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【1万円台の超広角】Pergear 12mm f2 は超広角レンズのエポックメイカーとなれるか

はじめに

この前こんな記事を書いたことで、激安中華レンズにも一定のクオリティが伴ってきた気がして、ますます興味が募っていた今日この頃。

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はい。入手しました。前回少し話題にしていたPergear社から出た、
APS-Cで楽しめる12mm f2が2万円切りとかいうヤバいやつです。

マウントは富士フィルムもSonyもNikonZもマイクロフォーサーズもあって、ミラーレスは大体網羅。APS-Cサイズでの対応なので、実際は18mm相当ですが、それでも超広角としての楽しみは健在です。

ということで今回は、2万円切りの超広角は本当に使えるのかを結構まじめに検証しながらレンズを試していこうと思います。

①中華レンズに抵抗はないが、次々出るためどういう写りかわからない人
②とにかく安い超広角が気になっている人

におすすめです!


格安超広角レンズのおさらい

今回も前回記事と同様に、まずは中華も含めた超広角レンズのラインナップをおさらいします。価格としてはおよそ3万円強くらいまで。

見てお分かりいただけるように、実は超広角って中華レンズ激戦区なんです。大体12mm(換算18mm)でKAMLANだけが15mm(22.5mm)。価格は2.4~2.8万で、メーカーも5社。なので、ここからどれを選ぶかはぶっちゃけとても難しいので、だからこそPergearが出てきたと思ってたんですが……しかし。これ、注意してほしいのが一番下のレンズ。この形……Pergear、ですよね?スペックも一緒なので完全一致です。

そう、なのでPergearの今回の目的としては、「日本で有名でないメーカーのOEMを自社から安価で出し、Pergearブランドを拡充すること」かなとは思います。なので価格帯もしっかり練られている様子。

また、ここで注目したいのはその中に唯一輝く純正Canon超広角。そうです、EF-M 11-22mmですね。先に述べておくと、ミラーレスで超広角に困ったらこれを買えなのは間違いないです。それくらいいいレンズで、しかも安価。ただ、Canon機の色であるだとか、機能性であるだとか、超広角だけCanonを使うわけには……となる人は結構多いはず。今回のレビューもそんな人が見るのかな、と思っています。


外観チェック 【Pergear 12mm】

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箱。あんまり奇をてらわない、良くも悪くも無難なパッケージです。中にはそのままレンズポーチにレンズが入っており、耐衝撃的な面でも悪くないかと思います。本当に普通。

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外観とNEX-5Tに着けてみた図。外観のかっこよさは素直にいい感じ。フードは元からねじ込み式の花形フードが付属しています。付属はうれしいですが、少しペラペラで落下させたらすぐ変形するかも。

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無限遠が……ずれてる……!!!
恐る恐る写真を撮ってみると、この状態でも一応無限遠は出ていたのでヨシとしましょう。絞りはクリック感のない無段階絞りですが、いきなりf4からf8に飛ぶのはなんでなんだろう……


写りチェック 【Pergear 12mm】

実写に映ります。
超広角レンズを購入するとき、標準域のレンズよりも歪みが激しいものがおおいこともあり、

①歪まないこと
②光量落ちがひどく無いこと
③周囲が流れないこと

が気になるわけです。ということで、
まずは開放で壁を撮ってみたのですが……

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中央

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左上

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歪んではいないんですが、
明らかに光量落ちと流れが発生してますね。あちゃあ。

f8くらいに絞ってみましょう。

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中央

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左上

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全体的に少しマシになりましたが、やっぱちょっと流れてますね。どうにも補正しきれない収差がある印象。こうなると、建築写真は撮りたくない感じです。2万円でかえるレンズではさすがに厳しいのはわかってたので、その他の描写に行きましょう。(このあたりの話、あんまり他のレビューで見かけなかったので怪しいなぁと思ってたんですよね……)

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太陽を入れて開放で超近接撮影。耐えている…とは言いませんが、この描写はそんなに悪くないですね。違和感がない盛大なゴーストです笑

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逆に厳しかったのが斜め上の画面外から光が重なるとき。盛大なゴーストになってます。これ、花形フードじゃなくて円形フードなら避けられた気がするんですよね……

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開放での描写。相変わらず凄い光量落ちですね。ただ、画像全体の感じはそんなに悪くないです。ただ、全体的にコントラスト高めに感じるので、編集をしなくても既に画が出来上がってる印象があります。よく言えばノスタルジーな広角レンズかもしれません。

