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自由を選択。アフターミックス。

それはちょうど、料理を作るようなものだ。

例えば、あらかじめ出来上がったもの。
「◯◯出汁の素」のように、濃度は変えられても、ある程度味が決まっているもの。これをコーヒーで言うプレミックスだとすると、私たちはやはり、好きな調味料を、好きなだけ後から混ぜて、独自の味や出汁を作りたい。
※プレミックス:生豆を混合し、まとめて焙煎する方法。

ちょっと濃いなぁ。
塩が多いですか?醤油?いやいや濃度?

プレミックスの最大のデメリットは、一度作ったものは、消費し尽くさないとなくならない。つまり、「ちょっと濃いなぁ」には、即座には対応できないのだ。仮に、そこに何か調味料を加えた途端、「後から何かを混ぜた」ことになってしまう。

私たちは、生産国や種類別に、あらかじめ適した焙煎をし、それらを後から混ぜる「アフターミックス」のみを選択している。

アフターミックスのデメリットは、その在庫管理と、スペースの確保だ。各生産国別に生豆と焙煎豆の保管スペースを用意しなければならない。
とりわけ、鮮度を重視している私たちにとって、平均16種類の豆の鮮度管理しながら、3営業日以内に全てを消費することは、相当ハードルが高く、手間でもある。

それを実現するために、日々、焙煎師と充填工場の職員は、さまざまな工夫を凝らしている。例えば、30キロ窯で焙煎すればよいところを、10キロ窯で何回も焼いて、過剰在庫を作らない。在庫の情報交換を、焙煎工場と充填工場の間で、何度も確認する。
一見、本当に無駄で手間で、非効率なようにも見えるのだが、やはり私たちは「自由」を求めたいし、そこにかける費用は惜しまない。

苦味がどうで、酸味はこうで、香りはあぁで。
はいはい、ちょっとこの豆足してみましょうか?
こんな感じで、色んな依頼に、一々対応していきたい。

好きな豆を好きなだけ。色はまだらになるが、それはちょうど、料理を作るようなものだと考える。

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