統合失調症でも幸せに生きられるVol45

お寺での暮らし

僧侶と結婚した私

私は22歳の時に、僧侶と結婚して、中国地方の山間部のお寺に嫁ぎました。私が統合失調症を発症して、お寺で暮らすのが無理になり、39歳の時に離婚しました。それまで、17年間、お寺で暮らしました。

元夫とは、私のバイト先で知り合いました。彼と目が合った瞬間、私は「この人と結婚するわ」というインスピレーションを感じました。その直感だけを信じて、私は、元夫以外に誰一人知り合いのいない、山寺に嫁ぎました。
友達も誰もいなくて、すごく淋しかったです。でも愛する人と一緒に居られることは、幸せなことでした。若かったからできた決断でした。


二人の男の子を授かる

23歳の時に長男を産み、25歳の時に次男を産みました。二人とも元気に育ってくれて、とても幸せでした。

二人とも、檀家さんのお葬式の日に陣痛が来ました。元夫はとても忙しくて、大変でした。

次男の出産の日は、不思議なことがありました。お葬式の準備で、バタバタしている時に、おしるしがありました。元夫は、檀家さんの家に行っていていません。「どうしよう」と思いました。病院までは車で1時間かかるのです。すると、檀家さんのお一人が、電話をかけてきてくださいました。
「今から、街に行くけど何か用事はないか?」と。私は、「すみませんが、病院まで連れて行っていただけますか?」とお願いしました。その方の車で、病院に行きました。その方のおかげで、次男を無事に産むことができました。

後でお姑さんに聞いたら、その方は、亡くなったお義父さんの親友だった方でした。お義父さんが守って下さったのだと思います。次男は、今、修行僧です。仏縁というか、仏様に守られているのだと思います。


大変だったお姑さんとの日々

私が嫁いだ時は、お舅さん(お義父さん)はなくなっていましたがお姑さんは、存命でした。このお姑さんとの日々は、本当に大変でした。

頑張って食事を作っても、「最近ほうれん草を食べとらん」と言われます。ほうれん草かと思って料理をすると、「椎茸を食べとらん」と言われます。
あるものではなくて、ないものばかりを指摘されます。幼い息子たちの世話をしながら、お姑さんの満足のいく料理を用意するのは、本当に大変でした。

食事以外にも、色々と注意されます。「きょうは何を注意されるのだろう?」と、毎日胃が痛かったです。

お姑さんは、ことあるごとに、「葉月さんみたいな家柄の娘さんが、うちのような格式のあるお寺に嫁に来れたのは、奇跡じゃな」と言いました。この言葉を聞くのが辛かったです。

お姑さんは、私が31歳の時に亡くなりました。今の私なら、もっとうまくお姑さんとやっていけたと思います。でも、その頃の私は、若過ぎました。


児童英語教室

お寺での生活になかなか自分の居場所を見いだせなかった私は、自宅で小学生・中学生に英語を教える仕事を始めました。元夫も、お姑さんも応援してくれました。

私は、この仕事に情熱を注ぎました。口コミで生徒はどんどん増えて、30人以上の生徒さんが来てくれるようになりました。

「もっと頑張らなきゃ」と、私は思いました。昼間は寺の仕事をして、夕ご飯の準備をしてから授業をして、息子たちに絵本を読んで一緒に寝て、2時amくらいに起きて、授業の準備をすると言ったサイクルの暮らしを続けていました。生徒たちが喜んでくれるので、疲れを全く感じませんでした。よく頑張れたなあと今は、思います。

でも、そんな無理な生活がたたり、私は、統合失調症を発症してしまいました。睡眠不足や、ストレスが原因でした。


お寺での生活を今振り返って

色々大変なこともたくさんありましたが、お寺に嫁ぎ、長男と次男を産むことができて、私は幸せでした。自然豊かな、あのお寺で生まれ育ったから、今の息子たちがあるのだと思います。

お寺の仕事に加えて、英語教室をやっていた私は、毎日がとにかく忙しかったです。ゆっくり息子たちと遊ぶ暇もありませんでした。そのことを後悔しています。お姑さんともっといい関係が築けなかったかな?とも、思います。

でも、私は、精いっぱい生きていました。ひたすら生きていました。頑張っていました。

統合失調症になって、元夫や息子たちには心配や迷惑をいっぱいかけました。申し訳ない気持ちでいっぱいです。

色々と反省したり、後悔したりすることはありますが、元夫と結婚したことは後悔していません。そのおかげで、素晴らしい息子たちと出逢えたのですから。息子たちは、私にとって宝物です。彼らと出逢えて、私は、幸せです。

ひたすら生きた、お寺での日々。それがあるから、今の私があるのだと思います。やっとそう思えるようになりました。

諸行無常。すべては移ろいます。同じままということはありません。だからこそ、一瞬一瞬を大切に生きていかなければならないのだと思います。私は、そんな風に生きていきたいです。

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。


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