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09,東京/Tokyo

東京/Tokyo

「死のうと思えばいつでも死ねる」なんて思いながら今日まで生きる。
どうせ無になる責任だったら最初から無責任でいる方がマシだ。
生きるのが辛いと言い切るのが辛い。
死生観なんて持ち合わせちゃいないからカードで支払う。
夢なし希望なし金土なし銀行貸借り信用なし信号待ち微動だにしないまま支配下だ。
嫌いだな逆転なし人生だし人情味が心臓に刺さるほど人間に触れてない。
感動したいのに感動出来ない。

漫画喫茶もTSUTAYAも飽きてしまった。あのコンビニの弁当も飽きてしまった。
そのくせに近頃やけに腹が減る。食べるのも面倒くさくなり眠る。
貯金なんかしてやるもんかと金を使うにも欲しいものがない。
死ぬ気になれば何でもできる。案外死なないもんだと聞く。

死ぬ気になれば何もしなくても全然平気な顔で居られる。
誰にも迷惑かけない死に方、そればっかりを考える生き方。
誰も邪魔をしてこない生活、誰にもかけないようにする迷惑。
だから誰も邪魔をしてこない。「図々しいってどんな意味だっけ?」
どうせだったら病気になって無気力をしばらく入院させたい。
全然興味なんてないくせに思い立って釣竿を買った。
慣れない遠出で海に行って、一時間弱で釣りをやめた。
何も釣れなかった。魚以外の何かを釣りたかった。
太陽が昇ってニワトリが鳴く、だからなんだって無感情になる。

年末は実家に帰らないで人の少ない渋谷を歩く。年末は実家に帰らない。人の少ない渋谷が好きだ。
そのくせすぐに帰りたくなって急に人生を変えたくなって笑ってる自分を想像して有り得ないほど涙が出たんです。
ドアノブに紐を括り付けて非定型な姿勢で否定して地に足が付いたままでも神様を失う。
そのくせすぐに帰りたくなって急に人生を変えたくなって笑ってる自分を想像して有り得ないほど涙が出たんです。

そんな二十代半ば、まるで永遠と書かれたカステラを半分に切るみたいに終わりが見えないメランコリー。
それから数年後、大きな地震もなく生きてるよ。
等身大の僕はもう知んないと無視出来ない状況になった。
責任も出来たしリアリティもある。親だって健在だけど先の先がある。
案外続いてくもんだね、上手くいってるかどうかは正直わからない。
あと何年こうやっていられるかわからない。死生観が必要になってローンを組んでる知り合いがいる。

漫画喫茶もTSUTAYAも行く暇がない。あのコンビニの弁当はたまに食べたい。
そのくせに近頃やけに太る。運動するのも面倒くさくなり眠る。
貯金なんかしてやるもんかと言いつつ欲しいものばかりだと気付く。
死ぬ気になれば何でもできる。案外死なないもんだと聞く。

年末は実家に帰らないで人の少ない渋谷を歩く。年末は実家に帰らない。人の少ない渋谷が好きだ。



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