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チャーリー

高校生三年生の春、頭が悪すぎて受験した大学すべてに落ちた。就職する人、大学や専門学校へ進学する人、あえて浪人して高みを目指す人、何にもあてはまらなくてどうしたもんかなあ、と思っていた3月。母親の誕生日だったから覚えてるんだけど、2006年3月24日、この日はじめてザ・ローリング・ストーンズを東京ドームで観た。

当時福岡に住んでいた友人にチケットを入手してもらって(いまでも彼とは友達で、飲みに行ったり遊んだり、そして15年経ったいまでもライブのチケットを取ってもらっている、良くも悪くもなにも変わっていない、ありがとう)、2階席だったと思うんだけど、ステージがよく見える見晴らしのいい席だったことは覚えている。
そのときぼくは当時の最新アルバム『a bigger bang』と、オールタイムベスト盤『Forty Licks』しか聴いていなかった。そんな状態でのはじめてのザ・ローリング・ストーンズだった。

その日のライブ一発目が「START ME UP」だった。出た出た〜!と興奮して、そっから終演までずっと楽しかった。「Tumbling Dice」のときの多幸感といったらなかった。照明がぐるっと客席にあたる演出で、照らされていた人たちがみんな楽しそうに、幸せそうにステージを観ていた光景が忘れられない。ほんと、夢のような空間だった。
あと、この日に演奏した曲で忘れられないのが「Worried about you」という曲だった。最新アルバムにもベスト盤にも収録されていない曲だった。のちに、度々ライブで取り上げられる曲だということを知った。『Tattoo You』に収録されているオリジナルもいいんだけど、『Live Licks』に収録されているライブ盤がいちばん好きだ。それと映像作品の『Four Flicks』にあったリハーサル映像。しばらく観ていないから記憶が間違っているかもしれないけど、ステージ上でおもむろにミックがキーボードで「Worried about you」のイントロを弾き始める。そのときまだステージにはミックしかいない。それからチャーリーがスーッとやってきて静かにリズムを取り始める。それからキースやロニーも現れて、最後にはバンドの音に仕上がっていく。演出なのかほんとにたまたまなのか、この際どちらでもいいんだけど、その映像がたまらなくかっこいい。いまでもぼくの好きな曲のひとつ。

チャーリーが亡くなったニュースを知ったのは先週の水曜日だったか、朝起きて仕事をはじめる前にtwitterを見ていたら、タイムラインにチャーリーに関してのtweetばかりが目立ってなんだと思って検索をしたら、亡くなっていたことを知った。
2006年3月24日の東京ドームのライブの全演目が終わって、メンバーがステージ中央に集まるときに、ペラペラの薄手のジャンパーを羽織って、ポケットに手を入れて姿勢良く立っていた姿を覚えている。この日、たぶん全員の名前を叫んだけど、結局最後はチャーリー!!と友人2人で叫んでいた。

いつかぼくもチャーリーのように青いシャツと水玉のネクタイがバシッと決まる男になりたい。まあ、このときのチャーリーはぼくより5、6歳年下の20代なんだけど…。

やっぱりこのアルバムかっこいいね。最高だ。当時、この小文字半角アケなしの表記がとりわけかっこよく見えた。

来月からのツアー、どういった感じになるんだろうな。気になるところだ。

仕事も早く終わったし、今日はザ・ローリング・ストーンズを聴くぞ!

なんとなく、涼しくなるとレコードの音が澄んでバッチリ聴こえてくるのは、ぜったい気のせいだけど、聴いていて気持ちがいいので、気のせいのままでいようと思う。

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