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読書記録#2

こんにちは、桁です。
10月、11月の読書記録をつけようと思います。先月今月はおすすめされた本をたくさん読んだ気がします。つまり読んだことのないジャンルでも感想をちゃんと伝えなければならない本が何冊かあるということで......はりきる!


『音楽は自由にする』坂本龍一
坂本龍一の自伝。
この本を読むまでの僕の坂本龍一像は、「もの静かでおしゃれなピアノの曲を作る人」だったが、それはほんの一側面でしかないと知った。
若い頃の活動的だったエピソードや、音楽家としての活動の遍歴など、やっぱり才能の人としての認識が強くなった。
「音楽図鑑」や「/05」のアルバムが好きです。これからもたくさん聴く。


『あなたの人生の物語』テッド・チャン


SFの名だたる賞をいくつも受賞している、テッド・チャンの作品集。
どの話も緻密で、知性とユーモアに富んだ描写が多くて、とても満足度の高い本だった。
特に好きだなと思ったのは「理解」と「顔の美醜について−ドキュメンタリー」。
表題作の「あなたの人生の物語」は、映画「メッセージ」の元の小説で、映画よりニュアンスの細かなところが理解できて面白かった。


『砂の女』安部公房

安部公房の代表的な作品。
主人公は、砂に埋もれた集落に閉じ込められてしまう。穴の中には、砂で崩れかけの家と一人の女。この状況からいかに脱出するか、というお話。
安部公房作品は寓話的だったり風刺的な描写が多く、この作品も急に「わかる!」となったりする。ただ、日本の土着的な集落の描写とか、その環境に適応している女の様子がリアルで、読んでいて苦しかった。


『ホリー・ガーデン』江國香織

東京に住む、二人の幼なじみの女性の、恋愛と生活のお話。
恋愛小説を読むのは初めてだったので、読んでいる途中は文章を咀嚼するのに時間がかかったり、少しわからないところがあったりしたが、読み終えてから、とても良い読後感があった。
二人は劇的に変わることはないものの、生活を少しずつ変えていて、そんな様子が、読者である自分の生活も肯定してくれる感じがして、うれしかった。


『ぼくの小鳥ちゃん』江國香織

ある日、言葉を話せる「小鳥ちゃん」が「ぼく」の部屋にやってきて、それから一緒に生活をしていくお話。
イラストが素敵で、日本とも外国ともわからないけれど、近くの街のイメージもあって楽しい。
「小鳥ちゃん」は寓話的なところもあるのかなと思いつつ、その苦しみも書いていて、だれかに当てはめて読んでしまいそうだなと思った。


『夜明けのすべて』瀬尾まいこ
パニック障害を持つ男性と、PMSを持つ女性のお話。とても読みやすいです。
「世の中」にうまく生きられなかったり、生きづらさを抱えている人の描写がとてもリアルで、共感できる部分が多かった。


『霊長類ヒト科動物図鑑』向田邦子

おすすめしてもらった、向田邦子さんのエッセイ。
今とはだいぶ違う時代の生活のエッセイだけど、だからこそとても面白かった。エッセイの面白さが詰まった本だと思う。
人間の生活は普遍的に面白く話せるよっていいたくなる。おすすめです。


『いのちの車窓から』星野源
星野源さんのエッセイ。
最新エッセイなのもあって、Netflixで配信されている「lighthouse」の、今の星野さんに近い印象を受けた。
自分は星野さんの、暗いところも包み込むような曲が好きで聴いているのだが、この前人に「星野源って暗いというよりは“変”だよね」
と言われて、うまく言い返せず悔しかった。
確かに少し変かもだけど。
そうじゃないんだよな......


『ナナメの夕暮れ』若林正恭
オードリー若林さんの新しいエッセイ。
「lighthouse」の若林さんが、地続きでいてとても嬉しかった。後ろ向き、内向きな人間、自意識と向き合い続けている人間としての葛藤とか悩みが、すごく共感できてしまった。
若林さんはそれを面白おかしく、人生を進めていて素敵だと思う。


“さて、本から目をあげれば、そこにあなたの現実が広がっている......”

「第四間氷期あとがき」新潮文庫

『第四間氷期』安部公房
未来予測ができる機械を作った技師と、その研究室を巡る、未来についてのお話。
話の筋とはあまり関係ないけど、読み終えたばかりで、あとがきが印象に残っている。
昨日見たリルケ詩集の中にある「読書する人」という詩を思い出し、読書のすごさを再確認している。
断絶した未来を受け入れる覚悟は、僕もないな〜と思った。日常の連続としての未来しか受け入れられない気がする。


まだ11月は半ばですが、下旬は忙しくなりそうなので、ここでまとめてみました。
安部公房作品がまだまだ、全然面白くて、とてもハマっています。全部読みたい。
おすすめしてもらった本やエッセイもどんどん増やしていきたいですね。ゆくゆくは人に、心からおすすめできるくらい読みたいです。


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