刹那を有意義に過ごす(2)

洗濯中であったが、空腹感を覚え、近くの韓国料理店に行った。 

時計を見るとすでに3時前、「レストランが閉まっているかも。」と、ちょっと心配したが、 運良くまだ開店中だった。

白髪の老女一人がお客のようだ。  最近は少し太り気味を意識するようになり、食べる量を控えたい気持ちは出てきた。

その日の朝食は有り合わせの茹で卵二つと、私の好きなコンコードぶどうを食べた。

米国の東海岸生活が長いが、 そこで偶然、コンコードぶどうと出会った。

マサチューセッツ州コンコードで育てられた葡萄で、 寒さに強い葡萄生育の努力が長年続けられて、出来上がった葡萄だ。

店頭に並ぶ時期は短い。 甘くて液体が多い種類である分、あまり日持ちがしない分、一年の内2、3週間しか見かけない、幻の葡萄なのだ。

そんなわけで、9月の声を聞くと私はソワソワしながら、コンコードぶどうを売っていそうなお店を探し回った。

仕事中は忙しく、年によっては見逃してしまう事も多かった。 

ハワイに移住してからも、コンコードぶどうを見かけたような記憶が有ったので、 今年は9月とともに、 日本食料品店に足を運んだ。

似たような葡萄を発見、詳しく吟味もせず、二箱も購入、自宅でよく良く見ると、ブルーベリーぶどうと言う種類で、私にとっては初めての出会いであった。

甘くて美味しい事は事実であるが、コンコードぶどうとは全然違う。  買ってしまった手前、急いで食べ終わり、今度は韓国食料品店に出向いた。

有りました。 東海岸で見たのと同じコンコードぶどうが、ホノルルでも見つかったのです。

棚に並んでいる量が少なく、大きな箱詰めを買って、自宅で食べ放題を楽しんだ。

コンコードぶどうは日持ちが悪いタメもあり、ジュースとして瓶入りで売っている場合が多い。

丁重に瓶の表面の表示には、「砂糖はつけ足していない。」と、書いてある。

昼食後、大きな木の木陰に置いてある椅子に腰掛け、真っ青な空を見上げた。

ゆっくり、のんびりムードで日々を過ごしている。  昼食後の休憩時間は何もせず、木々 枝をが風に揺れているのを見ているのが心地よい。

丸いテーブルに椅子が四つある場所に座っていたが、ビニール袋にジュースの空き缶や、プラスチックの空瓶を入れた70代らしい女性が、私の目の前に無言で座った。 

ちょっとインド風の顔貌をした背の低い女性で、空き缶類が詰まったビニール袋を床に置き、昼食らしい食べ物を食べ始めた。

ホノルルはワイキキ海岸で有名な観光地であるが、住民の中には苦しい生活をしている人々も多いようだ。 空き缶一つが5セントだとか、20個集めて1ドルほどになるらしい。

ほんの少量の昼食もどきを食べ終わり、その女性は無言で立ち去った。

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