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きっと他のたとえがあるはずだ

 嫁さん何を思ったのか耳かきの梵天…丸いポンポンのついた方を鼻に寄せ…

「臭い!」

「…あったり前やろ、耳の中に入るんやもん」

 と言うと…

「えぇ~っそうなの?」

「・・・・・・?」

 お前本気で言ってんのかと。

 なるほど耳掻きのスプーンと反対側には梵天が付いているのがスタンダードではあるが、こけしライクな装飾がついているモノも結構ある。

 嫁さんは梵天も装飾の一種として認識していたらしく「かわいいポンポンがついてる~」くらいの感じだったらしい。まさか耳の中に突っ込まれるモノだとは思っていなかったようだ。

 嫁さんも驚いていたが俺も驚いた。

 確かに耳かきの取説など俺も見たこともないけど…使用している様を見たことなければわからないってのも理解はできる。

 俺も散々家で耳かきを使用してきたが、梵天を耳に入れているところを嫁さんは見ていなかったということやな。こりゃ嫁母にも聞いてみた方が良さそうだ。嫁さんも若干ぶっ飛んでいるが、嫁母はそれ以上にぶっ飛んでいるところもあるからなぁ。

 

 昨晩は嫁さんが朝から奥歯に挟まり取れなかった鮭がやっと取れた、と喜びと共に俺にそれを見せた、いや見せびらかした。

 毎日といってもおかしくないくらい嫁さんからいろいろなモノを見せられる。

「今年最強の耳クソ」とかな…。

 だいたい考えてみれば強い耳クソ、弱い耳クソの定義もイマイチ曖昧だ。大きい小さいならまだしも何に対して勝利しているのかが全くわからん。

 そのモヤモヤをかいくぐった上で、なるべく調子に乗らせないように「前のヤツの方が凄かったよ」と。

「女の人相手には『へぇ~凄いね』とか言わな!だからアンタは嫌われるんだよ!」

 なんちゅーとばっちりなのかサッパリわからないねぇ。男の人は実に難儀である。

 
 
 トイレから出て来た嫁さんが興奮気味に俺に言う…

「トイレ凄かったよ!」

「何がだよ?」

「コブラとマングースの闘いみたいだったよ!」

「・・・・・・・・?????」

 こちらはまるっきりヴィジュアルが湧かない!

「コブラがカーッて口開けるじゃん?そんな感じでさぁ…」

 読解のとっかかりからこれだ。俺にはこの方程式は絶対に解けない。まず何がカーッてなってるのかわかんねーもんな。

 そこからコブラとマングースの描写は続いたが、冒頭から置いていかれている俺は嫁さんの跳び具合をただ笑っているしかなかった。

 面白いかと聞かれれば、やたら面白いのだけど…どこの夫婦もこんな感じなのだろうか?

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