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#1 穏やかな瀬戸内海。理学療法士の情熱が波を輝かせている。

広島。
島々が浮かぶ瀬戸内海。穏やかな優しい瀬戸内海。
お好み焼きと濃厚な味の牡蠣が名物だ。
酒も美味い。広島の酒造にしかない西条鶴の無濾過純米生酒の味は格別だ。
瀬戸内海に沈む夕日をみながら,牡蠣入りのお好み焼きをつつきつつ日本酒を飲む。テレビに視線を移すと広島県民が大好きなカープが大活躍している。
それはきっと至福の時だろう。

そんな広島に,医学を中心に日本の未来を真剣に考える一人の女性がいた。
河村由実子さん。理学療法士だ。


ーー河村さんはいつも笑顔ですよね。自分ではどんな性格だと思ってますか。

 そうですね。性格はノーテンキでポジティブです。人のいいところや幸せなところを見つけるのは得意なのかなって思います。

 確かに,河村さんのnoteにはしばしば次の言葉が登場する。
 「今日もハッピーです!」
 強風で髪がぼさぼさになっても,ミスタードーナツのお会計が「777円」になっても,とにかく「ハッピーです!」
 読んでいると明るい気分になる文章だ。

ーーあの「ハッピーです!!」って河村さんのnoteに特徴的なフレーズですよね。

 あれは意図的に毎回入れていました。書いてたら自分がハッピーになるんで。

ーーその考え方自体がすごくポジティブな感じですよね。

 そうですね。ネタを自分で探していくと日々楽しくなるし,いいことあったという目線で出来事を捉えると幸せになる。私,基本的には人のいいところを見つけたりするのは得意なのかなという気がしています。
 仕事でも,患者さんを中心に毎日新しい人に出会います。どんな知らない人でも,その人のいいところを3つは見つけようということはいつも思っているんです。

ーー3つ!!初対面で3つってなかなか見つけるのが大変な気もしますけど。

 しょうもない小さい良さでもいいんですよ。3つ見つけたら,相手も自分のいいところを1つは見つけてくれるかなって期待してます。お互いに好きになっていけるという感じですかね。私はそんな気がしているから,自分から人を好きになろうと心がけています。

 河村さんは意識していなかったようだが,自分で入った「#はあちゅうサロン」の3か条の1つは「人の才能に常に注目する」だ。人の才能を認めてあげられる人,見つけられる人は,自分の才能も認められるし,見つけられる。彼女はサロンに入る前から,このことをずっと実践しようと心がけてきたのである。

ーー素敵な心がけですが,その心がけっていつから意識してきたんですか。

 高校まではわりとトゲトゲしてたように思います。やっぱり大学を出て,特に働くようになってからですかね。人のいいところを見てたら,自分も綺麗になっていくような気がして。よく人に騙されますけどね。みんな信じちゃうんで。
 でも,騙されてもいいかなと思っています笑

 そう冗談めいて語る笑顔は穏やかな瀬戸内海のようだ。彼女のルーツとなる仕事について掘り下げてみたくなった。

ーーお仕事は,700,800床規模の三次救急病院の集中治療室で専属の理学療法士をなさっているということですね。どういうところにやりがいを感じますか。

 仕事の魅力としては,やっぱり感謝される仕事だということですかね。仕事を続けるうえでの「心の満足度」が高いなと思います。
 患者さんに「ありがとう」と言ってもらえることで心が健全になる。支えられるっていうのが大きい。

 それから,病院には人生の大先輩が多いので,いろんな人の生き方とか死に対する考え方など,学びが多いです。考えさせられることが多くて,仕事をしながらいつも勉強させてもらっています。

ーー理学療法士を志したきっかけはあるんですか?

 高校時代から志していました。ソフトテニス部で怪我をして,理学療法士さんにリハビリをしてもらった。それがきっかけですね。最初はスポーツ系の理学療法士になろうと思って大学に入ったんですけど,いろいろやっていくなかで,病院内で活躍する理学療法士の道にたどり着いたんです。

 彼女にはもう一つきっかけがあるという。
 彼女がよく遊んでもらっていた親戚のお姉さんが難病で,最終的には亡くなった。葬式の場にはたくさんの折り紙があった。ある理学療法士が「病気がよくなるように」という思いで親戚のお姉さんと一緒に作り続けていたのだという。その理学療法士は葬式にも参列し,涙を流した。
 それを見て,河村さんは思ったそうだ。

