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よりみち和菓子日記 15

6月28日 紫陽花

あじさいシーズンもピークを過ぎ、朝から雨降りの金曜日。6月中は異様に賑わうこの辺りも、この日ははさすがに落ち着いていた。

暖簾をくぐり、お菓子とお抹茶のセットを注文する。
お菓子は、あじさいと、水無月のどちらかを選べるとのこと。迷ったが、やはりあじさいをいただくことにした。

あじさいは、少し紫がかった美しいブルーに染められた寒天を、小さなサイコロ状に切り、花びらに見立てたお菓子だ。
ひとつひとつの寒天が、極めて繊細な美しさを持っている。このサイズでこれだけ正確な立方体に切るというのは、素人にはとうてい不可能だ。

去年も6月に、このお菓子を頂いたことを思い出す。今年また、1年ぶりにあじさいと再会した自分がいる。変わらないこともあり、変わったこともある。お菓子を見て、感じることもまた違う。1年前とはやはり、違う自分であることは、当たり前でもあり、不思議なことでもあった。


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