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樹になる気になる実のなる樹ー「モチノキ」とトリモチとトリと共に生きる

こんにちは。ガーデンプランナーのhacoです。
日暮れが早くなってきたなあ。と感じるとともに、日暮とともに吹く風も冬らしい冷たい風になったと感じる今日この頃です。
今日は今赤い実を付けているモチノキのお話。


モチノキの剪定枝には赤い実がたくさん

モチノキとは

モチノキ モチノキ科 モチノキ属
常緑樹 分布:東北中部以南

モチノキの名前の由来は、その樹皮から鳥を捕獲するための「トリモチ」が取れることからついたという話は、昔、実家に出入りしていた造園屋さんに聞いたお話。

しかし、この年になってよくよく考えてみたら「トリモチ」で鳥を捕まえる。なんて、どういうこと!?何のために!?と疑問に思ってしまいました。

トリモチによる狩猟の禁止

調べてみると、トリモチを使用しての狩猟は昭和46年以降は禁止されているそうで、そのせいで全然ピンと来なかったのかも。

樹皮から取れる蝋(ロウ)の粘着力を利用して、鳥のやってきそうな場所にそれを塗り、うっかりそこに停ってしまった鳥を捕獲する方法。
それ以外にも、竿の先にトリモチをくっつけて振り回す方法もあるそう。
日常生活で想像するところの「ハエ取り紙」とか「ゴキブリホイホイ」みたいな手法ですかね。

トリモチはモチだった

トリモチで鳥を捕獲する様子が残酷だということで狩猟目的では現在はトリモチの使用は禁止、駆除の目的の場合にも環境大臣の「鳥獣捕獲許可証」の下付を受けてからの使用に限るようです。

このトリモチのような植物の粘着力を利用した狩猟の方法は、世界中の様々な国で使われていた手法で、日本でも古くからあった手法です。

元々「モチ」といえば、この「トリモチ」を指していたそうですが、今は、お正月などに食べる「お餅」をさす言葉に変化してしまいました。
トリモチを使用した猟をほとんどしなくなった現代、これからますます「トリモチ」という言葉も聞かなくなっていくんでしょうね。

鳥のやってくる樹

モチノキは太く、刈り込みや仕立てにも向き、海風や耐陰性にも優れた強い木で、一昔前は庭や寺院、公園、街路樹と、とても多くの場所に植えられてきた日本の気候にもよく合っている樹だといえます。
そして、モチノキの赤い実は晩秋に色づき始めますが、鳥さんたちがその実を好んで食べます。

この時期のモチノキの剪定のご依頼の中に、「ヒヨドリを寄せ付けないために。」という目的でのご依頼もあります。
また、放置していると10メートル以上の大木になるモチノキがヒヨドリの集合場所のようになってしまうので伐採して欲しい。というご依頼もあるそうです。

真ん中の一番背の高い木が今回高さを半分ほどまで剪定する予定のモチノキ

視野を広げた庭づくり

そういえば、最近よく耳にする「熊」の被害。
その被害を少なくするために空き家の「柿の木」を伐採している。という話も目にしました。
私たちは、動物や鳥たちとの共存についても、先のことまで考えて、予測して、手を入れる必要があるのだと感じています。

美しいものを作る。だけでは、生き物に関わる仕事はできませんね。

もちろん、個人の庭の話だけではなく都市計画や森林伐採などのもう少し広い視野で考えた時に、人間とそこに住んでいた動物たちとの衝突が起こる前に、予測し、対策をとることができるのではないか。と感じずにはいられません。

まとめーこの仕事の良いところ

やっと山々の樹々が色づき始めました。
日中は気温もあまり下がらず、ポカポカで天気予報も当たる率が高いせいか、とても快適に仕事ができています。(1ヶ月前まで暑くて暑くて…)

そんな気持ちの良い季節に、外で剪定された枝葉を集めながら職人さんたちと「あーでもない、こーでもない」の植物や気候談義がとても楽しいのです。

現場までの道すがらに見つけた大きい黄金色の銀杏のこと。
その銀杏の先の峠の辺りで、急に気温が下がるのを感じたこと。
ハゼの木がここ数日で、すっかり赤く色づいたこと。
モチノキの剪定枝でいっぱいのトラックを見て「クリスマスみたいだね。」とか言って笑って、なんていい仕事なんだろう(笑)

さて、今日もちょっと長くなってしまいましたがここまで。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。



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