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ポイントカード


お風呂に入ることは何故こんなにも億劫なのか、ということはぼくらの永遠のテーマだ。入るとさっぱりして、一日の疲れが排水溝へと消えていく感じは何にも変え難いが、それよりも面倒臭さが勝ってしまう。しかし、ぼくは「あぁーあぁー」と、溜め息が重なって言葉になったバージョンの溜め息の親玉みたいな溜め息を繰り返して、漸くお風呂場へ向かった。不思議なもので一度お風呂へ入ると、先程まで漂っていた面倒臭さの影すらなくなっている。一度濡れてしまった身体を半端なまま拭いて戻る、という選択肢の方が更に面倒臭さが上回ってしまうから消えてしまうのだろうか。または単純に、お風呂に入ると気持ちが良いから消えてしまうのだろうか。
横断歩道を腰の曲がったおばあさんをおぶって渡るとかそんな類の善い行いよりも、一日の終わりにちゃんとお風呂に入る、という当たり前のようなことがポイントカードの要領で貯まっていき、いつか魂となって彷徨うとき、善い行いポイントカードで貯まったポイントでグレードの高い天国で美味しい珈琲を飲みたい。グレードの高い天国、というと、なんとなくでしか知らない海外セレブのような生活みたいなものを思い浮かべて、「お風呂に入っただけでそんな金持ちみたいな生活なんて、死んでまでも強欲なんて最低」と陰口を叩くのは少し待って頂きたい。ぼくが言うグレードの高い天国というものは、ボタンを一度押すと湯船が溜まったり(追い焚き機能あり!!)、NetflixとかCSは見れなくてもいいのでBSだけは観られるくらいのグレードの天国だ。ちゃんとお風呂に入って善い行いポイントカードで行ける特典なんてそんなものだろう。それは重々理解しているつもりだ。逆に言えば、風呂なしアパートですきま風ビュービューで毛布にくるまった生活の天国でよいのであれば、お風呂は入らなくてもよいだろう。

前回書いたマットが届いた。クジラの絵柄がかわいいマットだ。

銀座と新宿の歩行者天国。

また飲みに行く自由がなくなる生活になるのか。飲みに行きたいときに飲みに行く自由のありがたみよ。

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