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この写真も無加工でこのコントラスト。富士フィルムで撮ったのかってくらいシャドウがすとんと落ちます。発色は寒色寄りな感じなのかなぁと思ったりします。

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Sonyセンサーだからなのかもしれませんが、赤の発色はちょっと飽和しがちなイメージがあります。

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逆にハイライトギリギリを攻めに攻めた白い花は綺麗に写るんですよね。こういう画ではコントラスト高めもいい方向に転ぶのかなぁ。

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ベンチで休憩中に何気なく上を向けて撮った写真。こうした被写体に対してはいい雰囲気を出してくれるっぽいんですよね。コントラストが高く、全体的に落ち着いたトーンで仕上げると真価を発揮してくれそう……この感じ、Sigmaの初代DP2シリーズを思い出します。

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さっきの玉ねぎの写った写真も、やや暗めに絞ればいい感じになった感。やっぱりDP2っぽい気がするんですよね。なんなんだろう。

「いつもと違うところに目を向けられるレンズ」かも

18mmという画角は、いつもはほぼ使わない超広角。
最初はそんなレンズをどう使っていこうかと持て余し気味ではあったんですが、しばらく使ってふと気づきます。「このレンズ、腰から下を写すのがすごく楽だなぁ」と。

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この写真もそう。目線を少し下げるとき、そこにはいつも見るのとは違う世界があって、そうした目の前のモノに対して、18mmという画角はどんなものでもさっと気軽に向き合い、そして写真を提供してくれます。

さっきのベンチの上の謎の植物たちだってそう、わざわざ立ち上がったりすることなく、真上の風景がその場にいながら切り取られていく体験は、18mmで、しかも背面液晶が気軽に動いてくれるカメラならではだと思うんですよね。それに、夕暮れの影が伸びる足元を切り取る体験は、広角でないと意外に難しいので。

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画角としても、写りとしても、正直癖はかなり強いと思います。ただ、この前紹介したTTArtisan35/1.4が、日常を気楽に写せるレンズだとすれば、こちらは、日常の中の自分の視点を少し変えてくれるレンズ。
それが2万円で手に入るというのであれば、考え方は少し変わるかも。他のレンズと一緒に少しカバンに忍ばせて、自分のいつも通う場所に少し違う発見を探してみたくなります。
更に、旅行先だったらもっと楽しいかも……なんて。小型軽量なレンズを何本かもって旅に出たいなぁと、改めて思うのでした。


あとがき

本レンズ試用1日目のレビューです。好き放題書きましたが、実際超高性能なモノというよりは、軽量小型で自由な撮影スタイルが取れる、気軽に親しむモノというイメージが強いです。なので、巷で言われているような過度な期待をして買うものではないかも。
間違いなく価格以上に面白いレンズではあるので、私自身はしばらく持ち出しつつ、新しい作例を撮ってみたくなりました。そうした中で、また新たな評価をしていくことが出来ればな、と思ってます。


【追記】じゃあ実際使ってどうよ。それが、実は最高なんですよ。不思議なもんだね。

使って大体1か月が経ちました。その間に京都で作例も追加で撮ったりしてたんですが、結論から言いますと、「気軽で歪みの少ない超広角は何だかんだサブ機に最高だよ」って話でした。

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コントラスト高めなので、こうした被写体がとてもきれいに出ますよね。

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逆光もなんかいい感じに耐えます。やっぱりあれです。「普段使いの超広角」って最高なんです。メイン機に着けるんじゃなくて、サブ機につけっぱなしにして、手軽に18mmを楽しむ。総重量は500g無い、GRにワイコンよりも広く、iPhoneの歪む16mmより気楽な18mm。これですよ。

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カメラは中古で1万円くらいのを適当に見繕いましょう。わたしはNEX-5Tですが、予算に余裕がないならNEX-3でも5でもいいです。サイレンとスナップがしたければαを、フィルムライクな絵作りがしたければ富士を。なんでもいいんですが、つけっぱなしのサブ機にする。これをサイドポケットに忍ばせるだけで街歩きがぐんと楽しくなります。

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夜だってなんだかんだ耐えます。歪みなんてスナップでは意外と気にならなかったりします。大事なのは軽くて、安いこと。一歩が踏み出しやすいこと。3万円からはじめる超広角撮影セット。あなたもおひとつ、いかがですか。

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