仕方ないでしょう。

5.想像以上の優秀さと、驚くくらいのコンパクトさを8000円で。

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以上、いかがだったでしょうか。このレンズに関しては、正直「ダメだったらこきおろしてやろう」という気持ちで買ったんですが、いい意味でその気持ちを反省させられるようなレンズでした。質感も写りも含め、ここまでのものが出てくるとは思っていなかったところ。
これからは胸を張って、「1万円以下なら間違いなくTTArtisanだね」と言っていくことにします。以下作例をもう少し載せておきます。

これらのレビューが参考になって、皆の写真ライフがもう少し気軽に楽しいものになれば幸いです。ではまた。

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完全な余談:

今回の撮影の大半はNEX-5Tで行ったのですが、当機種はWiFi付きなので撮影画像がすぐに転送できるんですよね。それでいて現在の相場はおよそ1万円台前半、安いと10000円で買えるようす。
つまり、今回のレンズと合わせれば、なんと2万円未満で、「WiFi付き52.5mm f2ちょいのカメラ」が手に入ってしまうわけです。飯テロやポートレートだってこなせるかもしれず、しかも撮影画像がすぐにSNSで共有できるカメラセットが2万円で安定して買える時代になったんだなぁ、とちょっと驚きです。

最近5D2やD700の値崩れを見るにつけ、4万円でフルサイズが手に入るのすら、珍しくなくなってきました。今でも色がいいと呼ばれるフルサイズに、たとえばYongnuoの35mm f2をつければ、私のいつも使っているようなお散歩セットが5万円でそろってしまいます。WiFi付きSDカードを入れても5.5万円はいかないでしょう。今回の2万円セットもふくめ、誰もが気軽に写真趣味を本格的に始められる時代はもう来たんですね。後は撮るか、撮らないか。可能な限り私は撮っていけたらいいなぁと思っています。4000字超えたので終わり。以上、完全な余談でした。

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