見出し画像

炭窯を覗くとそこには…未来につなぐ、アナログの世界が広がっている

炭窯を覗くと、色とりどりの炭の世界が広がっている。生豆が焙煎され、お店や自宅に届けられ、飲まれるカップ一杯。その物語は、簡単には語り尽くせない。お客様へコーヒーをお届けするために、欠かせないのがまず炭火の窯にぐっと迫ってみる。ただの炭のように見えるが、実は次の4種類が混合され、焙煎の熱源として活躍している。

(黒炭)鳥取県日南町(オガ備長炭)兵庫県
(オガ備長炭)愛媛県(ウバメ備長炭)愛媛県

■ 炭火焙煎は手しごと
1.どの炭をどのくらい入れるか 2.空気の吸気量 3.窯からの排気量
この3つを職人が調整していて、「何分のときに、何度を通過するか」をいつも見ている。効率化の時代や潮流とは真逆で、さまざまな「難しい」が存在する。

・再現性が低い(文字化できない技術)
・人件費が高い(ひと窯ひとりの職人)
・燃料費が高い(ガス・電気に比べると相当高い)
・生産性が低い(大量生産ができない)

いやいや誰がすんねんと。
1928年に創業し、初代が炭火焙煎を確立したのが1950年。それから74年が経った今も、なぜ私たちが「全量、炭火100%で焙煎」ができるのか?それは、代々受け継がれてきた手法で、どの時代にも違う手法を取らずにひたすら「継承する」ことに専念してきた結果だと思う。0から炭火だけで年間100t以上を焙煎します!という企業は、そう簡単には現れないと思っている。ただ、独得の進化を遂げてきた技術なので、そこから得られることも多い。

・第3の熱、遠赤外線の輻射熱効果
・豆の深部まで焼ける
・冷めても味が変化しにくい
・個性的な技術継承
・誰でもはやりたくない方法

誰も容易に始められない手法。ここがポイントで、めちゃくちゃ職人集団で、ニッチな世界で生き残ってきたガラパゴス企業ではある。最近は、ちょっと昔に戻るがクローズアップされていて、効率化で無機質になりがちな時代に「人間らしさ」や「昔は小さな循環で物が作られていた」とか、「作り手の方々と交流があった」とかが見直されてきた。私たちは粛々とアナログの世界を続けていて、結果として、今だから着目すべき取り組みがあって、また、今だからできそうな新しい仕組みがある。

・炭が出きるまでの背景を知る
・買わせて頂いている理由を考える
・炭の個性や役割を知る
・炭づくりの皆さまとの関わり
・その地域の皆さまとの交流
・里山整備、森林保全の動機や出口
・焙煎所の新たな労働の切り出し
・焙煎エネルギー(熱源)の国内自給
・バイオマスについて考える

まだまだたくさん。
カップ一杯のコーヒーを作るのに、昔ながらのエネルギー循環(国内自給)が未来につながるアナログの世界なのかもしれない。私たちが果たすべき役割が、だんだんと明確になってきた。品質へのこだわり。そのための手仕事。新たな挑戦。全てを含めて萩原珈琲。この営みを続けられるのも、私たちのコーヒーをご愛飲頂いているお客さまのお陰です。心より感謝申し上げます!

※それぞれの取り組みについては、順を追って投稿し、マガジンに保管させて頂きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?