茶髪とカラコン
ウクライナとミャンマーの紛争に対する欧米の対応は、大きく異なっている。ウクライナは欧米から何十億ドルもの軍事援助を受けているが、ミャンマーの抵抗勢力は事実上無視されている。その理由の一つは、ミャンマーにカリスマ的指導者がいないことだ。指導者が監禁されているため、ミャンマーの抵抗勢力は公の顔として認知されていない。一方、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は戦時中の指揮官に変身し、世界的に大きな注目を浴びるようになった。
また、ミャンマーには単純な物語がないことも、この違いの要因である。ミャンマーでは、民族、言語、地理、思想、歴史などの問題が複雑に絡み合っており、強力な物語を作ることはかなり困難である。さらに、2017年のロヒンギャの大量虐殺は、ミャンマーの元リーダー、アウンサンスーチーが軍と対決するという、それまで単純化されていた物語を濁らせたのである。
西側諸国の対応には地理的な要因も絡んでいる。ウクライナは1世紀以上にわたって、特に欧米列強とロシアとの戦略的競争の場として常に存在し続けてきた。これに対し、ミャンマーは欧米では常に後回しにされ、紛争の場としての重要性ははるかに低いと見なされてきた。そのため、欧米諸国はミャンマーの抵抗勢力に対する軍事支援に消極的であり、東南アジア諸国連合(ASEAN)をはじめとする国際社会の大半も軍事支援に消極的であった。
武器や物資がミャンマーに流入しても、できるだけ否認権を行使して静かに移動している。西側諸国が公然と武器を提供しないため、戦闘員はクラウドファンディングで武器を購入し、廃品をつなぎ合わせて作った爆薬を使用している。一方、軍事政権は、ロシアや中国から購入した武器や、アメリカ、日本、フランスなどの企業から供給されたものを使って国内で製造した武器で、膨大な兵器を作り上げている。
最後に、ハーグの国際司法裁判所も、この2つの紛争に対する欧米の対応の違いを反映している。1年も経っていないウクライナ事件では、ほぼすべての西側諸国から正式な介入を受けているのに対し、2019年に開始されたミャンマー事件では、どの国からも一度も介入を受けていないのである。ウクライナとミャンマーの紛争に対する欧米の対応の格差は、国際社会から支持と注目を集めるためには、強力な指導者とシンプルな物語が重要であることを浮き彫りにしている。
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