ーーそのとき,何を感じましたか。

 悔しいなって思いましたね。
 私,それまでは,病気の人には近づかないほうがいいのかなと思ったけど,そうじゃなかったんだって。あんなふうに一緒に寄り添って涙を流していいんだって。私もあんなふうになりたいと思いましたよ。

 河村さんには直接話すと強く感じる芯の強さのようなものがある。高校時代は県内で実力のあるソフトテニス部のキャプテンをやっていた。彼女自身はソフトテニスが決して得意ではなかったようだが,ほかのメンバーは強かったという。そういう状況でほかのメンバーを引っ張っていくのは大変なことだっただろう。

ーーかなり苦労なさったんじゃないんですか。

 部活をやってた3年間,いろいろ模索しましたね。で,考えた結果,「努力している姿」「真摯に物事に向き合っている姿」をほかのメンバーに見せることで引っ張っていくしかない。そう思ったんです。
 そんな立派なもんじゃないですよ。ただ,実力で見せられない分,努力しているところを見てもらう。それしかできなかったんです。

 彼女は「それしかできなかった」というが,「それ」を続けることのできるプロフェッショナルはきっと一握りだ。

ーー将来の夢はありますか。

 医療・福祉・介護,特に医療の世界を通してよりよい日本を作りたい。
 今よりいい未来をデザインして作っている人になりたい。イノベーションのようなものを起こして明るくしたい。そう思っています。医療をもっと身近なものにしていきたいんですよ。
 私は親戚にも家族にも医療従事者がいないんですが,親戚・家族と話すと,いかに医療が遠いものかということを感じます。その距離を縮めて,医療を身近なものにしたいというのが私の夢ですね。
 それから,最近は人口減少問題にも興味があります。日本の人口がどんどん減っていって,介護や福祉にいろんな問題が出てくる。避けて通れない問題だからこそ,一人一人がもっと早く考えていかなきゃいけないなと思っていて,この問題についても一人の医療者として貢献していければいいと考えています。

 そんな情熱的な河村さんは「#はあちゅうサロンお勉強部」が出来たその日に入部し,副部長に立候補した。何が彼女を動かしたのだろうか。その理由を聞いた。

ーーどうしてお勉強部に入ったんですか。

 あれをみた瞬間にビビッときました。これは入ったら絶対ワクワクするだろうという直感ですね。たまたま自分が最初のほうにコメントさせてもらって,たまたま副部長にしてもらって。5月の最初にはいったばかりで,まだサロンのこともよくわかってなかったときに「自分の居場所」というか,「ここで頑張りたいな」と思ったんです。とてもありがたいと思いました。「もうここにいたら絶対面白いことができる」と思った。もう「直感」です。

ーー実際にお勉強部に入ってみてどうでしたか。

 とにかく,入っているメンバーがとにかく暖かいし,いろんな分野の方がいるし,勉強したい,与えたいという人が多いので,とても刺激を受けます。
 そういう考え方や思考があるんだ,こんな世界があるんだなということに日々触れているので,とても勉強になります。
 チームがたくさんできてますが,私はよくばりすぎていろんなチームに入っています。メインでやっているのは,介護福祉チームで副リーダーさせてもらってます。こちらもどんどん盛り上げていきたいですね。

ーー今後お勉強部をどうしていきたいですか?

 ものすごい魅力を持った人が多いので,協力すれば,お勉強部公式noteには有料で売れるくらい魅力的な内容を書いていけるんじゃないかと思います。ほかにも,いろんなプロジェクトができていくんじゃないかとか,オンラインだけじゃなくてオフラインでも集まっていろいろやって,ゲスト読んだり,お勉強部だけじゃなくて周りによびかけたり。あと,外部の専門家に取材をしたり。チームのみんなからのリクエストでどんどん企画たてていけたら面白いですよね。どこまでもやりたいことが広がる場所だと思います。

 人の良いところを発見し「ハッピー」をみつけることが得意な河村さんは,お勉強部でもたくさんの「ハッピー」を見つけたようだ。情熱的な医療者でありながら,穏やかな瀬戸内海のような人あたりのよさで周囲を楽しくするキャラクター。きっと,これからますますお勉強部にとって・・・いや,はあちゅうサロンにとって欠かせない存在になっていくことだろう。
 

【取材協力】
かわむー:河村由実子さん

記事執筆者:かんねこ弁護士



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