見出し画像

自分を問われる時代に生きる私たちへのヒント 【対談レポート】

こんにちは、はぐぐむメディアチームのさやです。

本記事は、株式会社はぐくむの事業や世界観をより多くの人に知ってもらうための対談レポートです。

今回ご紹介するイベントは
【シュタイナーに学ぶ「今」を生きるヒントとは?真理子先生を囲んでのお話会】


皆さんは自分がわからない、自分って何だ?と感じたことはありませんか?

様々な働き方や生き方を選択できる時代。「あなたは何をしたくて、どう生きていきたいですか?」と自分を問われる機会が多くなったからこそそう感じる方も多いのではないのでしょうか。


今までの教育のスタイルと大きく異なるオルタナティブな教育として注目されるシュタイナー教育の実践者である稲垣真理子先生は、
今までの日本の教育や個人の在り方が「自分がわからない」を生み出す一つの要因だと仰っています。

今を生きる私たちに、自由とは?自分とは何か?自分軸で在るヒントを与えてくれるイベントです。


画像5


稲垣 真理子氏
子育てサポート・ぶなの森 主宰
大学の保育科を卒業後、名古屋市の公立保育園に13年勤務後、
1992年シュタイナー教育を学ぶために渡独。ケルン・ベルリンのシュタナー幼稚園、治療幼稚園で実習し、ヴィッテンの学校を卒業後、シュタイナー幼稚園教諭の資格を取得。結婚、出産を経て、親子教室、コンサート、人形劇、講演会やワークショップなど様々なイベントを企画開催、20年以上に渡り日本クラブ主催の親子教室「ちびっこ集まれ」の講師を務め、日本人ファミリーの子育て、ドイツ生活をサポートする。2007年より「子育てサポート・ぶなの森」を主宰、シュタイナー教育を取り入れながら、子どもたちが子どもらしく生活できる環境づくりに力を入れている。2014より東日本大震災の被災地を支援し、宮城県亘理郡山元町及び周辺地域で、毎年音楽コンサートを開催する。2015年より、ドイツ国内、日本各地で子育て講演会やワークショップを開催している。現在は、大人向けの講座をオンラインで開催し、日本各地から参加される方が後を絶たない。


画像6


小寺 毅 
株式会社はぐくむ 代表取締役
東京生まれ、ソ連、アメリカ育ち。ファミコンもコンビニもなく過ごしたソ連時代。モノに溢れていたアメリカ社会の両極を体験して戻ってきた日本で、何の為に、何を目指して生きるのかを考え始める。大学3年時に、ひとりひとりが可能性にフタをせず実現したい未来へむかって生きられる社会を目指して起業を決意。慶應義塾大学卒業後、新卒で入社した会社にて新規事業立ち上げを経て、はぐくむを創業。ただ漠然と働くのではなく、何のために働き、何のために生きるのかを問うコーチングや研修を企画・実施する。関心テーマは、業績も関わる人たちの幸福度も高い経営とリーダーシップ、子供がイキイキと育つ教育。これらの関心キーワードは「フロー経営」や「人を大切にする経営」、「Small Giants」「ホラクラシー」。「サドベリー」や「シュタイナー教育」など。経営にしろ、教育にしろ、人の可能性が最大限に発揮されていく環境や風土づくり、チームビルングに関心があり、日々追及中。プライベートでは旅行とカメラが趣味。日本各地の神社仏閣や自然を訪れ、温泉でのんびりするのが好き。



自由とは“ねばならぬ”から自分を解放すること


小寺:まずはシュタイナー教育についてお聞きしたいと思います。

真理子先生:シュタイナー教育は自由への教育だと言われていて、自分の心、頭が自由。だからいろんな選択、いろんなことを考えて、色んな事を感じて、いろんな気持ちを持つ。それはすべて自由なんだ。そしてそれを表現することも、実は自由なんだってことを言ってるんですよ。だから前提として自由に考え、自由に感じ、自由に表現することが重要です。

しかし日本でシュタイナーという1つ良い教育があると言うと、そのメソッドをそっくりそのまま真似しようとします。日本は形や型から入るっていう文化でそれが一つの良さではあるんだけど、あまりにそこにこだわりすぎて自由への教育なのに、本質を見失ってしまう。
そこの枠の中でしかできないんだって思ってしまうので、みんな苦しいんですよ。

「こうじゃなきゃいけない。何々でなければシュタイナー教育じゃない」っていうこと自体が全くシュタイナーの人智学の思想から外れているのではないかと思います。


たけさん:すごく大事なところですよね。型からいろんなことを判断しすぎてしまったり、一つのものに強く囚われていると、逆に自由から遠ざかってしまうっていうように聞かせていただきました。


真理子先生:常に「何かしなければいけない」という世界で生きるのではなくて、「それがしたい、やりたいからやる」というところに自分の気持ちをもっておくというのがシュタイナーが目指した自由への第一歩になります。


画像4


自分を自由に表現するため、知るために必要な土壌とは?


