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虹色の魚

虹色の魚が泳ぐ夢をみた。
虹色で、透明に透けていて脚がいくつもあって薄っぺらな魚なんて初めて見たから驚いた。
寝る前にこれから作る水槽のことを考えていたからかもしれない。
自分の手で世界はいくらでもつくれることが嬉しくて、それでも幻想や幻影、幻に近いものほど美しいものは世界に無くて、それが悔しい。
三次元現世である限り、永遠に越えられない壁が見えて悔しい。

photo leo


ゆめにっきの話をしたら、病気になるよとピシャリと叩かれた心、私のお父さんは夢日記を付けている、病気だから。
重なったいくつものいくつものいくつもの丁寧で几帳面な記録、付箋、皆は私の父を馬鹿にする。皆は私の父をきらう。キラキラ、ベランダ、雨の音、風の声、さみしい人、理解されづらい人、不器用な優しさは5月の陽射しによく透けるのに、みんなそれが分からない、苦い、言いたくない。
この世界は早すぎる。それか、遅過ぎる。
極端なスピード感が当たり前で、その当たり前についていけない人達が取りこぼれる。私には痛い程、それが伝わるから痛い。

魚は弟の手をすり抜けて、持ち帰ることを許さなかった。
配達のチャイムで目が覚めた、寝苦しい夜だった、汗を流すためにシャワーを浴びたら虹色の鱗はもうどこかに流れてしまった。

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