宇多田ヒカルの書く歌詞の世界 Gold〜また逢う日まで〜
7/31 カウントダウンTVスペシャルに、宇多田ヒカルが一年ぶりに出演しました。
私は年中、宇多田ヒカルの曲ばかり聴いてるようなファンなので、彼女が日本に帰ってくる夏と、新曲がリリースされる時期を、いつも楽しみにしています。
今回は、映画「キングダム」の主題歌にもなっている新曲「Gold〜また逢う日まで〜」の歌唱でした。
リリース日から繰り返し聴いてすっかりハマっていたので、改めて歌詞を見ながら、歌っている姿を見ながら聞くのは、最高のひと時でした。
以前、トレーニングを欠かさないと配信で語っていた通り、鍛えられた色気のある体がとても素敵で、同じ歳の男の子を育てる母としても、憧れしかありません。
私は、残念ながら「キングダム」をほぼ知らないので、映画との親和性がどれほどのものかまでは分かりませんが、「エヴァ」然り、「キングダムハーツ」然り、「最愛」然り、宇多田ヒカルと作品の親和性にはいつも驚かされるものがあるので、今回もしっかりマッチしているのではないかと思います。
さて、今回の新曲も本当に素晴らしいです。
切なげなバラードから始まって、力強さを感じるパートへと変わっていく印象的な構成。
R&Bとかポップスとかオルタナティブとか、色々仕分けしたがる人もいますが、もう宇多田ヒカルの音楽は、ジャンル「宇多田ヒカル」で良いのでは?と思うくらい、彼女にしか書けない曲だといつも思ってしまいます。
その圧倒的な読書量と人生経験から作り出される歌詞が、文学的であり、哲学的でもあり、どの本を開いても出会えないようなパワーワードに溢れていて、本当に私の心にはいつも刺さりまくりなんです。
今回も、もう!本当に!何で!?私のこと見てた?と思うほど共感に溢れている歌詞の連続だったので、ぜひこの気持ちを届けたい!という思いで、歌詞を抜粋してご紹介したいと思います。
幸せについて考えていた時に書いた曲、と番組でも答えていましたが、この数年、幸せについて考えた人は多かったのではないでしょうか。
私自身、幸せについて深く考えてきた数年だったので、この冒頭の追いかけても追いつけない、幸せは側で待ってるだけという歌詞には、心の中を見透かされたようでドキっとしました。
幸せって、結局考えてもよく分からないし、思った瞬間に過去のものになっちゃう、つかみどころのない、答えのないものだというところにいつも落ち着いていたので、この“側で待ってるだけ”という表現が、すごくしっくりきました。
そして、楽しいことばかりじゃないけど、嫌なこともいつか笑って話せるようになるよと寄り添ってくれるように続く歌詞にも、宇多田ヒカルらしい優しさを感じます。
ここは、「また逢う日まで」と繰り返しながら、後半のパートへと切り替わっていく部分で、今までにない力強さをすごく感じます。
悲しいこと、辛いこと、そういうことは、いつかまたやって来ると知っている。
たくさん苦しんだからって、もう苦しまないなんてことはない。
生きてきたから分かること。
だから今はそっと独り言のようにつぶやく。全ての悲しみに「また逢う日まで」と。
そして、そんなことを何度も経験してきた私は、悲劇すら捕まえて言ってやる「おととい来やがれ」と。
楽しい予定をいっぱい入れて、楽しく生きる。本当の悲劇に出会うまで、もう悲しい涙は流さない。「また逢う日まで」。
そんな風に力強く生きていこうよと、鼓舞されるような気持ちになり、すごく勇気を貰える曲だなと感じました。
でも、いつかまた悲劇はやって来るよということも示唆していて、だからこそ逞しくなるんだと決意しているようにも聞こえます。
混乱に満ちた世界の中で生きていく選択をするということを、分かりやすい言葉で宇多田ヒカルらしく伝えている、今一番好きなパートです。
曲のラストに向けて、どんどん力強く聴き手を誘っていく最後のパート。あなたも私も唯一無二なのだから、どんなものも、宝石や銀河だって敵わない存在なんだということを伝えるために、こういう歌詞を書けるところが、私が宇多田ヒカルのファンで居続ける理由だなと改めて感じます。
プラチナとダイヤモンドとアンドロメダを並列しちゃうところが、すごく彼女らしくて、オンリーワンを「世界中が君に夢中」と言い換えてると解釈できるところも、とても好きな部分です。
10代の頃から変わらずずっと、トップランナーであり続ける。
そう願っても、なかなかそういかない人の方が多いはず。
だけど、宇多田ヒカルはそうなろうなんて全然思っていなくて、作品を作らずにはいられない本当の芸術家なんだと思います。
自己を探求し、自分の内側を表現することに徹底的に挑み続ける。
だからいつも、とんでもないパワーを持つ作品が生まれて、多くの人が魅了されるのでしょう。
これからもずっと、宇多田ヒカルのリスナーであり続けたい。
今回もまた、そういう気持ちにさせられた新曲でした。
この夏は、この曲とともに過ごそうと思います。