統合失調症でも楽しく生きられるVol23

「科学的に幸せになれる悩磨き」 岩崎一郎著

島皮質を鍛える良き人間関係

温かみのある人間関係

幸せで豊かに生きるためには、温かみのある、心を一つにできる人間関係を持つことが大切です。

孤独は、人の脳にとって「毒」になるのです。孤独の状態が続くと新しく脳細胞を生み出す脳内ホルモンの生産が減り、ほかの脳内ホルモンや神経伝達物質も減少することが分かってきました。

たった一人でも、気持ちを分かち合える人がいればいいのです。そういう人がいれば、もう孤独ではないのです。

人間関係で大事なのは量より質です。たった一人でも、心を通わせられる人がいれば、脳は磨かれるのです。


大人にも「安全基地」が必要

子供が正常に社会的、情緒時発達を遂げるには、少なくともひとりの養育者と親密な関係が必要で、それがなければ、その子供は、社会的、心理的問題を抱えると言われています。

いつでも戻ってこられる安全基地があるという安心感があるからこそ、子供は外の世界へ冒険に出かけられます。

この「安全基地」は、大人にも必要です。安全基地があるかどうかが、その人の健康に影響を与えることもわかってきました。安心して帰れる「安全基地」は大人には必要なのです。


愛情ホルモン・幸せホルモン

なぜ、心の繋がりや温かな人間関係が、幸せに繋がるのでしょう?

その一つには、心を一つにできるような人が側にいると、脳はストレスを感じにくいためです。

島皮質が小さい人は、ストレスを感じやすいこともわかりました。島皮質が小さいということは、他者との心のつながりが薄いとも言えます。

心の繋がりを持てるような人がいると、大変な状況に陥ったとしても、前向きに、困難を共に力強く乗り越えていけるのです。

人が心を一つにできる関係を持てるとなぜ良いのかの2つ目の根拠は、愛情ホルモン・幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンがたくさん出るようになるからです

オキシトシンがたくさん出るのは、他者と心のつながりを持てる時です。心の繋がりができると、オキシトシンが分泌されて、さらにその絆が深まるという好循環が起こります。


集合知性

集合知性とは、みんなで力を合わせた時に個人では至らないような、天才知性にも勝るような能力を発揮できる能力のことです。「7つの習慣」のシナジーとも重なるかもしれません。

チームのメンバーがお互いに相手を理解する能力が高いと、高いパフォーマンスの集合知性が発揮されます。

チームの中に自分のことばかり話す人がいると、集合知性が発揮でいないこともわかりました。

チームのメンバーがお互いの事をよく理解し、心を一つにできるような関係になった時、その関係性がメンバー個々の能力をいつも以上に引き出し合い、新たな能力を開発するのが、集合知性と言えます。

集合知性を発揮するには、次の3つの要素が不可欠です。
1.お互いの気持ちや視点を受け入れて、お互いの立場に立てる
2.対等に発言できる、あるいは本音でぶつかれる
3.メンバーが共感できる、共通の目的に向かって心を一つにできる。

温かみのある、心を一つにできる人間関係が、なぜ「幸せで豊かな人生」に繋がるのか?その答えがこの「集合知性」です。


共同体思考と個分離思考

共同体思考とは、「相手を仲間・同志、共同体の一員として受け止めている」脳の使い方です。

相手と共に目指す目的ができた時、仲間と力を合わせようとするため、相手のできているところ、よいところ、可能性、未来のなりたい姿に目がいくという特徴があります。

共同体思考の反対の脳の使い方が、「個分離思考」です。相手と自分とを個として分離して捉えます。

「自分は正しいが、相手は間違っている」などのようにエゴが強くなるので、相手のできていないところ、悪いところ、過去の原因に目がいくという特徴があります。

忘れてはいけないのは、心を一つにするような関係性を持つことは、「個人の幸せにも繋がる」という点です


成長に目を向ける

部下の仕事の「成果」、子供の勉強の「成果」など、私たちはつい「成果」に着目しがちです。でも、「成果」ではなく、「成長」に目を向けることが大切なのです。

なぜ、成長に目を向けることが大切なのでしょうか?それは、失敗の捉え方が変わってくるからです。矢敗をただの失敗と捉えずに、「失敗は成功のもと」というように、失敗を前向きに捉えられるようになるのです。

「体験→振り返り→次の行動」を繰り返していけば、人は成長していきます。これを「成長サイクル」と呼びます。

成長するためには、「成長サイクル7」をどんどん回すことが肝心ですが、そのためには、失敗をどう捉えるかが、とても重要です。


ただ一緒にいてくれる人がいるだけで

共同体思考の脳は、「相手の存在そのもの」に感謝し、一緒に居られることを喜びます。

一方、個分離思考の脳の使い方では、何か目に見える成果を出さなくては、何を生み出さなければ、存在する意味はないと考えます。ひどい考え方ですが、現代社会には、案外広くはびこっています。

人は「ただ一緒にいてくれる人がいると、気持ちが励まされて、力が出るようだ」ということがわかってきました。

だから、一緒にいる人に対して、その人の存在そのものに感謝することが大切なのです。

相手が何かをしてくれるから、何かを与えてくれたからという条件を付けずに、ただいてくれること、存在してくれることを喜び、感謝することが大切なのです。それが、互いの成長エネルギーになるのです。

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

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