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Vol.5 〈新町・香春神社しめ縄づくり〉インタビュー 筒井 佳治 さん


 香春岳の麓に佇み、四季折々の姿を見せてくれる香春神社。12月に入ると、香春神社運営委員会の方々と地元地域の方々が集まり、今年一年を見守ってくれた神様の化粧直しを、また地域の豊穣を願い、しめ縄の取り換え作業が行われます。
 今回は、そんな香春神社のしめ縄作りに携わる方々にお話を伺いました。

____香春神社に祀られているこの大きなしめ縄は、どのようにして作られているんですか?

筒井さん このしめ縄はね、もち米の藁を使っとるんですよ。もち米の藁は粘り気があってしなやかやからね、パリッと張りのある力強い縄が出来るんです。祖父の代からね、うちのもち稲を使っとるんですよ。

深野さん 昔はね、もち米の藁を作っている農家がいなかったから、初めは探し回って貰いに行ってたんよ。筒井さんのじいさんに出会ってもち米の藁を貰うようになってね。筒井さんとはその頃からの付き合いよね。

筒井さん 刈った稲は2ヵ月神社の境内で乾燥させながら選別するとですよ。縄にする前段階の藁束を作るために、ほぼ毎日作業をしに来ていますよ。稲刈りから出来上がりまで出来るだけ手作業を意識していて、一本一本目で見て良いものだけを選びたいですからね。出来上がりを想像しながらしていると、作業が捗るし、出来るだけ綺麗な藁を作ろうと思えるんです。


____筒井さんが作ったもち米の藁が、こうやってひとつの大きな縄になっていくんですね。毎年決まった頃にしめ縄作りは行われるのですか?

大森さん 毎年12月第一日曜日は、年納めに翌年のしめ縄を作るんよ。毎年同じ日程ならみんな忘れなかっちゃろ? 地元の伝統を守っていかないけん。全員そんな気持ちで集まってるっちゃん。

筒井さん 年末だからね、来れる人は来て、来れん人は来なくてもいいスタンスでやってるんですよ。だから誰が来るか分からない。でも毎年同じ人が来ているんですよね(笑)。

枝田さん 作業を通じて地域の人に会えるのがよかよね、みんな元気しとるやか?って心配事が毎年この日に晴れるっちゃん。それに、多くの人が携わって一つのものを作り上げるのって楽しいっちゃん。

大森さん 地域の人が一丸となってお供えをする事で、神様も守ってやろうという気持ちになるもんね。地元を好きでいてくれるように神様がこういった機会を与えてくれたっちゃないかな?

枝田さん 香春神社の神様はオシャレやき、俺らもバシッとカッコいいの作ってあげらんといけんね(笑)。


____完成した大きくて重いしめ縄を持ち上げるのもまた重労働ですよね。この古いしめ縄との取り換えも皆さんの手で行うのですか?

深野さん こういうんもね、若い人が率先してやってくれるき助かっとるんよ。

嶋井さん みなさん我が子の様に良くしてくれるんですよ。だから僕も頑張らなきゃなって思っていて、力仕事なんかは率先してやるようにしています。僕は、子供の頃から遊びにはよく来ていたから自然と手伝うようになっていったというか、使命感の様なものが芽生えてきたんですよね、というか運命だったのかもしれませんね(笑)。将来は自分が先輩達の役目を担っていかなきゃいけないって思っています。

深野さん ほんと嬉しいよね、みんながみんな欠かせない存在やからね。おっ、上さあがると、今年の縄もよかね。

吉崎さん このしめ縄が一年間色んな景色を見てくるんよ、良い一年を迎えられるようにと私達が願う様に、香春神社の神様も同じ気持ちでいるはずですよ。

嶋井さん 取り付けまで終えると達成感が湧いてきますね。何十年、何百年と、この伝統が続くといいなと思っています。

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