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米国血液学会・米国移植学会「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種」Section C

 今回も、米国から発信されている「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種に関する専門家の意見」の続きを掲載します。

セクション C: 特殊な造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおける推奨事項


Q. 造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた小児患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種に関して追加で考慮すべきことはありますか?

 米国では、現在利用可能なCOVID-19ワクチンの年齢制限は、ファイザーワクチンは16歳以上、モデルナおよびジョンソン・エンド・ジョンソン/ヤンセンワクチンは18歳以上です。

 小児(年齢>12歳)においては、ファイザーとモデルナが臨床試験を開始しており、2021年春夏に発表される予定です。成人の場合と同様に、小児においても造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおける安全性または有効性に関するデータはありませんワクチン投与のタイミングは、基本的には成人と同様になると考えられます。

Q. 今後造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受ける予定の患者さんは、COVID-19ワクチン接種を受けるべきですか?また造血細胞移植における幹細胞ドナーは接種を受けるべきでしょうか?

 移植患者さんにおけるワクチン効果を高めるために、自家移植前にワクチンを打つ研究も他のワクチンでなされたこともありますが、有用性は明らかではありません。同種移植前にインフルエンザワクチン接種を受けた研究では、ワクチンの効果はいまひとつでした。従って、現時点では、臨床研究でない限りは、移植またはCAR-T細胞療法の前にCOVID-19ワクチンを接種すべきではありません。

 幹細胞採取前に幹細胞ドナーにワクチンを接種することは、以前の他のワクチンによる研究では移植を受ける患者さん(レシピエント)に利益をもたらすことが示されていません。また、これは非血縁ドナーの場合は実現不可能です。幹細胞ドナーは、臨床研究でない限りは、移植を受ける患者さん(レシピエント)に利益をもたらすためだけにCOVID-19ワクチンを受けるべきではありません。しかし、ドナーがワクチン接種を受けている場合、患者さん(レシピエント)に何らかの予防効果を与える可能性があるため、2回目のワクチン投与後少なくとも2週間は幹細胞採取を待つ方が望ましいと思われます(注:2週間待つことで、抗体がしっかりできる可能性が高まるため)。

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