まぁ、全部嘘なんやけどね。【その1】「出逢い」

僕は人見知りとは無縁の男なんやけどね。

そんな僕でも、この人とは「なぁんか緊張してまうなぁ」って人と最近出会いまして。

この前、愛犬のトニー(日本テリアとチベタン・マスチフの合いの子)を散歩させとった時の話ですわ。

ご存知のとおり僕は令和生まれ(5年生まれやから今年で4ヶ月。早いね)やさかい、柔足がすーぐ悲鳴あげまして。
かなんなぁ、思うてたら目の前に“ご馳走御殿”でお馴染みのミスター・ドーナッツがありましてん。

こらええわ。思うて。

せっかくやからミスター・ドーナッツで茶でもしばこかな思うて。意気揚々と入りましてん。

2、3個ドーナッツ🍩適当に選ばせてもろて、トニーに「お前もなんかいるか?」聞いたら「ワシ、コーヒーだけでええわ」言うからホットとアイスのコーヒー1杯づつ頼んで。
会計済ませて席着いて。

僕が2個めのハニーチュロかじりかけた時位ですわ。



「もし」

ーおなごの声。

誰や!思うたら行きつけの病院の看護師の女性やありゃしまへんか。
「あぁ、えろうえろう(セクシーですねという意味ではなく関西の方言で“大変に”という意)こんな所で」って僕返しましてん。
ほだら、彼女こう言いまんねん。


「こないだは、えらい私もいただいてしもて」


コレ聞いた時僕、カーッと顔、真っ赤なってもて。
というのも、彼女の勤めとる病院の話やねんけども。

ずぅっと前から、前通るたび「ええ雰囲気やなぁ」思うてた僕は、ある日の早よ終わった飲み会の帰り道に、勢いに任せてこの病院に入ってみたんよ。

ほいだら、こういう時の僕の嗅覚は中々のもんで、件の彼女が「いらっしゃい」言うてくれて。
その時点でコレは当たりや思ってたんやけど、また出してくれる体温計が、まぁうまい。まぁ、これはどうでもええんやけどね。

んで、初めて行った僕にも、この病院は牛乳を点滴でなみなみ打ってくれて。
しかも彼女が間違ごたフリして動脈に刺しときますね。言うて(ニクイ)。

今時こんな古き良き昭和の店があんのか(まぁ僕令和生まれやねんけど)と僕は感動して「いつかこんな女性と一緒に打てたらなぁ」なんて心に秘めながら、そのまま最近まで通い詰めとった訳やねんけど、この前、遂にその気持ちが酔いに任せて爆発してもたみたいで。
知らん間に彼女の静脈にカルーアぶち込んでたみたいでしてん。
(聞いたら勿論ちゃんと奢ってましたで!!)

どうしよ、変な事言うてないかなって赤い顔してドギマギしとったら


「もし」


言いはんねん。

そっから、まるでドイツのチェリー味のグミ(あれごっつウマイよね)の様に真っ赤でぷるるんとした彼女の唇から言葉が放たれるまで、なに言われんやろかと時間が永遠の様に感じられて。


ーでも、それも杞憂やったね。


「お持ちのエビグラタンパイの中身が、こぼれてありんすよ」


緊張の糸がフッと溶けて、2人で笑い合ったわ。

「あの時はワッチら2人でカルーア・ミルクでしたなぁ」
「今度はカルピスの牛乳割りにでもしましょか」

なんて事も言ってもらえて。でも僕照れて「すんまへん、すんまへん。」しか言えんようなってもて。

なんか近くなったと思ったら上手く話せんてなぁ。
これが
“恋”
なんかなぁ…。


まぁ、全部嘘なんやけどね。


ところで、先日大阪の街中でタモリ(森田一義さん)をお見かけしました。
これはホンマやねんけどね。

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