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増えた色
仕事柄、あっちこっちを飛び回り、1ヶ月で3県またいだ。
その道中、やはり、地元とは違うお花や景色、気候を感じる。
そのたびに、ああ、君が隣にいればなぁ。なんて思う。
何もないところにポツンとバッティングセンター。
君ならなんていうかな。
湖に反射するホテルの光。
君ならなんていうかな。
おしゃべりが大好き店主。
君ならなんて返すかな。
一人じゃ、どんなにわくわくする場所でも物足りなくて、君ならなんていうかなぁなんて思って、夜に電話をする。
君はいつも電話をとって、話をうんうんと聞いてくれる。
少しでも楽しんでくれている証拠なのか、君が優しすぎるのか。
夜に散歩。一人なら、寂しさも抱かずにこの景色を眺めていたんだろうなぁ。
君と出会ってから、感情や見ようとするものが増えた。
君が好きなものを景色の中に探して、隣を歩く君を想像して。360度の景色がおもく華やいで見える。
見え方も感じ方も一人ならスキップをしてみれた世界も、
君がいて、会えないのに会いたい寂寥を抱いて、世界に色を増やしていく。
愛情は暖かさだけではなく、哀しみに似たおもたい感情が居座っている。
だから、会いたいという気持ちが生まれるのだろうか。
好きだから会いたい、この寂寥を溶かすのは君だから、会いたい。
人間はつくづくわがままな生き物なんだろう。
そのわがままを許せるから、愛おしい人なんだろうなぁ。
とりあえず、彼に早く会いたい、早く一緒に暮らしたい。
やっぱ、夕焼けに溶けていく富士山も、三人で釣りをするおじさんの背中も、美しく楽しいのに、さみしい。
君の顔を見つめて、この景色を見て、笑いあう。それが最上の幸せだ。
早く会いたいよ。
地元へ帰った日、彼に「指輪の大きさは?」と、冗談で聞いてみた。
彼は「はいっ!」と言いながら左手を差し出した。ちゃんと、薬指をピンと伸ばしながら。
そういうところ、憎めないのよね。
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