見出し画像

おばあちゃんの患者さんにトレーニングを伝えて「ハッ」された話

脊柱管狭窄症のおばあちゃんが鍼灸院に来ている。脊柱菅狭窄症の症状は何十件見てきたが、鍼灸だけでよくなると思ったことはない。鍼灸だけだと、楽な状態になる。けど維持は難しい。だからトレーニングが必要。だからおばあちゃんに鍼灸は必要なんだけれど、それ以上にトレーニングが必要だと伝えた。

脊柱管狭窄症というのはまっすぐ立つと腰の筋肉で神経を圧迫し、体を起こしていられなく。前かがみになると腰の筋肉が緩み、神経の圧迫が解放される。だから足のしびれや痛みが軽減する。ちょっと厄介な神経症状。

当然おばあちゃんの腰はガチガチ。腰の筋肉の緊張を軽減しないといけない。それ以上にお尻の筋肉が使えていない、症状は左側に出る。ヒップアップという仰向けで膝を立て、お尻を上げるトレーニングをすると左側が使えていないことが分かる。

ここでおばあちゃんが透かさず質問。

『週1回きたらいい?』

いやいや週一回じゃ無理やろー。と心の中で思う鍼灸師。確かに筋肉の緊張を緩和することは週一回もしくは週2回でいい。けれど、お尻の筋肉が使えるようになるには毎日のトレーニングは必要になってくる。

毎日といっても夜9時にトレーニングをすればいいわけではなく、1日3回に分けてトレーニングをするぐらいの気持ちではないと、もっと言えばCMになったらやるくらいでないと、お尻の筋肉を使った姿勢の維持は難しい。

赤ちゃんを見ればやるべきことが分かる

我が娘は先日5ヶ月になり、できなかった寝返りができるようになっている。それは寝返りをしようとしようと1日中で何度も何度も頑張った甲斐があったからだ。寝返りをしたくてしてるのか分からないが、目を離すとうつ伏せになっている。親としては恐怖である。

「またうつ伏せになってるよ、すごいな、目が離せない」

次に、うつ伏せの状態が多いので、背中を反らして背筋トレーニングをしている。1日の間で何度も何度も背筋トレーニングをするものだから、だんだん背中のそりが高くなっている。

ストレングストレーナーではないのでトレーニングについてあれこれ言う資格は無いが週に1回のトレーニングで臨み結果が出るかというとなかなか難しいのではないかと思う。

『ハッ』としたおばあちゃん。気づきはでかい。

このような説明をされると、おばあちゃんは『ハッ』とした顔をしていた。「たしかに私は週一回ジムでフリーでストレッチやトレーニングをしていたがしれている」トレーニングの内容も含め改善に至らないと感じたようだ。

しかし、このおばあちゃんに毎日3回に分けてトレーニングをしてくださいねというのは、絶望的に無理である。

なので僕は鍼灸は週に1回。トレーニングは10分でいいからインに来て一緒にやりましょうと伝えた。その甲斐あってトレーニングは週に2回来るようになった。

旨味を感じない人は継続しにくい

まだ旨味を感じてないのにトレーニングをするのは、絶対はないんだけど絶対に無理だと思う。誰かと約束をして、頑張れない自分を応援してくれる人がいるから、トレーニングをする。次第に成果が出てくると、自ずと一人でもトレーニングをする。

平坦な道で石は転がらないが、坂道に石を置くと自然と転がっていくように、理論だけ説明するのではなく、坂道に石を置いてあげるように見届けてあげることが治療家サポーターの役割だと思う。

#誰かの役に立てたこと

【執筆者】芳賀 大晃 / 鍼灸師

1992年愛知県生まれ。大阪府在住中。
オルソ鍼灸院で鍼灸師としてできることを模索しながら、自律神経失調症、アトピー性皮膚炎など体の不調を整える仕事をしています。

WEB:https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/1892

いただいたサポートは世の中のためになる情報のアウトプットのための資金にさせて戴きます。