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40年間、ときを刻む時計。

今から8年前。私が担当していたN町の喫茶店にふらっと入った。快活な女性が店主。納品時は、話が止まらず、後のお客様への配達が遅れることもしばしば。

お食事等は提供せず、ずっとコーヒーとケーキだけのお店。木造の味のある内装。ダウンライトも控えめで、店内は落ち着いた雰囲気。カップボードやカウンターの上には、華やかな色とりどりのカップが並んでいる。

「そういえば、Tさんまだ元気に来てはるよ。もう90越えてはるのに、自力で徒歩やで!」店内に響き渡る大きな声で、懐かしい常連のお客様の話で盛り上がる。

「N町は全部閉めとったけど、私は開けとったんや。人通りもないし、1日よぉ来ても5人くらいやけどな。」聞けば、今まで休みなしで、40年間続けてきたという思いが強く、どんなときでもお客様を迎え入れられる準備をしていたようだ。

40年使いこんだとは思えないほど、ピカピカのシュガーポットが、店主の気持ちを表していると感じた。

真っ昼間、12時を少し回った時間。
普段なら観光客であるれるN町。この喫茶店もお客様でごった返す時間に、今日は私1人だった。

ひとしきり、一杯のコーヒーと共に、店主と過ごす時間を楽しみ、店を後にする。ふと、時計をみると40分も話し込んでいた。

去り際に、見慣れた常連のお客様とすれ違った。

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