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01,セカンドフィナーレ/R.I.P.2

セカンドフィナーレ/R.I.P.2


とある一人の少女がビニール袋にくるまれて車で運ばれていった。
その車が来るまでは凍りつくような路上に捨てられていたと聞いた。
手足は切り取られ、何者かに持ち去られ、高い場所から落ちただけ、白線をそこに残しただけ。
1回目の葬式を簡素に済ませようとするから、手足が見つかった時の2回目を頭に描いて世界へ下界へ飛び降りて行く死体です。
未体験が見たい現場に吐いてた。来週から来年さ。
個性的から個を抜いたら性的になるだなんて、実に人間らしくて、穢らわしい最高な事柄なんだと僕は思う事にしている。
二回目の葬式、二回目の結婚式、二回目のセックス、二回目の接吻、二回目の紫外線は意外性もなく通り過ぎていく。
僕は言葉がいかに無力なものなのかを知ってるつもりだ。
曇りガラスの奥にある言葉の奥にあるボカした部分を信じるつもりだ。
これは二回目の葬式で相変わらず念仏の意味はまるでわからない。
だけど言葉の無力さを補うように描かれる曼陀羅には敵わない。

同じ人間の二回目の葬式は行き場を無くした感情の正直さを悟りのように開いていく事によりゆっくりとページを繰っていくだけの物語。
世界に時計がなければ意識しない未来へ、時計という言葉がなければ気にしない未来へ、
他人の心を変えたいというおこがましさを抱いて、土と煙と食い物を塵にする紫外線。
火葬が終わった涅槃の二回目、健康という名の病気の見舞いへ、終わりにも終わりがあるセカンドフィナーレ。

二回目の葬式と二回目の結婚と、二回目のセックスと二回目の接吻と
二回目の紫外線は通り過ぎていく。二冊目の卒業アルバムに手をかける。
二回目のレクイエムが眠気を誘う。
大人は留年を続け溜飲を下げ、時には頭がおかしくなって病人の真似。
間違いなく鬱病の症状だと病状を焦燥しながら今日も伝えても、
医者は僕に「健康」だと言う。
心を隠して返答は「余裕」僕は医者に「結構」だと言う。
名前が付いてない星は星だけど名前が付いてない病気は病気じゃないんだ。
孤独なシックだ。この暮らしすら傷だ。静かなリスカ。

セカンドフィナーレ見慣れ、当たり前になる不安の二回目。
セカンドフィナーレ見慣れ、自殺慣れしてんじゃねぇよ兄弟。
セカンドフィナーレ見慣れ、当たり前になる不安の二回目。
セカンドフィナーレ見慣れ、
個性的から個を抜いたら性的になって期待してない事に裏切られ駄目って言われた事だけをやりたいだけ。
思ってもない事を平気で言えたらそれだけで大人かスーパーマンになれる気がする。
校長先生のお話が「つまらない」と言える協調性を手に入れるためだけに笑う。
言葉は無力だが褒めたら褒められるかもしれない。君の自殺を止められるかもしれない。
セカンドフィナーレのグランドフィナーレ、僕は今度こそこの葬式を終わらせに来たんだ。
二回目の葬式を終わらせに来たんだ。セカンドフィナーレ。



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