【大学入試対策】日本史千本ノック Part.3
ちょっとした空き時間に日本史を学べる千本ノック、本日はこちらの3問です。
問題
第1問
雑訴決断所の職務の説明として最も適切なものを、1~4から1つ選べ。
1 当時膨大になった恩賞事務を専門的に裁決した。
2 鎌倉幕府の評定衆を継承し、重要政務を処理した。
3 鎌倉幕府の引付を継承し、所領関係の裁判を担当した。
4 都の治安回復のために、強力な警察力を行使した。
第2問
荘園制(荘園公領制)の成立と展開に関して述べた次の文について、古いものから年代順に並び替えよ。(センター2012・追)
1 領主は荘園の管理を地頭にまかせ、年貢納入を請け負わせる契約を結んだ。
2 鳥羽上皇のもとに荘園の寄進が集中し、膨大な天皇家領荘園群ができた。
3 朝廷は、延久の荘園整理令を発布し、荘園の所有者から証拠文書を提出させた。
第3問
大戦景気の時期について述べた文として正しいものを、1~4から1つ選べ。(進研)
1 貨幣価値の安定などのため、欧米諸国にならい金本位制が確立された。
2 ドイツなどからの輸入が途絶えたこともあり、化学工業が勃興した。
3 列強が日本の輸出伸張の構造を「ソーシャル=ダンピング」と非難した。
4 器械製糸が普及していき、生産高において座繰製糸を上回った。
解答
第1問
正解:3
解説
建武の新政でおかれた中央機関は以下の通りです。
・記録所
主要政務機関として一般政務を担当
入試では、記録所は後三条天皇政権のころの記録荘園券契所以来の設置で
あることが問われることがあります。
・雑訴決断所
鎌倉幕府の引付を受け継ぎ、所領問題の訴訟裁決を中心に担当
・恩賞方
建武の新政に味方した武士の論功行賞を取り扱う機関。公正を欠いていた
ため、武士の批判の的になっています。
・武者所
京都の治安維持に当たった軍事・警察機関
第2問
正解:3→2→1
解説
3:後三条天皇による延久の荘園整理令の説明です。
延久の荘園整理令は1069年の出来事であることは、難関私大志望者は知っておきたいところですが、藤原氏による摂関政治の後に即位したのが後三条天皇である、という時期の覚え方がよいかと思います。
2:院政のころの話です
院政は後三条天皇退位後、白河天皇が上皇になってから約100年続いたという時期の覚え方をしていれば、3のあとに2と導くことができます。
ちなみに、院政期に誕生した膨大な天皇家領荘園群とは、以下のことを指します。
・八条院領
鳥羽上皇が八条院暲子に伝えた荘園群で、のち亀山上皇に伝えられ、大覚
寺統の経済基盤になりました、
・長講堂領
後白河上皇が長講堂に寄進した荘園群で、のち後深草上皇に伝えられ、持
明院統の経済基盤になりました。
1:鎌倉時代にみられた地頭請についての説明です。
鎌倉時代に入ると、武士が荘園を侵略することで土地支配を委ねられるようになります。具体的な方法としては以下の2つがあげられます。
・地頭請
荘園領主が地頭に現地経営を委ね、一定額の年貢納入を請け負わせる
・下地中分
地頭の荘園侵略に対し、土地を地頭と領家(荘園側)で折半する
有名な例としては伯耆国東郷荘があげられます。
第3問
正解:2
大戦景気とは、第一次世界大戦(1914~1918)によってヨーロッパの交戦国が輸出できなくなったアジア市場を日本が独占したことで、発生した景気を指します。成金がうまれたのもこのころです。
1 第一次世界大戦の時、多くの国は金本位制をやめており、日本も同様です。戦争の際は物資や軍需品を獲得するため、輸入超過になりがちです。輸入すればするほど、金が出ていく金本位制は、戦争の時には不都合です。
3 1931年に起こった昭和恐慌を、高橋是清は金輸出再禁止をすることで脱出することができました。これに対して、海外は「日本企業が労働者の賃金を不当に低くおさえ、それによって安い製品を生産して輸出している」と批判しました。このことをソーシャル=ダンピングといいます。
4 器械製糸が座繰製糸を上回ったのは1894年のことです。難関私大ではこの西暦が問われることがあります。「日清戦争と同年の1894」で覚えましょう。
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