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会計と実学

先日支援先の社長から依頼されていた仕入と経費管理の適正化について報告していた時、パソコンの減価償却の話になり「なんで4年なの?」という質問があったので「減価償却については省令で定められていて、それで4年と決まっているんです」と回答したら、「いや、そうじゃなくて。4年って何が基準なの?うちは2年も経つと新しいのに買い替えているし、なんか実態と合わないよね」と言われて、「まあ確かにそうですね。ただ、会計上そのあたり融通は利かないんです。パソコンのバージョンアップは大体3、4年くらいに一度というのが多いようなので、その意味では実態との乖離は少ないと言えなくもないですね。」と説明して、その場は何となく終わったのですが、帰りになんかこの話引っ掛かるなあと気になっていて、自宅に戻って本棚を見たときに、それが京セラの稲盛 和夫さんの「稲盛和夫の実学」の記述だったことを思い出しました。

セラミックの工作機械の減価償却は会計上は10年であるけれども、現実の機械はどんなに手入れをしても5~6年でダメになってしまうそうです。であれば毎年償却する額は1/5若しくは1/6であるべきと言うことで、差額分は税法上の費用対象にならないことも理解しつつも、京セラではこの形で会計処理等を行っているのだそうです。既成の枠組みにとらわれない物事の本質をついた考え方ですよね。

改めて読み返すと、減価償却の他にも一対一の対応とか、土俵の真ん中で相撲を取るとか、人に罪を作らせない仕組みとか、本質を追及しようとする姿勢に感銘を受ける書籍だと思います。

ただ、同時に思うのは、稲森さんが経営者だった頃の経理の社員の方はきっと大変だったろうなあということです。なにせ常に経営者に精魂を込めて決算等の資料を見られてしまう訳ですから、当然経理も相当の覚悟で書類を作ったんでしょうね。それでも数字の不備を指摘されてしまうと、かなりガックリするんですかね。精魂が足りなかった。問題のある数字が助けを求めるように目の前に飛び出さなかった、というようにも考えてしまったかもしれません。やっぱり査定とかにも響くのかなあ、なんて全くもって余計で大きなお世話なことを考えてしまいます。


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