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親は選べないが人生は選べる(統合失調症の私のNPO法人奮闘記Vol68)

『親は選べないが人生は選べる』 高橋和巳さん著

『愛着障害 子供時代を引きずる人々』岡田尊司さん著

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愛着障害の私

愛着障害って、言葉を聞かれたことがありますか?

ウィキペディアには、
「愛着障害は乳幼児期の虐待やネグレクトにより、保護者との安定した愛着が断たれたことで引き起こされる障害をいう。『甘える』や『誰かを信頼する』などの経験値が極端に低いため、自分に向けられた愛情や行為に対しての応答が、怒りや無関心となってしまう状態」とあります。

乳幼児期に保護者、特に母親にくっつき、抱きしめられて、擁護されることなく育つと、この愛着障害を引き起こしてしまうのだそうです。そしてその影響を大人になるまで引きずってしまうのです。

ゼロ秒思考のメモ書きとアクティブリスニングの提唱者の赤羽雄二さんを通じて、「愛着障害」という言葉を知った私。赤羽雄二さんのお勧めの本、岡田尊司さん著の本『愛着障害 子供時代を引きずる人々』を読んで、自分が愛着障害であることを知りました。

私には生母と継母と2人の母がいます。生母は私が生まれてすぐに育児ノイローゼになって、精神病院に入院しました。私は、祖父母の家や親せきの家、父の知人の家などに転々と預けられて育ちました。どの家でも可愛がってもらったと思います。

でも、転々と色々な家に預けられた影響で、
「目の前の人を喜ばせなきゃ」
「目の前の人に気に入られなきゃ」
という意識が強く働くようになりました。それは大人になった今でも続いています。
「人に頼むくらいなら、自分でやった方がいいよな」
と、無理もしてしまいます。結婚していた頃に、やっていた英語教室でも、
「もっと頑張らなきゃ、もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込んでしまっていました。
「人に認められたい」
という思いがすごく強かったのです。愛着障害の影響だと思います。睡眠不足と過労に、実家の悩み事が重なって、私は統合失調症を発症してしまいました。その根っこには、愛着障害があったと思います。


好きなケーキが選べるか?

「あんな母じゃなかったら、自分はこうはならなかったのに」
「あんな父じゃなかったら、もっと違った人生を生きられたのに」
と思ったことはありませんか?私はあります。最近までそう思っていました。

そんな私は、ある本に出会いました。精神科医の高橋和巳さんが書かれた
『親は選べないが人生は選べる』がその本です。まずタイトルに惹かれて、読み始めました。面白い!すごく深くて興味深い本でした!

本の中に、「愛着の否認チェックリスト」の一節について書かれた箇所がありました。それがとても興味深いのです。

テーブルの上に5種類のケーキがあります。
友達とのティータイムで、そのケーキの中からあなたが最初にケーキを選んでいいということになりました。
あなたは自分の好きなケーキを選べますか?
①喜んで選ぶ
②ためらいながらも選ぶ
③「いいよ最後で」と遠慮する。

どうでしょう?自分の好きなケーキを選ぶことができますか?

愛着障害のない人は、①喜んで選ぶことができるのだそうです。愛着障害のある人は③「いいよ最後で」と遠慮するのだそうです。私は③でした。自分の気持ちを素直に表現するのが怖いのです。自己主張するのが怖いのです。


5つの心理発達段階

この本では心理発達段階を5段階に分けていて、それぞれの段階で、どう他者と関わっていったらいいかについて詳しく書かれています。

①乳幼児期(愛着形成)
イヤイヤ期(第1反抗期)
②学童期(親の価値観を継承)
思春期(第2反抗期)
③成人Ⅰ期(自己責任の確立)
④成人Ⅱ期(父母性の確立)
⑤成人Ⅲ期(死の受容)

私は特に成人期の3段階に興味をおぼえました。

成人Ⅰ期は、独立した一個の大人になることで、それは自己責任の確立です。

「自己責任の確立とは親に頼らない、親のせいにしない、うまくいかなくても他人のせいにしない、自分で判断するというほどの意味です」と高橋和巳さんは書いておられます。

この成人Ⅰ期に、パートナーを選ぶ人も多いです。結婚する人も多いです。その選択の基準には二つあると高橋さんは書いておられます。

①第1の基準 一緒にいられる安心
②第2の基準 自分に補いたい心をパートナーに求める

①一緒にいられる安心を求めて、パートナーを選ぶ人はとても多いのではないでしょうか?私も元夫と結婚したのはその安心感を求めてでした。
一緒にいられる安心感。互いの気持ちが通じ合っているという安心感です。

②第2の選択基準は、原家族の中で自分が実現できなかった「心」を相手に求めることです。親との関係で、自分が実現できなかった「心」です。

これもすごくわかります。元夫との結婚を決めた時、私は、「安定した家庭を築きたい」「守られたい」と強く思いました。それは、子供の頃の私が求めていたものでした。

パートナーとの関係で苦しい思いをされている人もいると思います。でも、「親は選べないけれど、パートナーは自分で選べる、人生は変えられる」と高橋さんはおっしゃっています。苦しい関係になったら、その関係を終わらせることもできるのです。

元夫と私は離婚しましたが、今はお互いのためにその選択をして、本当に良かったと思っています。


3つの心のポジション

成人Ⅰ期は大人への入り口です。そしてその次の段階の成人Ⅱ期の一番の特徴は、心が「3つの心のポジション」を使えるようになって、安定することです。すごく興味深かったので、まとめてみます。

3つの心のポジションとは、
①親や目上の人に甘えて、頼りにできる心
②友達や仲間と一緒に、対等に認め合える心
③親や上の立場になって、子供や年下の人を保護する心

①の頼るということは、私はとても苦手でした。拒絶されるのが怖いのです。愛着障害のせいだと思います。

でも②の対等に認め合える心は、あったのではないかと思います。ありがたいことに、学生時代から今まで、すごく素敵な友達や仲間に恵まれています。友達や、仲間のに助けられてここまでこれた気がします。

③の保護する心を育んでくれたのは、二人の息子達です。彼らは私に本物の愛を教えてくれました。

この3つの心で、人は人とつながっているのです。


自由とは「心の法則」という必然を実現すること
 
高橋さんは6つの心の法則を挙げられています。

・心の法則① 人は「愛着」を求めて生まれ、生涯、人とのつながりを求め続ける。
・心の法則② 心の傷とは「愛着の否認」をしてしまう事で、これが人を苦しめる。
・心の法則③  心はより安心を求めて5つの心理発達段階を、順を追って       広がっていく。
・心の法則④  人は3つの心でつながる、「甘える」、「対等」、「保護する」
・心の法則⑤  あらゆる悩みは、規範を守れない葛藤から生じる。
・心の法則⑥  心は常に自分と世界の一貫性を求めて動き続ける。

「母親にくっついて安心したい」という最初に私たちが持つ欲求。愛着の欲求。それが満たされなかったことで、私はデコボコの多い人格形成になり、デコボコの多い人生になってしまいました。そのために自分や人を傷つけもしました。

でも、これまで出会ってきたたくさんの温かい人たちとの関りとつながりのおかげで、「幸せだな」と思える人生を歩めるようになりました。愛する人ができたことで、その幸せはさらに広がっています。

高橋さんはおっしゃいます。

「自由とは必然の洞察によって得られます。つまり愛着を求める必然を知り、それに従い、それを実現することが幸せになること、すなわち自由です」

親は選べないが、人生は選べる。

そう私たちは、もっと自由に生きていいのです。すごく大切なメッセージを得ることができた本でした。

最後まで読んで下さって、ありがとうございました。


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