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女性YouTuber社長・ロシアン佐藤。エンジニアからインフルエンサーに

「針で刺すような痛みが突き抜ける」という激辛カップラーメン『蒙古タンメン中本 北極ラーメン』を一気に6個すすり上げ、残ったスープは具材を追加して土鍋いっぱいの激辛クッパにし、同時にごはん9合をぺろりと平らげた。

総重量はなんと6.5キロ。無類の辛党もひいひい呻く激辛ラーメンが、大家族でも食べきれないほどのごはんとともに女性の体内へするすると消えていくさまは壮観で、まるで魔法のようだった。

大口モンスターからYouTuberへ


“大口モンスター”ことロシアン佐藤さんは、フードファイター歴10年を迎える大食いタレントであり、エッジニア合同会社の共同代表兼COO、そしてYouTuberだ。2018年8月時点でチャンネル登録者数は35万人、動画の総再生数は1憶回を超える。2016年2月に動画投稿をスタートして以来、着々とファンを増やしてきた。

テレビ出演経験が豊富なロシアン佐藤さんであればYouTubeデビューもスムーズだったろうと思いきや、そうではない。初めてYouTubeに動画を投稿したのは2016年だが、大食いYouTuberとして知名度が高かったのは同じくフードファイターの木下ゆうかさんだけだった。そのため、「真似している」「二番煎じだ」といった言葉がコメント欄にずらずら並んだ。

ロシアン佐藤:すごく荒れて、もうお祭り騒ぎでした。絶対叩かれるだろうなと予想はしていたので、やっぱりなあと思いましたね。でも動画を作るのはすごく楽しくて、応援してくれる方もいたので続けられました。

そもそも大食いってあれこれ言われるのが当たり前の世界で、メンタルが鍛えられるんです。10年前のデビュー当初は「何を言われるんだろう」とドキドキしていたんですが、有名になるにつれて批判されることが増えて、だんだん慣れていきました。大食いタレントの先輩からも「みんな叩かれるよ。見たい人は見てくれるし気にしない方が良いよ」と言われて、そういうもんなんだなと思っていたので、そこまで動揺しなかったです。

ロシアン佐藤さんはこともなげに当時を語ったが、一般人だと打ちのめされるような言葉のオンパレードである。並みの精神力しか持ち合わせていなければ、尻尾を巻いてYouTubeの舞台から退散するだろう。

はぎぱん:とはいえ、いち出演者として参加した大食い番組の内容をネット掲示板などで批判されるのと、自分で作った動画をそのコメント欄で批判されるのとではインパクトが違いますよね。それでも自然と乗り越えられましたか?

やはりロシアン佐藤さんのまっすぐな瞳がゆらぐことはなく、感情の一歩先、受け止め方と対応策について話した。

ロシアン佐藤:コメントをご意見・応援・中傷の3つに分類して、対応を変えています。ただ傷つけたいだけの中傷コメントはスルーしますけど、たとえネガティブな言い方でも「こうしたらもっと良い動画になるんじゃないか」というご意見は前向きに捉えて改善します。

コメントを気にする・気にしないの境界線は、自分が納得するかどうかだ。

ロシアン佐藤:納得できるご意見であれば積極的に取り入れます。私がちょっと気を付けるだけで気持ちよく見れる人が増えるなら変えた方がいいじゃないですか。できるだけコメントを自分の糧にしたいなと思ってます。

テレビは出演者が番組内容を変えることはできないが、YouTubeは自分でゼロから作っていくので、良いと思った意見はそのまま動画に反映できる。しかし、最初は自分で作り上げることへの戸惑いもあったという。

ロシアン佐藤:テレビは決められた企画に沿って全体の流れに乗ればいいんですけど、YouTubeは企画から演出まで全部自分で決めないといけないので、テレビとは違った緊張感があります。

特に抵抗を感じたのは、ひとりで動画映えするテンションにまで引き上げることだ。

ロシアン佐藤:テレビだと現場でスタッフさんと撮影するので“佐藤ひとみ”から“ロシアン佐藤”にバチッと切り替えられるんですけど、YouTube動画を始めたばかりの頃は自宅で撮影していたので、なかなか切り替えられなくて。カメラの前に立ってテンションを上げるたびに恥ずかしくなってましたね。今は録画ボタンを押した瞬間に「よっしゃ!」と気合いが入りますが、やっぱり人に見られると恥ずかしいので…基本的にはひとりで撮影しています(笑)

終始笑顔を絶やさないロシアン佐藤さんからは、大食いタレントとして10年活動するなかで培ってきた芯の強さを感じる。それでも、彼女の奥に潜む感情を見てみたくて、私はもう一度「自分が評価されること」について質問した。

はぎぱん:テレビだとまず番組があって、その中に出演者が組み込まれる形になりますけど、YouTubeだと自分そのものが番組であり、メインコンテンツですよね。つまり自分単体が直接的に評価されるわけで、そこに対する不安はありませんでしたか?

うーん、と少しだけ間をおいたが、やはり前向きな言葉がするりと出てくる。

ロシアン佐藤:テレビで人前に出ることには慣れていたので、抵抗はなかったですね。それよりも、うまく編集できたかな?っていうのが気になっていました。編集は最初からひとりでやっていて、ほかの大食い系動画を見たり、食べ物系の動画を参考にしたり、テレビ番組の食べ物の撮り方を分析したり…日々勉強しています。

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