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コマ割りでキャラクターを動かす!漫画の描き方(レシピNo.8)


たいくつな部屋から広い外に出ていくというサイレント漫画「春風と猫」を描きました。中から外へと、短い距離ですが、キャラクターが具体的に移動しています。どうやって動かすか、コマ割りの方法も具体的に考えて描きました。

それがどんなコマ割りで、どうやってキャラクターを動かして見せているのか説明を書きましたので、下の2ページの画像を見て下さい↓

すいません、文字が小さくなってしまって読みづらいです(一番下に高解像度のPDFダウンロードへのリンクがあります)。ですので、下に補足を入れつつ説明していきます。まずは目次をごらん下さい↓



使う素材を説明します

下の絵を見て下さい。キャラクターが部屋の中から外に出ていくという、一連の動きです。これを素材として使います。

絵をよく見ていただくと、キャラクターが部屋の中から外へ、窓を超えた所で背景の雰囲気が変わっています。そして桜が散る中、猫と出会います。感情も、「たいくつ」してたのに、桜が「わーキレイ」と変わります。


使う漫画技法の説明をします

下の図を見て下さい、これが素材をコマ割りするために使う漫画技法、「アングル」と「パズルつなぎ」のセットの説明です。「アングル」とは見る位置を変えつつコマ割りしていくことで、「パズルつなぎ」とはコマを絵で繋いだり、絵の追加や削除をして絵が動いて見えるようにすることです。

右の3コマの絵を見て下さい、この2つの技法のセットを使ってコマ割りしています。コマの上がアングルの説明で、下がパズルつなぎの説明で、1コマを同時にこの2つの技法でコマ割りしてます。アングルを動かしつつ、同時にパズルつなぎで立体を増やしたり減らしたりしています。

この2つの技法をこういう風にセットで使うと、空間を覗いていくような、リアルな立体感を広げていくことができます。


素材をコマ割りしていきます

上の素材を、漫画技法「アングル」と「パズルつなぎ」のセットを使ってコマ割りします。コツは同時にこの2つを使うことです。それを、漫画の1段づつ説明していきます。


1段目、アングルの位置を変えていく

漫画の1段目はキャラクターが部屋の中にいる所です。下の図の右を見て下さい。キャラクターが部屋の中にいる1枚の絵です。これを、どのアングルで切り取るか、どうパズルつなぎにするか、同時に考えます。振ってある数字が何コマ目ですので見て下さい。1枚の絵のすぐ上の小さな4コマに1.本→2.キャラ→3.窓→4.桜とあります。そういうふうにパズルつなぎで絵が増えていくように、青い四角の所で切り取りました。

左の1段目の漫画のコマと見比べて下さい。ひとコマづつ絵が増えていくことで、この部屋がどんな所なのか分かっていきます。


2段目、アングルの角度も変える

漫画の2段目はキャラクターが部屋の外に出ていく所です。下の図の右を見て下さい。矢印がアングルの位置で、こんどは角度をつけて風景を切り取っていきます。パズルのピースがパズルつなぎの組み合わせの絵です。窓を越える所で背景は全部入れ替わってしまうので、コマに常にキャラを入れて、そのキャラで入れ替わる背景を繋げていくパズルつなぎをします。

パズルのピースを見て下さい、キャラクターと組み合わせる背景は、5.花びら→6.中の窓→7.外の窓→8.桜の木と、入れ替えていきます。矢印のアングルの位置を見て下さい。アングルも同時に同じものを映すように考えて、キャラが移動していくように風景を切り取っていきます。

左の2段目の漫画のコマと見比べて下さい。その入れ替わる風景のおかげで、キャラクターが中から外へ移動していっています。5コマ目でアングルの手前に花びらを入れたり、8コマ目で上の方から広いところ見る感じにして開放感を出したり工夫します。


3段目、素材を全部入れ替えていく

漫画の3段目はキャラクターが猫と出会う所です。下の図の右を見て下さい。矢印がアングルの位置で、パズルのピースがパズルつなぎの組み合わせです。9コマ目以降は、アングルを変えつつ、絵の要素を全部入れ替えていくパズルつなぎでコマを割っていきます。

パズルのピースを見て下さい。桜の木+猫→猫+空と桜→空と桜+ちょうちょ→ちょうちょ+キャラクターと素材が全部入れ替わっていっています。矢印のアングルの位置を見て下さい。同時にアングルも同じものを映すように考えて、色んな所を見ている感じで風景を切り取っていきます。

左の3段目の漫画のコマと見比べて下さい。その入れ替わる素材のおかげで、コマ割りに繋がった絵の動きがあります。アングルが変わることで立体的に、桜の庭の広さが出てると思います。


パズルつなぎの解説とポイント

漫画で使った技法、パズルつなぎを詳しく説明します。下に続くポイント1からのコマ絵の画像を見て下さい。この漫画はコマの前後を全部同じ絵で繋いでいます。赤い矢印で繋いだ絵がそうです。他の絵は入れ替えたりしていて、コマの中の絵を組み合わせられる要素としています。コマ下のパズルのピースがそうです。これらによってコマ割りに前後関係のある動きが作られています。こういう効果をパズルつなぎと仮に呼びます。描くときのポイントを説明します。


ポイント1
1から4コマ目はキャラクターが部屋の中にいる所です。3コマ目を見て下さい、このコマに追加された窓の絵に1と2コマ目の絵(リュック、本、キャラ)を全部合わせています。そうしますと窓の周りの全体を見せる感じになります。


ポイント2
5〜8コマは全部のコマにキャラがいて、キャラがコマを繋いでいます。こうするとキャラが内から外に移動できますし、色々な風景とも合わせられます。アングルも大きく動かせますので空間の広がりが作れます。


ポイント3
桜はアップとアウトで見え方が異なりますが、同じ桜の絵だと見て取れます。形で判断するよりも「桜」という記憶を参照している感じでしょうか。9と10コマ目は猫がコマを繋いでいますが、アップとアウトで形を変えた桜もコマを繋いでいる、とも取れます。


まとめ、コマの動きの隠し味

この漫画は、アングルを変えて描いていることは分かりやすいけど、説明がなければパズルつなぎの技法で描かれてることは分からないかもしれません。でも、コマ間をパズルつなぎの、同じ絵で繋いでいくということを、とても意識的に描きました。

まとめますと、パズルつなぎは、意識的に描いてもそれが意識的だと伝わりづらいと思うので、なので、アングルの動きにちょっとした隠し味をコソッとたす、という感じに使えるのでは?と思います。


印刷用PDFダウンロード

以上のことを3枚組のページにまとめたものをこちらのリンク先からダウンロード出来ます。リンク先では拡大画像がありますのでご確認ください。B5版解像度350dpiです。有料になります。印刷して、動画や漫画を読むことが好きなお子様との団らんに使ってはいかがでしょうか?

↓こういう3枚のページがダウンロード出来ます!

BOOTHでもダウンロード販売しています↓
https://booth.pm/ja/items/5776735


お役立ちリンクです「ハズルつなぎ」に関する記事です↓


この記事はノートのマガジン、「サイレント漫画の作り方レシピ」の記事の1つです。1ページのサイレント漫画と、その漫画の描き方についての記事を書いて、まとめています。


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