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大口モンスターが口を開けば、35万の幸福があふれ出す

1回:女性YouTuber社長・ロシアン佐藤。エンジニアからインフルエンサーに
2回:YouTuber社長になり、好きなことで突き抜けた
3回:ネット批判にどう向き合うか。YouTuber社長の答えとは

大食い女王候補として、大食い王決定戦に何度も出場した経験を持つロシアン佐藤さん。ネット批判に揺れながらも、悩みながら自分の進むべき道を見出した。

ロシアン佐藤:悩んでいる時も私の動画を見てくれる方がいるわけで、中途半端な気持ちで動画を作ったらダメだな、と反省して。さっき塚田さんが言っていたように、人に任せられるところは任せて、自分が心から楽しいと思えることに全力で打ち込もうと決めました。やっぱり、自分で楽しんで作って「よっしゃ、うまくてきた!」と思えた動画は、人にも楽しんでもらえるんですよ。

はぎぱん:ファンの方はもちろん、会社にも支えられたんですね。

ロシアン佐藤:はい。塚田さんには厳しく言われることもありますけど、本当につらいなって時はやっぱり…うん、心強い味方です。視聴者さんからもポジティブな言葉をたくさんいただきました。悩んでいる時期だからこそすごく響いて、ありがたかったですね。「そうか、楽しめばいいのか。私は何を悩んでいたんだろう」と思いました。たとえば「前の方が好きだったな」というコメントは一見ネガティブなんですけど、これって「心から楽しんでいるロシアン佐藤が好きだったよ、また楽しんで動画を作ってほしい」という願望だと思うんです。

さきほど曇っていた瞳は、すでに明るい。

ロシアン佐藤:「30代なのにテンション高すぎだろう」みたいなコメントもあって、もっと落ち着いた方が良いのかなと思ってテンションを上げ切れずにいたら、「元気ないね」と心配してくださる視聴者さんもたくさんいて。本当に楽しければ変なテンションになったっていいし、うれしいことは体全体で表現していいし、ちょっと不細工になってもグシャグシャな顔で「おいしい」って言っていいんですよね。

周りを気にして、自分が表現したいことを伝えられなくなるのはもったいない、とロシアン佐藤さんは言う。

ロシアン佐藤:「これをやったらこう言われるんじゃないか」と心配するんじゃなくて、「私はこれが良いと思ったからやります!」って自信を持ってやり切った方がポジティブだし、楽しいですよね。それを相手に押しつけるのではなく「私はこれが良いと思ったよ、みんなはどう思う?」と投げかけるスタイルで動画を作っています。

好きなことをやり切る。簡単なようで、とても難しいことだ。

ロシアン佐藤:以前、YouTubeのCMで“好きなことで生きていく”っていうキャッチフレーズが話題になりましたよね。「簡単に言うけど、そんなのできないよ」という声もありますが、本当に大切なことなんですよ。「私はこれが好きです」って伝えるのはめちゃくちゃ難しいんですが、それが良い動画を作る核だと気づきました。

はぎぱん:たとえ同じ企画の動画を作ったとしても、向き合う気持ちによって動画の質が変わるってことですよね。

ロシアン佐藤:そうですそうです。全く同じ内容だとしても、動画を通じて私のコンディションが伝わります。

はぎぱん:確かに…「今日クマひどいね、寝てる?」っていうコメントもありますよね(笑)

ロシアン佐藤さんは困ったように眉根を寄せながら、くすぐったさそうに笑う。

ロシアン佐藤:そう~、「そんなとこまで見てるの?」ってびっくりするくらいよく見てもらってて(笑)だから動画は心からやりたい企画にして、本当に食べたい物を元気に食べようって心がけています。リクエストも受け付けていますけど、採用するのはワクワクするものだけです。気が向かないものを作っても、良い動画にならないので。

大口モンスターが口を開けば、35万の幸福があふれ出す


はぎぱん:YouTuberなどの動画クリエイターもそうですが、自分の名前で活動したいと考える人は増えていますよね。何をするにしても最初が一番つらいと思うんですが、どうやって乗り越えたらいいでしょうか?

ロシアン佐藤:“自分はこれを伝えたい”という軸をしっかり持つことですね。料理家だったらその料理で何を伝えたいのか、写真家だったらその写真で何を伝えたいのか。自分なりに伝えたいことがあると思うので、それが本当に伝わるか、そして伝えた後に相手にどうなってほしいかを想像してから行動することです。

ロシアン佐藤さんは、食べる楽しさを伝え、食に対してポジティブな気持ちを持ってほしいと思って活動している。

ロシアン佐藤:この想いに自信を持てれば、つらい時も踏ん張れますし、人にも相談しやすいですよね。何がしたいのかがわからないと、周りもアドバイスしにくいですし。ぶれない軸を持って、やり抜くための方法を突き詰めていけば、好きになってくれる人が必ずいます。

大好きな食の動画を作ると、その動画を好きになってくれる人が現れる。好意が好意を呼んで、好意の輪ができる。生きる糧とする食を愛せたら、これほど幸せなことはない。

ロシアン佐藤さんは人の何倍もの量を食べても、深夜まで撮影が続いても、「私はこれが好きだから」と笑う。底知れぬ心身を持つ彼女から、35万人分の幸福が生み出されている。その頭上に、大食い女王のティアラが見えた。

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