たけさん:型にはまらず、自由に自分を表現することが重要になってくると思いますがその土壌について真理子先生の考えをお伺いしたいと思います。

真理子先生:そうですね。まず最近私は自分の輪郭、自分は何が好きで何が嫌いで、こうゆう場面で何を感じているかが分からないという方が多いなと感じています。

その要因の一つとして幼稚園時代から表現することを許されていた環境と、それがあまり良しとしない環境で育った積み重ねで違いが大きく出てくると思うんですよ。

私は日本で同じでなきゃいけない、自分の中に少し違和感があってもやるという、同調が和を生み出すというような環境で育ってきました。

シュタイナー教育を学ぶためにドイツに行き1番驚いたのは、自分の意見を発信・表現することに、みんながオッケーを出していることでした。むしろ出さないとこの人何考えて生きてるんだろうって思われる。
それが結構私にとっては、毎日毎日あなたは何を考えてるの?と突きつけられるような感じがして。

その時に自分は今まで本当の意味では何も考えてなかったんだ。そこにあるもので、ただ習ってその通りにやっておけば、それでいいんだって思う世界から、自分で考えないと進んでいかない社会に突然放り込まれた気がして、それがすごく辛かったんですよ。

たけさん:僕もアメリカに行ったとき、自分はどう思うか、「つまり毅はどう思うの」と必ず聞かれました。そもそもそういう風に問われたことがないので、どう答えたらいいかわからない。且つ英語が喋れなくて二重の意味で苦しい。
その苦しさの中でも問われ続けると出てくる。且つ拙なくても出してるものに対して何バカなこと言ってるのとか、もっとマシなこと言ってくれなどではなく、「そうなんだね」と一度受容があることが重要だと思います。


真理子先生:やはり受け入れる周りの意識が必要なんですよね。

ベルリンで障害をもつ子供たちだけのシュタイナー幼稚園にいたんですけど、そこの先生方は一人ひとりの発達、持っている文化など日々ちがいを見ているんですね。私はその幼稚園で唯一のアジア人。ドイツ語が下手でまともに自分の考えも述べらませんでした。

その時にある先生が私のたどたどしい表現などいろんなことを見て、「違う人・違う考え方・違う文化の人が来て初めて自分って分かるから真理子が来て本当によかった」と仰ったんです。自分たちと全く違うことってこんなに面白いことなんだ。って受け入れてくれたんですね。

それにものすごく感動しました。日本にいるときはあんまり変なこと言っちゃいけないって我慢していましたが、表現することでみんなが喜んでくれるんだと思ったのは私の人生の中のスタートでしたね。まずはみんなが違っていいんだという見方になることが非常に重要なのかなと思います。


画像5



積み重ねることでみえてくる自分


たけさん:表現してもいいんだという感覚を持てることは本当に大事ですよね。
表現してダメだってなると押さえ込みますし、表現して周りと同じように同じようにっていう風に長年こう教育されてくると、だんだん自分の色も分からなくなってしまいますよね。


真理子先生:そうですね。ドイツでは常に自分を問われて苦しかったですが、会話など慣れてくるに従って表現することの楽しさがだんだんわかってきたなと思いました。

たけさん:そうですね。先程のアメリカの話にも通じますが、自由に話し、それに対してまず一回受容する。さらにそこからまた問がくるというやりとりをたくさん積み重ねていくことで、自分の中の興味関心とか何かが育って芽生えていくような感覚があったなあと思います。


画像5


まとめ


自分をよく知るにはには、“みんな違っていいんだ”という社会の土壌が必要です。

そして一人ひとりが“自分はこうでなければいけない”というねばならぬ思考から解放され、“自分はこうしたい・こう感じる” と些細なことでも表現し積み重ねることが、自分を知り、育んでいく第一歩になるのではないでしょうか。

はぐくむのLINE@「はぐくむ LIFEWORK Media」にて生き方・働き方・新しい教育についての情報を随時配信中!登録はこちら

真理子先生についてもっと知りたい方はこちら。

[執筆] 加藤 爽
[監修] 田島 聡士

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?