半年ホテル暮らしをしてみて分かった幸せ
昨年、約半年間ホテル暮らしをした。
サブスクでお安くホテル暮らしができたので、ありがたかった。
ホテル暮らしは、身軽にあちこち移動したい場合には便利だけれど、しばらく同じところに滞在していると、不便も感じる。
キッチンがない宿にしばらく滞在していたとき、外食、テイクアウト、コンビニご飯のループに飽きて、自炊したい欲が高まった。ホテルで料理は難しくても、せめて、りんごの皮をむいて食べたい!
小さな包丁を購入して、ホテルの部屋でりんごを食べることにした。
包丁はスーパーマーケットで買ったのだけれど、ちょっとどきどきした。
これって、凶器だよね?職務質問とかされたら、怪しまれないかな?近くで殺人事件とか起きてたら、購入履歴とかからたどられて、冤罪になったりしないかな?
本当は八百屋でりんごを買おうと思っていたのだけれど、包丁だけを持ち歩くと、その隙に職務質問される可能性もあるし、購入履歴的にも同じ店でりんごを買っておいた方が、「りんごを切るために買ったんです!」って言ったときの信憑性が増すよな。
ということで、包丁を売っているスーパーでりんごも一緒に買った。
結局誰からも声をかけられずに、無事にホテルの部屋まで帰れた。
洗面台で洗って、小さい包丁で皮をむいたりんごは、みずみずしくてほんとうに美味しかった!
人生の中で一番おいしいりんごだった。
テレビ千鳥の「我慢すず」とか、「一つだけ選んで食べる」みたいな企画と同じで、制限や我慢を経験すると、今まで当たり前に享受していたことに感動して、感謝できる。
ホテル暮らしを辞めて、もうすぐ半年。洗濯機が部屋にあることも、湯船があって好きなだけお風呂に浸かれることも、コンビニまで行かなくてもプリンタースキャナーを使えることも、コンロもオーブンレンジもあって、キッチンで好きなものを好きな時間に自由に料理できることも。冷凍庫があって、アイスや食材を保存しておけることも。
当たり前になってしまっている。
ホテル暮らしを辞めた直後には感動していたのに、慣れてしまうんだよな。
私は慣れてしまうから、すぐに忘れてしまうから、旅と日常を行き来したいのかもしれない。
どちらにも良さがあって、どちらにも大変さがある。
ずっと同じ場所にいたら見えないこと、忘れてしまっていることを、環境を変えると思い出せる。
今の幸せと、今までの幸せの、どちらも実感できるのだ。どちらにも感謝できる。幸せの感度が上がる。
長く旅して満足すると、疲れてしばらく同じ場所にとどまりたくなるのだけれど、
そろそろまた旅に出たくなりそうだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?