ケース01 ホームレスを続けたかったけれど

 普通の感覚では信じられませんが、社会に馴染めず、あえてホームレスを続けている方も中にはいらっしゃいます。

 夫が出会ったのは、ホームレス歴40年の大ベテラン。20歳を超えた頃から河川敷でずっと暮らし、空き缶集め等で生計を立ててきましたが、年齢が60を過ぎ、身体が言うことを聞かなくなったのでしょう。ある雪の降る日、道端で倒れていたところを救急搬送され、医療費が払えなくなったことから保護を申請しました。ホームレスを長いこと続けていたせいで、住民票は削除、親族もいない状態です。そもそも字も書けないのですが、これでよく40年も行きてこれたなーと、夫は妙に関心したそうです。

 入院後、体調は無事回復し、退院の日が近づいてきました。生活保護を受ける以上どこかの屋根の下で生活しなければいけません。退院後の生活先として、無料低額宿泊所(住む場所がない人が入る施設)を用意していたのですが、「俺は施設に縛られたくない」と、入所を拒否。説得も虚しく、「もう2度と世話にならない」と啖呵を切り、寒空の下に消えて行ったそうです。

 数日後、救急隊員から連絡が入り、この方がまた緊急搬送されたとの連絡。夫が急いで駆けつけ、「もう世話にならないと言いましたよね?」と意地悪く聞いて見たところ、消え入りそうな声で「もうあんなこと言わないからよ、頼むよ」とのこと。結局「今後は勝手なことを言わない」のを条件に、保護申請を受けたそうです。

 今では施設に入り、「やはり屋根のある暮らしは最高だ」と元気に生活しているそうです。

ホームレスの方へ 今はいいかもしれませんが、年をとると身体に無理が利かなくなります。無理はしないでね!

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