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キング牧師 (8)

キング牧師  (8)

「ある意味で、彼女は歴史と運命の犠牲者であった。  歴史が彼女に与えた役割は、パーク夫人に良く合っていた。 彼女の性格は完璧であった。  貢献心は本当に彼女の心底からでたものだ。 このような彼女の性格は常に、多くの人々、黒人の地域社会から、大変尊敬されていたのだ。」

「彼女の裁判日は12月5日、月曜日に決まった。  パーク夫人の保釈金支払用紙に署名したE. D.
Nixon (ニクソン氏)と、あと2、3人だけが、木曜日の夕方パーク夫人が逮捕された事実を知っていた。」 

「ニクソン氏は不正議に対しては常に義憤を感じていた。  白髪混じりで背が高く色の黒いニクソン氏は、戦いに臨むタイプであった。」

「本職が乗客の補助をする鉄道乗務員であったニクソン氏は、組合組織と緊密な繋がりがあった。」

「その上、NAACPのアラバマ州支部の委員長を務めた。また、モントゴメリー区の委員長でもあった。」

「このような組合組織を動員して、ニクソン氏は日夜、無関心な黒人達の心を動かして、人々の権利擁護のために、最善を尽くした。」

「12月2日の早朝、ニクソン氏は僕に電話をかけてきた。  話したい事に気がむき過ぎて、普段の電話なら、通常の挨拶から本題に移るものだが、その日は、いきなり一昨日起きてしまったパーク夫人の逮捕事件の話をした。」

「僕は大変なショックを受けながら、屈辱的な事件の真相について、ニクソン氏の話に耳を傾けた。」

「既に、このような不条理が長く続いている現状を放置してきてしまったと、ニクソン氏は声を振わせて話した。」 

「バス乗車拒絶運動を始める時期到来だ。バスに乗る事を拒絶する事でのみ、白人の住民達に、我々はこのような不条理な規制、このようなあつかいを受け入れないと、断固として唱えるべきだ。」と、ニクソン氏は述べた。」

「僕も、何らかのストライキが必要であり、バス不乗り運動は効果的であると考えた。」

「ニクソン氏は僕に電話を掛ける直前に、モントゴメリー区にあるファーストバプティスト教会の若いアバナッティー牧師とも話し合った。 その牧師は後程、バス不乗り運動の中心的役割を担う人物だ。」

「アバナッティー牧師もバス不乗り運動に賛成であった。 そこで、 40分程かけて、電話で何度も、3人は計画と戦略に関してじっくり話し合った。 

「ニクソン氏は、その日の夜、この提案に対する皆んなの意見を聞くため、全ての牧師達と黒人市民の指導者達を一堂に集める事を提案した。」  
「僕は僕の教会を今回の集会場に使うように話した。 会合の時間が近づくと、私は何人のリーダーが実際に参加するのかと不安に思いながら、教会に近づいた。」

「黒人達の生活全般にわたる分野から、40人以上が教会内の会議室に集合したのだ。」

「一番多く出席したのはキリスト教団の代表者達だった。  それを見て、僕は喜びを隠せなかった。 こんなに多くの人々が出席したと言うことは、何か尋常でないことが起こりそうな予感がした。」

「その集会で、リーダー格が月曜日に、モントゴメリー区で、抗議運動の一環として、バスの乗車を拒絶する運動を提案した。今こそ我々は行動を起こすべきだと、話した。」

「もう、話し合いだけに始終している時ではない。 行動を起こすべき時期が到来したのだ。」

「今回の抗議運動の主旨を発表する準備の実行委員に、僕を含め数人が選出された。」  

「12月5日、月曜日は仕事に行く時、町に出かける時、学校に行く時、その他どこに行くにせよ、バスに乗車しないでくださいと言う宣誓文であった。」

「もう一人の黒人女性がバスの座席を譲らなかったと言う咎で、逮捕され投獄された。」 
 
「月曜日に仕事に行く場合、またどこに行くにせよ、タクシーか、相乗りか歩いてください。」と皆に強く訴えた。」

長年社会の問題を意識していても、 人はなかなか行動に移さないものだ。  

キング牧師達が偉いのは、 大勢の人々を巻き込んで、実際に行動に出た事だ。  

普通の人がそうやすやすと出来ないことを実行に移し、徐々に社会を変える一助になったことだ。

このような態度を実際に示せる黒人は、人種を超えて尊敬に値すると思う。 

参加文献 自伝 マーティン ルター キング、Jr.
編集者  クレイボーン カーソン

  


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